海外の記事2016.03.17
もしかしてマイナンバー難民?
今年はじまった制度の海外移住者への影響は?
2016.03.17 文章 / 吉次茜
とってもあいまいな海外移住者の扱い

昨年からさまざまなメディアでも取り上げられ、今年1月から運用が開始された「マイナンバー制度」。社会保障・税番号制度の通称であるこの制度ですが、海外で仕事をする際、さまざまな制約と弊害をもたらすことをご存じでしょうか?
このマイナンバー制度ですが、「住民票を有するすべての人」に対して発行されます。日本国籍の人に限らず、住民票を有する外国籍の人(中長期在留者や特別永住者など)で、2015年10月に住民票が日本にあれば、その人たちにも発行されるのです。
一方で、2015年10月以前に海外転出届が受理されている日本人には付与されません。私もこのケースに該当するのですが、私と同じように日本人の、海外赴任移住者についての扱いは、現時点では、「番号の発行はなし。帰国後、住民票を戻したときにマイナンバーを発行すること」となっています。 海外在住者の扱いについてはあいまいな部分が多く、該当する人たちにとっては、なかなか頭の痛い制度なのです。
海外移住者にとっての様々な懸念点
この「マイナンバー制度」は、金融機関や医療サービスなどの利用時に必要となってきます。生活と密接にリンクしてくるものですが、日本では、まだ不明確な部分も。その中から現状で挙げられてる懸念点をいくつか紹介します。
▽銀行での新規口座開設
今後、銀行口座の新規開設にあたって、マイナンバーが必須になります。多くの人は現時点で銀行口座を保有していると思われますが、海外移住者の方で、これから資産運用を考えて新しく開設する方にとっては少々難が出てくることが予想されます。
▽海外からの送金
昨年末からインターネットなどの一部で、「100万円以上の海外送金や海外の給与受け取り、株式で得た利益の送金に至るまでマイナンバーが必要」という情報が拡散していました。海外移住者の間では「マイナンバーは発行されないのに、どうすればいいの?」とちょっとした混乱状態に。

これに対して、内閣府番号制度担当室と金融庁は、今年2月22日、「海外に住む国内非居住者がマイナンバーを持たないことのみを理由に、金融機関が国内の預貯金口座への送金や、送金された金銭の払い出しを拒否することはない」と発表。マイナンバー運用にあたっての周知不足によるものとして、至急での対応処置となりました。
他にもたくさんの弊害! 様子を見てしっかりと情報収集を行うこと

海外移住者だけが弊害があるわけではありません。旅行や短期留学をされる方もチェックしておくべきことがあるので、こちらも紹介いたします。
▽海外での短期滞在中受ける診療
今までは、旅行中などに海外で病院に行って診察を受けた場合、帰国後に申請すれば、一定の割合で医療費がカバーされるというシステムがありました。しかし今後は、このマイナンバーの有無が、影響してくる可能性があるとされてます。
まだまだ運用上明確になっていないところが多い「マイナンバー制度」。こういった状況だからこそ、自分の状況を確認し、情報収集をしっかりと行ってできるだけ不明な点をなくしていくことが、何よりも重要と言えます。

![今年はじまった制度の海外移住者への影響は?:r000016000054 | PARAFT [パラフト]](/files/alias_m1/000016000054/206_0.jpg)
もしかしてマイナンバー難民?
この記事が気に入ったらいいね!しよう
PARAFTの最新記事をお届けします。
┳CAREER CHANGE┻
もしかしてマイナンバー難民?
WRITER
ライター
吉次茜
かくいう私も、この「マイナンバー制度難民」の一人で、いまだに、ナンバーを付与されていません。今後数年は現状と同じ海外在住の予定なのですが、今後、資産運用や社会保険サービスについて何かしらネガティブな条件が出てくるのでは、という一抹の不安を感じています。住む場所によって、得られるサービスが変わることがないよう、納税者としても、今後の動向を注視していきたいと思っています。