海外の記事2015.12.18
たくましすぎる!世界驚きの職業
インドネシアの「プロヒッチハイカー」は世相を写す!
2015.12.18 文章 / 吉次茜
発想力が半端ない!? 『3in1』を逆手に取る「プロヒッチハイカー」とは?

出典 A Ben Lawers Rainbow / allys_scotland
インドネシアの首都、人口約1000万人(※1)の大都会ジャカルタで「仕事」を観察してみると、何よりも興味深い!と思うのは「この国ならではの仕事」が多いこと! 笑ってしまうような驚きの働き方をたくさんご紹介できるのですが、まずは代表的な「プロヒッチハイカー」から。
ヒッチハイカーにプロもアマもあるの? と疑問に思われる方も多いでしょうが、大都市ジャカルタは人口の多さに比例して自動車の利用が年々増加し、現在約2,000万台にも及ぶ交通量だと言われています。この背景には、電車などの交通インフラが全く整備されていないことが挙げられ、必然的に自動車の利用に流れていくといったサイクルがあります。
そんな中、政府は1992年から実施交通量調整案は『3in1』と呼ばれる制度。これは「主要な道路において朝7時~10時と夕方16時~19時の間、車に人が3名以上乗っていないと通行を認めない」というなんともアナログな規制! そんな施策で交通量が調整できるのか…という素朴な疑問は現地の誰もが感じるところでもあります(実際に住んでみてもその効果は未知数です)。
性根たくましいプロヒッチハイカーの素顔

出典 15.02.MMM.WDC.16oct95 / perspective
この「3in1」制度を逆手に取り、乗車人数が3名に満たない車両相手にいわゆるヒッチハイクで小銭を稼ぐ仕事こそ「プロヒッチハイカー」とよばれる働き方なのです。朝夕、ジャカルタのメインストリートにはこの「ヒッチハイカー」たちがあらゆるところにたむろしています。
方法はいたってシンプル! ヒッチハイカーは指で何名いるかを合図し(一般人と違い、プロヒッチハイカーは指の挙げ方が違うそう)、車の運転手は性別、年齢や人相(?)などから「この人だ」と目星をつけ、取締区間を抜けるまでプロヒッチハイカーを乗車させます。そして降車時、補填してもらった人数と距離に応じて車の運転手がヒッチハイカーにお金を支払うというシステムになっているのです。
1回の乗車代金の基準は平均200~300円ほど。1日200円前後で生活する人も多いこの国では、ジャカルタの平均月収約2万円くらいであることを考えると意外に実入りのいい仕事と言えます。また最近では巧妙に組織化されたケースもあるらしく、拾ってもらえる可能性の高い「赤ちゃん&女性」の組み合わせは多いんだとか。
そうやって効率的に2名分の乗車代金を稼いだり、容姿の素敵な男女をあてがったりと、妙案であら稼いでいるとか…。 そもそもこの「プロヒッチハイカー」という仕事は法律で禁止されています。摘発されると運転手には罰金、プロヒッチハイカーには最大12ヶ月の禁固刑が科せられるらしく、そういった意味では“ハイリスク・ハイリターンな仕事”とも言えます。
イマドキの仕事はオシャレでスマートに! 人気のバイクタクシー「GOJEK」

出典 http://www.go-jek.com/より引用、PARAFT加工
ヒッチハイカーのようにリスキーな仕事以外にも、ここ数年交通ビジネスでめざましい成功を収めているのが、バイクタクシーサービス「GOJEK (ゴジェック)」。もともとバイクタクシーを意味する「オジェック」と英語の”GO”が掛け合わされた、キャッチーな名前も人気の秘訣かもしれません。真偽のほどは定かではありませんが、Googleとの提携が噂されるほど大注目のサービスなのです。
バイクでの移動となるため定員は運転手と乗車する人の2名。料金体系はさまざまですが、基本はドライバーとの交渉次第。大体どこの道路にも運転手がいるので渋滞がひどいときやタクシーが捕まらないときには便利ですが、インドネシア語ができないと利用は困難。夜の利用も控えたほうが良いでしょう。
「GOJEK」の運転手たちはお揃いの緑のジャンパーとヘルメットを使用していて、見た目も実におしゃれ! 誰が運転しているか分からないオジェックを利用するくらいなら、信用できる会社が運営する「GOJEK」が良いと女性にも好評です。最近生まれたスタートアップ企業らしく、スマホ用のアプリがあるのも嬉しいポイントです。
渋滞の激しいジャカルタならではのたくましいヒッチハイカーや、革新的な交通サービスの在り方を見ていると、ビジネスのヒントがたくさん隠されているような気がしますよね。

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たくましすぎる!世界驚きの職業
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たくましすぎる!世界驚きの職業
WRITER
ライター
吉次茜
所変われば仕事も変わる…そんなことをしみじみと感じさせてくれるのが海外の醍醐味ですよね。今回は「移動手段」にフォーカスしたネタをご紹介しましたが、次回はさらに「南国ならでは」の変わった働き方にスポットを当てていきたいと思います!