Airbnbの記事2016.05.27
起業資金に災害支援まで?
影響力がすごい! Airbnbが示す3つの新たな可能性
keyword: Airbnb シェアリングエコノミー ビグデータ 資金 緊急災害支援
2016.05.27 文章 / PARAFT編集部
ビッグデータを活用!災害時のシェルターとしての役割を担う
出典:Airbnb サイトより
まず1つ目に、Airbnbは、緊急災害時の滞在場所を提供していることをご存知でしょうか? 2012年10月、ハリケーンサンディによってカリブ海と東海岸沿岸部一帯が壊滅的な打撃を受けたとき、1,400人のニューヨークのホストが被災者に無料で部屋を貸し出したことをきっかけに、Airbnbでは緊急災害支援のための仕組みを導入しています。
2015年 5月に災害支援担当者に就任したベンツ・ケリー氏は、2005年のハリケーン・カトリーナでのボランティア体験や、様々なNGOでの災害支援やボランティア活動の経験を持った人物。これまでの豊かな経験を通して、新しい役割を果たしています。現在は、災害支援のために、世界中の34,000カ所に存在するAirbnbの150万人ホストのネットワークを生かして、人や資源を効果的に配置するためのメカニズムが設計されています。
具体的には、災害が起きた際、被災地のホストに対して、被災者に対して無料での貸出が可能かどうかを自動メールで問い合わせます。また、被災地での予約についてはAirbnbでの手数料が無料となります。実際に、2015年4月のネパール地震、2015年11月のパリのテロ襲撃の際にもこのシステムが活用されました。
ただAirbnbでは、すべての災害に対して緊急支援システムを使うことはないとしています。災害の大きさや被災者の数、地域の自治体や政府やNGOが支援を求めているかどうか、そして、宿泊先の問題は短期間かどうか(難民問題に関わってくるため)など、状況や条件に照らし合わせたうえで決定していくそうです。
ホテルに負けない規模と価格!大規模イベントでの需要に応える
アメリカ中西部・ネブラスカ州のオマハは、著名な投資家・慈善家のウォーレン・バフェット氏が運営しているバークシャー・ハサウェイ社がある町として知られています。毎年恒例の年次株主総会の際には、なんと約4万人がこの町には集まりますが、これは町の人口の10%に当たるのだとか。そして町の数少ないホテルは、バークシャー・ハサウェイ社の株主総会の時期になると、急激な値上げをしたり、最低でも3泊の滞在の条件をつけたりしていました。これには質素で知られるバフェット氏も「会場をダラスに変更するぞ!」と憤慨のご様子。
ところが、Airbnb の登場によって2015年の株主総会から状況が一変しました。総会の3週間前の時点で、オマハの住民によるAirbnbへの登録が1,750人となったのです。これは、町で一番大きいヒルトンホテルの収容人数の3倍にあたるというのですから、その規模の大きさが伝わりますね。
最終的にAirbnbに登録された物件数は5,000件にまで到達し、そのうち76%が満室状態になりました。また、ホテルの料金がホテルの場合は通常料金の200%を上回ったのに対し、Airbnbの宿泊料金の平均は通常より60%の値上げにとどまったのです。
これからは、世界各地で開催される大きなイベントにおいて、Airbnbのような共有宿泊施設が重要になると予想されます。そのニーズを反映するかのように、今年8月開催のリオデジャネイロオリンピックでは、Airbnbは公式サプライヤーとなりました。観戦客に手ごろな価格での宿泊先を提供できるように、オリンピック会場近くを中心に、リオデジャネイロ市内で2万人分の宿泊施設を準備しているとのことです。
すでに2014年のリオ・ワールドカップにおいて10万人がAirbnbを利用して宿泊した実績がありますが、今回のオリンピックでもますますその存在感は大きくなりそうです。
Airbnbはスタートアップの味方?新たな資金調達の手段に
Airbnbが普及するにつれて増えてきたのは、意外にもホストになることで収入源を確保する人たち。中には、スタートアップの立ち上げ資金を捻出した人もいるのだそう! 海外で人気の起業家向けブログの1つ 『Both Sides of the Table』では、それらのエピソードが数多く掲載されています。銀行から貸付を断られたという若い起業家なども含まれており、従来の考え方にとらわれない、新しい資金調達の方法として注目を浴びています。
ホストとして手軽に収入を得られるスタイルは、Airbnbビジネスモデルの1つの特徴です。また、Airbnbの共同創立者であるブライアン・チェスキー氏は、このモデルのポイントは”信用”であると言います。
「このサービスを使えば、どんな人でもブランド看板を背負っているようなものです。これまでは大手企業でないと難しかったのですが、今はもう違います。個人であっても信用してもらえるのです」
従来の不動産賃貸業や宿泊業と異なるのは、このビジネスモデルが成立するためにはコンピューターの存在が欠かせないということ。システムのおかげで、事務処理にかかる経費の削減、部屋の運用コストカットが実現されました。また運用に手間がかからないおかげで、規模拡大が可能になりました。
最も大きな変化は、登録している部屋やユーザーのデータを活用できるようになったこと。これにより、利用者が求める細かなニーズと実際の部屋をマッチングさせることが容易になりました。こうして、個々が持る資産を最大限に生かすことができる「シェアリングエコノミー」の理想的なスタイルが確立されたというわけです。

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起業資金に災害支援まで?
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起業資金に災害支援まで?
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編集部チーム
PARAFT編集部
空き部屋を人に提供するシンプルな取引が、広域に広がって数が集まることで、新しい活用方法が見出されるのは面白いことだと思います。2016年になり、シェアリングエコノミ―の動きは世界中に広がっています。日本でも2015年末にはシェアリングエコノミ-協会が発足し、これからますます活発化していくことが予想されます。「シェア」の広がりで、社会がどのように変化していくのかこれから先が楽しみですね。