6万8000人の生の声から分かった日本の残業時間の長さ
レポートを詳しく見ると、回答の中で最も多かったのは「30時間」の14.5%、次いで「40時間」13.7%、「20時間」13.0%となっており、20時間~40時間に多くの人が集中しているように見えます。一方で「100時間」と回答した方が12.9%と、驚くべき結果も。この人たちが平均残業時間を上げてしまったのでしょうか。職種を見ると、クリエイティブ関係の仕事に就く方の残業時間が多い傾向です。これは、納期など締め切りのある仕事で一定の品質を保つものを作り出さないといけない仕事のために、残業時間が増えてしまうものと推測されます。
所定時間以上の残業はNGです!
実は、会社が社員に残業を命ずるためには条件があります。まず一つ目は、36協定を結んでいること、そして期間に応じた残業時間以内であること(1ヶ月45時間まで)です。おそらく上司から「月45時間の残業はしないでほしい」と言われている方は多いのではないでしょうか?
上記の調査結果は、法定の残業時間より2時間オーバーしている上、45時間以上の残業をしていると回答した方も多いことになります。一部上限免除になっている仕事の方や、特別条項付の36協定のもとで働いている方もいるのでしょうが、労働基準法に違反している可能性も否定できません。
残業時間でブラック企業かどうかを見極められる?
長時間労働による過重労働が続くと、脳疾患や心臓疾患などのリスクが高くなり、労働者自身の健康が損なわれる危険があります。さらにひどくなると過労死の問題も出てきます。過労死の危険性が出てくると思われる残業時間は月80時間。このような勤務を当然のように強いる企業はブラック企業と思っていいでしょう。また、36協定の縛りにより45時間以上の残業をさせられないため、残業時間を表向き45時間ということにして、それを超えた残業をつけさせないと言った悪質なケースもあり、問題は深刻化しています。
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編集部チーム
PARAFT編集部
残業自体は決して悪いことではありません。仕事の性質上どうしても残業で対応しなくてはならないことももちろんあるでしょう。仕事によっては労働者にとって天職で、残業を苦に思わないこともあるかもしれません。でも、心身をむしばむほどの長時間労働は命を脅かします。近年、残業時間を減らすための制度も検討されていますが、結果、さらにブラック企業に悪用されることのないよう、制度の整備を願いたいものです。