配偶者控除の記事2018.02.08
壁はこのまま崩れてゆくのか
配偶者控除廃止、社会保険適用拡大、主婦を取り巻く変化に迫る
2018.02.08 文章 / PARAFT編集部
妻の収入が少なければ夫の税金が優遇される「配偶者控除」、廃止の見送りで一安心?
扶養している配偶者が働いていない、あるいは働いていたとしてもアルバイト程度の収入で給与収入が103万円以下なのであれば、扶養している人の所得税を配偶者控除として38万円を引いて、さらに住民税からは33万円引いて(配偶者の給与収入額による)が計算されるというのがその仕組みです。
ただし給与年収が104万円になった途端に損をしないよう、141万円までは配偶者特別控除を受けられたり、106万円未満(2016年9月までは130万円未満)なら扶養者と認められるので社会保険を払わなくて構わないなど、主婦の収入額によりさまざまな免除があったのです。それらが103万円の壁、130万円の壁、141万円の壁などといわれてきた免除を受けられる給与年収の額でした。
総務省統計局が毎年発表している労働力調査によると、パート・アルバイトや派遣社員など非正規職員として働く女性の割合は約35歳を境に急上昇しており、結婚や出産を期に仕事をセーブして働く女性の姿が伺えます。「配偶者控除廃止」の見送りに胸をなでおろしたという人も多いのではないでしょうか。
崩れつつある「130万の壁」、「新106万の壁」とは?
勤務する会社の規模にもよりますが、仕事は「130万円未満、週30時間未満」に抑えて、家事や育児とのバランスをなんとか保ってきたのに……という女性には大きな痛手かもしれません。(ご主人の会社の健康保険の方が、健康診断やフィットネスの割引などサービスが充実しており、そこから抜けるのはもったいないという声も……。)
とはいえ、メリットもあるようです。例えば、130万の壁を超えないよう仕事をセーブしていた場合には国民年金のみの加入でしたが、自分で厚生年金保険に加入することで老後に毎月支給される年金支給額を上げることができます。医療保険の支給については、傷病手当金、出産手当金などの現金給付を受ける際に支給額が上がるそうです。短期的には「106万以上稼ぐと損をする」と感じてしまうかもしれませんが、世帯収入を長期的に考える際にはメリットも把握しておく必要があるでしょう。
配偶者控除、社会保険を「壁」とはとらえない、しなやかに働く女性リアルに迫る
「ひとり目の子どもを妊娠したときに激務すぎて続けられないと思って一度会社勤めを辞めたのですが、私は働いていた方が育児とのバランスも取りやすいと感じて仕事を探しました。でも、時短や出勤日数の希望をきいてもらえる企業は少なくて、運よく政府主導の『新戦略発掘プロジェクト』で今の会社を紹介いただいて働き始めました。雇用形態は非正規職員でしたが、子どもが小さいうちは15時に帰れるよう勤務時間をコントロールしたかったので、社会保険が扶養認定の範囲に収まるよう仕事をセーブしました。繁忙期にはしっかり仕事をしつつも130万円を超えないように、と会社にも相談に乗ってもらえたのは恵まれていたと思います。今は、ふたりの子どもが5歳と3歳になり少し手がかからなくなったので、正社員に登用いただきリモートワークも活用して働いています。」
子どもの成長にあわせて働き方を変えていく。配偶者控除や社会保険などの制度は、働き方を選択する際の「壁」とは捉えず参考に留める。自分の希望の「働き方」ありきで職場を探し、職場とも柔軟に交渉していく……。そんなしなやかさこそが、Yさんのワークライフバランスを支えているのかもしれません。
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壁はこのまま崩れてゆくのか
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壁はこのまま崩れてゆくのか
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編集部チーム
PARAFT編集部
130万円の壁、106万円の壁を気にしなくていいくらい収入を上げるために、勤務時間を伸ばすのは難しいと感じる女性は多そうです。「家事ができない、子どもの幼稚園のお迎えが遅れるなど不本意な生活を送るなら、働きたくない」というリアルな声も聞こえてきます。とはいえ、主婦を取り巻く各種制度は将来的に大きく変わると言われています。そのとき急に慌てたりしないよう、さまざまなケースを検討しておくことが重要です。