エンジニアリングで業務改善を支援する、ICTセンター

ICTCについて話す、北野さんと小路さん。課題解決の話題では自然と笑顔に
――ICTセンター(以下、ICTC)とはどんな部署なのでしょうか。
北野:ICTCでは、社内向けのシステム・ツールなどの開発や、ネットワークなどのインフラ全般を担当しています。エンジニアばかり9名のチームです(2018年10月現在)。
キュービックはデジタルマーケティング事業を展開しており、自社メディアを活用してさまざまな角度からクライアントのWebサイトへ送客する、という点を強みとしています。自社メディアを軸に、広告運用やSEOなどのコンサルティング、コンテンツ・マーケティングなど幅広いデジタルマーケティングソリューションを提供しています。
こうした事業では、高速でPDCAを回すことが何よりも重要です。そこでICTCは、各部門の業務の改善を“エンジニアリングの力で支援する”ことをミッションとしています。“エンジニアリング”というのは、改善のための課題設定から解決手段まで、エンジニアならではの技術や思考をベースにワンストップで実現することなんです。
メディアの改修や改善は、クリエイティブ・ユニットという他の部門が対応しています。頻繁に改修が必要な上、メディアを運営する部門と密接に連携する必要があるので、専任部隊がいるんです。そちらにはフロントエンドエンジニアやデザイナーが所属しています。
あくまで社内業務の改善をメインに、そのためのシステム開発などを行うのがICTCです。
――自社サービスのシステムを開発して、保守・運用をして……という業務にとどまらないのがICTCだと。どうやって他部門の業務改善を考えているのでしょうか。
小路:ICTCから事業部門へヒアリングに行って、そこで出てきた課題に対して「こうしたらどうだろう」という改善提案をすることもあれば、ちょっとした雑談の中で「ここが困っているんだよね」と相談されることもあります。経営層やマネージャークラスから、会社としての課題をICTCに託されることもあります。そうやって集まってきた社内の課題に対し、エンジニアならではの視点から「こんな手を打とう」「あれをやってみよう」とICTCのメンバーで知恵を絞っているんです。
――なるほど。例えばどんな課題解決をされたのでしょうか。
小路:ここ数年で急激に会社の規模が大きくなり、以前の業務プロセスでは対応しきれないという事象が目立つようになりました。北野を中心に取り組んだ広告部門のプロセス改善は、そんな課題の1つです。僕はその中でも「ランディングページを毎日改善する業務のチェック体制をもっと機能させる」という課題解決に取り組ませてもらい、最終的に達成できました。
事業部門のメンバーは課題を把握しているものの、どうしても目の前の業務に追われてしまいがちです。当事者とは違う立場の僕らなら、少し俯瞰して、適切なタイミングで最善の解決策を、具体的に提案できる。そんなICTCの仕事に、現場からは「ありがたい」という声をもらえています。
北野:あくまでエンジニアですから、実際につくる、手を動かすということは大事です。一方で、顧客とのコミュニケーションで見えた課題を具体化して解決することも、エンジニアの仕事です。課題解決こそが”エンジニアリング”だし、僕たちが提供できる価値なんです。それを社内向けにやらせてもらえる今は、課題解決の訓練をさせてもらっているフェーズだと捉えています。
インターンかつエンジニア未経験、というチャレンジ

入社を決めた経緯を振り返る小路さん
――小路さんはインターンとしてキュービックで働きはじめ、2018年10月に社員となられたとか。キュービックと出会った経緯、入社理由などお聞かせください。
小路:大学2年になる直前の春休みから、キュービックでインターンとして働きはじめました。2019年の3月でキュービック歴4年目になります。
インターンとしてはじめたキッカケは……、「いいバイトがあるよ」って、先にキュービックでインターンをやっていた知人に声をかけてもらったことですね(笑)。バイト感覚だったんです。
最初は、金融分野に特化して広告運用やマーケティングを行う部署にいました。成果の集計といった事務的な作業からはじめて、徐々に運用やマーケティングの仕事にも携わるようになりました。
そうして1年ほど経った頃に、ICTCへ異動することになりまして。
――インターンなのに、異動があったんですね!
小路:「エンジニアの仕事に興味があります」ってICTCのマネージャーに言ったら、「じゃあそれ、今から社長に言ってきて」と言われて(笑)。そこで社長に伝えに行ったら「考えるから」と。結果、希望を汲んで異動させてもらうことになったんです。
――インターンが社長に直訴ってすごいですね(笑)。
小路:社長をはじめ、インターンも社員も関係なく、みんなが気軽に話せる雰囲気がキュービックにはあって。
――エンジニアに興味があったというのは……?
小路:「プログラミングが出来たらいいかな」「ITの知識を持っていれば、就職やその先のキャリアにつながるかもしれない」といった程度の興味があったんです。
大学ではプログラミングの授業があったものの、文系大学の授業ですから遊びにもならないレベルで。ICTCへ異動になって「キュービックでエンジニアの業務をやらせてもらえる!」と奮起したんですが、最初の半年くらいは大変でしたね。
何しろわからないことだらけ。エラーが出るたびに、自分でしばらく調べて、それでもわからなかったら周囲に教えてもらっていました。難易度の低いタスクから少しずつ下ろしてもらって、業務をやりながら覚えていく、の繰り返しでした。そんな手探りの半年が経った頃、他の部署の業務の改善など、プログラミング以外の“エンジニアリング”と言えるような仕事も少しずつ任されるようになりました。
――ICTCの業務に慣れてきたことで、エンジニアというキャリアを選ぶ決断をされたんでしょうか。
小路:エンジニアの仕事が少しずつ見えてきた、というのもありますが、決断の一番大きなキッカケは“留学先での出会い”でした。ICTCに異動して半年経った頃に行った留学先で、ある学生に出会いました。
彼は僕と同じように大学で文系の学部に属しながら、エンジニアとしてモノを作って、資金調達をして、と早くも自分でビジネスを展開していて。いろんな話をする中で彼が言った「学ぶことを続ければ何だってできるよ」という言葉がすごく印象に残ったんです。
せっかく働くなら、彼みたいに自分の楽しめる分野を学びながら働きたい。
プログラミングが楽しいのはICTCで体感していましたし、その先にある業務改善やエンジニアリングがもっと楽しいのは確信していました。そんな楽しい仕事で食べていけるなら、エンジニアになろうと。
「ヒト・ファースト」を本当に実行する会社

人を大事にする会社、と話す北野さん
――それでキュービックへ入社することにしたんですね?
小路:幸い、入社のオファーをいただけたので(笑)。他の会社を考えなかったわけではありませんが、最終的に僕がキュービックへの入社を決めた理由は、大きく3つあります。
1つは、事業やプロダクトの責任者といったキャリアを築く環境が、キュービックにはあるということ。技術にだけフォーカスするのではなく、ビジネスの視点を持つエンジニアになりたいなと。そのトレーニングを積む上で、ICTCは絶好の環境だと思いました。
もう1つは、これから数年のうちにキュービックが事業会社へ転換しようとしている、ということです。今のキュービックは、クライアントのWebサイトへの送客を中心としたデジタルマーケティングを進化させつつ、自社のプロダクトをゼロから考えるフェーズを迎えています。そんな場面に立ち会うエンジニアの1人として、事業をどう構築してどう成長させていくかという視点を身につけつつ、開発におけるプログラミングまで一気通貫に経験できる、というのは大きな魅力でした。
そして最後の理由は、人間関係でのリスクを小さくしたいというものです。
――人間関係のリスクというと?
小路:同僚や上司と合わないなど、人間関係が原因で「働きたくないな」と自分が止まってしまうのが怖いなと。
キュービックの人たちのことは、3年のインターン生活でよく知っています。この人たちなら大丈夫だと確信できたのが大きかったですね。技術的な知識やスキルは、自ら学び、外部の方と出会える環境に足を運べば何とでもなると考えているので。
――キュービックの人たちなら大丈夫、とは、どういう点で感じますか。
小路:“僕自身のやりたいこと”を相談すると、他部署の人までもが真剣に考えてアドバイスくださるのが、すごくありがたいことだと思っていて。
つい最近まで学生だった僕の抽象的な話(例えば世の中を良くする仕事をしたい、とか)に対して、「何が得意なの?」「どんなふうにやっていく?」とブレイクダウンして、「こんなやり方もあるよ」ときちんと向き合ってもらえました。
――相手を尊重する人が集まっているんですね。他社を経験されてきた北野さんは、キュービックをどんな会社だと感じていますか。
北野:キュービックは経営理念に“ヒト・ファースト”を掲げていますが、1人ひとりのキャリアに向き合う姿勢ひとつとっても、この理念を本当に実行している稀有な会社だと感じています。
とりわけ特徴的なのは、1on1ですね。上司と話し合って自分を見つめ直す時間として、ICTCでは1人あたり週1回・1時間の1on1を行っています。
――ずいぶん頻繁で長いですね! それだけ話すと話題に困りそうですが……?
北野:最初のうちは何を話そうって迷うこともあったんですが(笑)。すぐに時間が足りないと感じるようになりました。1on1をする上司に知見や知恵がないと、中身が充実しません。それに耐えられるだけの人物がキュービックには揃っている、というのもあると思います。
人によって話す内容はバラバラ。キャリアだけでなく、日常の業務の相談をすることもあります。各々が相談したいこと、話したいことを持ち込んでいます。
どの部門でも1on1は実施していますが、ICTCは特に時間を割いています。人数が比較的少ないのと、上長の方針もあって。
スキルを掛け合わせれば、価値あるキャリアが築ける

普段の執務風景。高層ビルのオフィスからの眺望は抜群です
小路:1on1がなかったら、北野さんが異動することにもならなかったかもしれないですよね。
北野:そうかもしれません(笑)。キュービックへの入社は、もともと知り合いだったICTCのマネージャーから誘ってもらったのがキッカケなんです。以前から彼にキャリアの相談をしていて、1on1はその延長線のような時間でした。「ゆくゆくはプロダクトマネジメントをやりたい」と話していたんです。
あるとき経営会議で、人材領域のメディアと広告運用のジャンルに特化しているキャリアマーケットディビジョンという部署にマネージャーの候補がいないという話になったそうなんです。そこでICTCのマネージャーが「北野、どうですか?」と推してくれました。
――それがキッカケとなって、キャリアマーケットディビジョンのマネージャーになられたんですね。
北野:はい。その会議の後に、異動先の部署のマネージャーとも話して、自分の意思で異動させてもらいました。今の仕事は、いわゆるエンジニア的業務はゼロです。でも違和感は全くないですね。というのもここ3、4年ほど、プログラミングよりは、設計や要件定義など、“やりたい”という抽象を具体化する仕事に集中してきたんです。
僕はSIer、事業会社と10年以上にわたって、エンジニアのキャリアを歩んできました。ひと昔前は“エンジニア35歳定年説”がささやかれていたほど、技術だけでエンジニアとして食べていくのは本当に大変なんです。技術を追求するのが好きでなければ、とても続かない。
そんな世界を見ていて「自分はそんな存在にはなれないな」と感じていました。純粋な技術の追求とは違う、エンジニアのキャリアって何だろうと考えるうちに、エンジニアならではの技術と、経営や事業のスキルをかけ合わせたらいいんじゃないか、と思い至りました。
技術とかけ合わせるスキルは、組織にとらわれないポータブルなスキルなら何でもいいと思うんです。僕の場合は、経営や事業、組織マネジメントといった抽象的な分野のスキルを得て、キャリアに活かそうと思いました。キュービックにはそうしたスキルを養える環境があると感じて転職してきたのですが、実際にこの2年でずいぶん鍛えられましたね。
ICTCではエンジニアの技術的な部分よりも、会社や事業、組織をどうつくっていくか、という抽象的な課題を考える場面が多いです。入社した当初は慣れなくて、かなりしんどかった(笑)。異動に際しては、SEOや広告運用は全くの未経験だったので、正直なところ不安でした。でも蓋を開けてみたら、事業部に異動してもやっていることはあまり変わらないなというのが実感ですね。
小路:ICTCには、エンジニアならではのプログラミングや設計をしたりする力・思考ロジックを使って、事業や組織をより良いものにしようという哲学があるんです。
北野:「こういうことがやりたい」となったとき、エンジニアとしての思考ベースがあれば、どうやれば実現できるか大体予想は立てられます。僕たちはHOWを知っているので、あとはお金と時間の問題です(笑)。そういう発想・思考ができるというのは、ビジネスでもすごく有用だと思っています。
迎えたいのは、新しいことを学ぼうという意欲を持つエンジニア

成長著しいベンチャー企業として、各方面から注目を浴びている
――どんな人がICTCにフィットすると思いますか。
北野:技術スキルとしては、何でもいいので1つの言語をしっかり理解している方が望ましいです。
1つでも理解していれば、どんな言語でも何をやっているかは何となくわかりますから。あとは調べながらでも、キャッチアップはできます。
何の言語をやっているか、よりも、新しい言語を積極的に学ぼうとする意欲や知的好奇心を持った方に来ていただきたいですね。
小路:自分は今、Rubyをメインで使っています。JavaScriptやPythonを使うこともありますが、今後、キュービックがどんな事業を展開していくかによって、使う言語はどんどん変わっていくと思います。ビジネス・経営サイドが何をやりたいか、によって僕たちが最適な言語を選んでいきたいと思っています。
また、知識がなくても、「やりたい」と手を挙げたらやらせてもらえる環境です。それを存分に活用したいと思える方であれば楽しめるかと。
北野:あとは、自分の市場価値を高めたいと考える方だとICTCにフィットするのではないでしょうか。
みんながみんな、事業スキル・経営マインドを養いたいと考えているわけじゃないんです。プロジェクトのマネジメントをやっていきたいという人もいれば、技術を純粋に伸ばしたいというテックリード志向の人もいます。自分がどんなキャリアを開発していきたいのか。その軸さえ持っていれば、キュービックは個人の意思を尊重します。
ただICTCの考える哲学、“エンジニアリングで課題解決を支援する”という方向は、メンバー全員が向いています。
正直なところ、ICTCの技術面はまだまだ弱いところかなと思っています。その部分を補強してくださって、自分でも新しいスキルをキュービックで磨こうという方がいたらぜひ!
小路:キュービックにはエンジニアがまだまだ少ない分、その提案を大事に聞いてもらえる空気があります。それがやりがいでもあるし、鍛えられるところなのかなと。
新しく入社されるエンジニアの方にはいろいろ教えていただきながら、僕が危機感を持たせるくらいの刺激になれればいいな、と思っています(笑)。