人材の記事2016.07.01
ダイバーシティ時代の採用戦略
ゲーム形式やビッグデータを活用した新しい評価基準
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2016.07.01 文章 / Shivani Gopalkrishna
学歴を採用基準にするのはもう古い?
そんな中、驚きの経歴を持つ人が! それは、世界最大級のビジネス向けSNS「LinkedIn(リンクトイン)」の求人サービス部門で責任者を務めるエディー・ヴィヴァス氏。数多くの企業と候補者をマッチングさせるため、複雑な数式を使った高度なプログラム設計をしていますが、彼の最終学歴はなんと中卒。17歳で高校を中退するまでシリコンバレーから遠く離れたフロリダに住んでいました。
その後シカゴに移り住み、いくつかの仕事を経て、最初のビジネスパートナーに出会います。そこからビジネスを始め、そして2015年に自分の会社をリンクトインに売り渡したことで、現在のポジションを得ました。
もし、彼がリンクトインの採用試験を受けていたとしたら、果たして今の仕事に就くことはできたでしょうか。
また、世界最大の会計事務所の1つであるアーンスト&ヤング社は、今年の新卒採用から、学歴を選考対象にしないことを決定しました。というのも、これまでに同社で行ったリサーチによると、大学で修めた優秀な成績と仕事でのパフォーマンスの結果には相関性がないことがわかったから。学生時代の成績ではなく、その人物の持つスキルや適性を、より重視して採用することにったのだそうです。人事部や面接を担当するマネージャーが、候補者の履歴書に書いてある情報ではなくオンラインテストの結果を重視。その人のバックグラウンドに左右されることなく、才能のある人材を採用する方針です。
ゲーム感覚のテストで候補者の素質を見極める
その新しい試みとして導入されているのが、各企業で実施されている独自のテストシステム。マーケティング用語では「ゲーミフィケーション」と呼ばれますが、オンラインハッカソンなど候補者が楽しんで受けられるゲーム形式のテストを通じて、その人のIQや性格、仕事での能力や創造力を評価できる仕組みです。
グーグルやデロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)、IKEA、ドミノピザ、はたまたイギリス政府まで、多くの企業で導入が進んでいます。
この新しい試みは、企業にとって採用活動の手間が省けることに加えて、候補者の多くがデジタルネイティヴであるミレニアル世代であることを考えると、人材の適性を判断するのに好都合な手段であるといえそうです。
人材×テックの未来から目が離せない!
たとえば、ある大手企業では社員が関わった毎日のメールや電話の件数を追跡し、その膨大なデータを分析することで、個人やチームの営業成績を予想し、評価に役立てています。コンピュータープログラムを活用することで、どのくらいのパフォーマンスだったのか、営業成績はどのくらいかなど、これまで人間が実施していたよりも正確な予測ができるようになりました。
また、優秀な人材のパフォーマンスをモデルとして、社員の昇進評価の基準にしたり、新たな人材を採用する際のテンプレートとしても活用されています。
特定の誰かの先入観なく判断できるという点において、コンピューターによる評価は新しい判断基準になりそうです。ただ、それだけに頼ってしまうのは心もとないですよね。ITを活用しながら、それぞれの人が多様性を生かして働くことができるように、企業の人材活用が促進されることを期待したいものです。

![ゲーム形式やビッグデータを活用した新しい評価基準:r000016000626 | PARAFT [パラフト]](/files/alias_m1/000016000626/iq3ca3f00fgwac8f60a00q3t.jpg)
ダイバーシティ時代の採用戦略
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ダイバーシティ時代の採用戦略
WRITER
Contributor
Shivani Gopalkrishna
今回は「ダイバーシティ」というキーワードを、採用や人材評価という視点から考えてみました。日本の社会を見渡してみると、ビジネスにおいてもまだまだ学歴が重視される傾向にあるように思えます。海外で上記のような動きが広がる中、日本の新卒一括採用の仕組みはどうなっていくのでしょうか。ヴィヴァス氏のような様々なバックグラウンドを持つ人々が、それぞれの能力を発揮できる社会になっていってほしいと思います。