リモートワークの記事2019.08.01
働く場所で仕事革命
リモートワークとテレワーク。違いを働き方メディアが完全解説!
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2019.08.01 文章 / PARAFT編集部
そもそも「リモートワーク」とは?
「リモートワーク」とは、オフィスから離れた場所で働く”働き方”のこと。
「リモート」とは遠隔、遠いといった意味の英語由来の言葉です。コンピュータ用語として、本体機器にネットワークを介して他の機器を接続させる状態を指すのにも使われています。
日本語の「リモート」は、リモートコントローラー(リモコン)やリモートスイッチといったように、リモート+●●と組み合わせて使う言葉。
コンピュータ用語としてなじみが深い「リモート」だからなのか、「オフィスに出社しない働き方」を指して「リモートワーク」と呼ぶ企業はIT業界に多くみられます。
▼リモートワークの発展型?「フルリモート」
なお「フルリモート」とは、フルリモートワークの略で、完全に出社しない働き方をいいます。例えば週3日フルリモートであれば、週に3日は完全にオフィス外で働くということになります。
フルリモートの働き方を採用する企業の中には、オフィスそのものがなかったり、地方在住者や子育て中の人材を積極採用していたりと、ユニークな働き方を採り入れている企業もあります。
「テレワーク」は「リモートワーク」とどう違う?
「テレワーク」とは、情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない働き方のことをいいます(日本テレワーク協会より)。
テレ=teleは、離れた所を意味する言葉。その「テレ」と「ワーク」を組み合わせた造語であるテレワークは、言葉の意味そのものは「リモートワーク」とほとんど変わりません。
▼ テレワークとリモートワークの違いとは?
「テレワーク」と「リモートワーク」の違いは言葉の意味にあるのではなく、それぞれの言葉が想定する「働き方の多様さ」の違いにあるのではないか。日頃から「テレワーク」と「リモートワーク」に向き合うPARAFT編集部は、そのように考えています。
「働き方の多様さ」とはどういうことなのか。その説明をする前に、「テレワーク」という言葉にもう少し注目してみましょう。
▼ テレワークが大企業や国で使われている経緯
「テレワーク」は大企業や国が、「リモートワーク」はIT業界やベンチャー企業が、それぞれ「オフィスに出社しない働き方」を指す言葉として使う傾向があります。大企業や国はなぜ「テレワーク」を使っているのでしょうか。
「テレワーク」普及の中心的存在、日本テレワーク協会(旧・日本サテライトオフィス協会)の沿革にその答えがありました。
バブル期の日本は、いま以上の通勤地獄に悩まされていました。本社オフィスと同等の設備・機能を備えるオフィスが社員の自宅近くにあれば、通勤の苦労を緩和できるのではないか。そんな趣旨に賛同した数社の大手企業が実験として、埼玉県志木市に日本初の「サテライトオフィス」を設置したのです。
そんな日本初の「サテライトオフィス」のために設立された団体が、現在の日本テレワーク協会。バブル崩壊とともに下火となった「サテライトオフィス」に代わって台頭してきたのが、ICTをつかった働き方「テレワーク」でした。こうした社会背景を受けて、当初は日本サテライトオフィス協会と名乗っていた日本テレワーク協会は、インターネットインフラが整備されてきた2000年に名称を変えたのです。
日本テレワーク協会は、テレワークのさまざまな効果をうたい、普及促進に努めてきました。国や大企業の普及支援施策にあいまって、近年では「働き方改革」の目玉として、国を挙げて「テレワーク」が推進されることとなったのです。
テレワークとリモートワークが想定する「働き方の多様さ」の違いとは
▼ テレワークが想定する3つの働き方
日本テレワーク協会によれば、「テレワーク」は具体的に下に挙げる3つの働き方を想定しています。
・在宅勤務
・モバイルワーク(移動中や顧客先で、パソコンや携帯電話を使う働き方)
・サテライトオフィス
最近よく目にする「在宅勤務」はテレワークの1つだったんですね。
一方の「リモートワーク」は「オフィス以外の場所で働く」というだけ。具体的にどんな働き方をするかの定義づけはしていないのです。
▼ リモートワークが想定するのは「オフィス以外の場所で働く」ということ
早くからリモートワークを採り入れ、有名なWeb開発フレームワーク”Ruby on Rails"を開発したことで知られる米企業・37シグナルズは、リモートワークを「オフィス以外の場所で働くこと」だとしています。
同社のCEOは著書『強いチームはオフィスを捨てる』(早川書房)の中で”リモートワークの目的はみんながやりやすいやり方で働くことだ。「こうしなければならない」という決まりはない。”と書いています。
在宅勤務、といえば、自宅で働くこと。それは裏返せば、自宅以外で働く可能性を消してしまう言葉でもあります。自宅の環境が悪かったら、近くのコワーキングスペース、あるいはちょっと気分転換に田舎に行ってみよう。こうした柔軟な場所の選択を暗に否定しています。
働き方を指定すれば、企業は社員を管理できる安心を得られます。しっかり定義づけられている「テレワーク」には、そんな安心を得たいという企業の想いがにじみ出ているように感じるのは、うがちすぎでしょうか。
「テレワーク」という言葉が持つニュアンスの自由度のなさを感じとっているIT業界やベンチャー企業では、だからこそ積極的に「リモートワーク」を使いたがるのかもしれません。
言葉遊びのような話ではありますが、単語の裏に込められたニュアンスこそが、働き方の多様さの違いを決定づけている――。
あなたはどちらの言葉を使って、「オフィス以外の場所で働くこと」を表現しますか。

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編集部チーム
PARAFT編集部
英語では自宅で働く場合は I "work from home".と表現します。テレワークはオフィスメインの働き方を指し、リモートワークはオフィス以外がメインの働き方を指すニュアンスを持つのだとか。自宅・オフィス以外で働く場合はモバイルワークと、どこで働くのか・どんなふうに働くのかが比較的わかりやすいのが英語の特徴です。一方の日本語では混在してしまっていて、職種・業種で別れてしまっています。たかが言葉、されど言葉なのだと、あらためて痛感したPARAFT編集部でした。