働き方改革の記事2016.03.23
転職しないで他社で働く!?
ローリスクなキャリアアップの新しい取り組みとは?
keyword: 働き方改革 人材 転職 キャリアアップ 企業
2016.03.23 文章 / 谷川卓
社員をレンタル移籍?新しい仕組み「ローンディール」とは?

プロスポーツの世界で、選手が所属するチームとの契約はそのままに、期限付きで他のチームに移籍する制度「レンタル移籍」。その動きが、労働市場でも起きています。
株式会社ローンディールが運営する「ローンディール」というサービス。従来からある出向制度を、人材の育成や企業のイノベーションに活用するための仕組みです。人材の受け入れが可能な企業と、掲載された情報を見て興味を持った企業がマッチング。双方の合意をもって「レンタル移籍」が成立します。
レンタル移籍によるメリットは人材を送り込む側、受入先企業双方にあります。送り込む側には「自社社員に新しい成長機会の場を与えられる」、また受入先には「コストをかけずに意欲的な人材を自社プロジェクトに参加させられる」というメリットがあります。双方に共通するメリットとして「お互いの人脈、ノウハウ、ナレッジの共有」が挙げられます。
従来の出向は資本関係のある子会社などに限られていて、得られる経験は画一的でした。これをオープン化することで、その時々で企業の課題に即した受入先を見つけられるのが、ローンディールの革新的な点です。出向という従来のあり方をプラットフォームを通じて提供し、人材の流動化を図ります。
会社を辞めずに働く!その他の仕組みをご紹介

次に紹介するのは、リクルートキャリアが運営する「サンカク」というサービス。「仕事を辞めずに、成長企業の経営にサンカクできる」というキャッチコピーのもと、経営に関する助言やアイデアを求めているベンチャー・スタートアップ企業と、仕事を辞めずに社外の経営に参画したいと考えるビジネスパーソンをマッチングするサービスです。対象は「自分の経験や知識を社外で試したい」「他社の経営に携わりたい」「人脈を広げたい」という思いを持ったビジネスマンです。
さらに、NPO法人クロスフィールズが運営する「留職」というサービスも。こちらは、海外留学サポートの職業版。社会問題に取り組む新興国の企業やNPOに一時的に勤務し、本業を活かして課題解決に挑むプログラムです。グローバルなビジネス現場に身を置くことが、日本では得られない圧倒的な経験値となるようで、パナソニック、KDDI、日立など大企業での導入も進んでいます。
人事は社外との交流を深めよ!注目されている「オープンイノベーション」

今回紹介した3つのサービスはどれも「人材の流動化」を目的としたもの。労働市場において人材の横の動きが活発になることは「最適化」が進むことでもあります。プロジェクトごとに最適なパートナーをアサインできること、そして何よりも働くその人に合った環境に出会える確率が高まることが大きなメリットだと思います。
実際に、自社と他社それぞれのアイデアを組み合わせ、次なる商品・サービス開発に繋げる「オープンイノベーション」という方法論が注目され始めていますが、大企業とベンチャー企業、官と民の共同研究などが進む中、規模や文化が異なる企業同士が提携し相乗効果を生み出すのは容易ではありません。
そんなときには今回紹介したような「緩やかな人材交流」から始めていくことで、働く側のリスクを抑えながら多角的なキャリアを積むことができるので、離職率も下がるかもしれません。ますます広がっていくこれらのサービスに期待が高まります。

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転職しないで他社で働く!?
WRITER
ライター
谷川卓
ローンディールは「出向の仕組みを合理化する」という、着眼点が素晴らしいと思います。社長の原田氏が予想する「一週間のうち3日は大企業、2日はベンチャーなど、会社を横断して働くパラレルワーク」は、私も大いに賛成です。