コミュニケーションの記事2016.11.08
理不尽な怒りを回避!
なぜ怒る?|『「理系脳」のための「文系」を怒らせない技術』
keyword: コミュニケーション 理系 文系 エンジニア 感情 説明
2016.11.08 文章 / 平原学
<文系脳>を怒らせる、あるあるパターンを覚えよう
出典:Pixabay
<理系脳>は、例えるなら家電製品についてくる「分厚いマニュアル」。マニアックな機能紹介まで載っているため、最初から開くユーザーはあまりいません。それより、使いたい機能だけ載っている紙一枚の「簡単クイックガイド」を先に手に取ります。これこそ<文系脳>の象徴。
<文系脳>の人は自分の知りたい情報のみに注目し、それ以外のものはあまり見ようとしません。例えば<理系脳>の人が、あるシステムの「A」という機能についての説明を求められた際、関連することだからと言って「B」や「C」といった機能の話までしてしまうと、<文系脳>の相手はかえって混乱してしまいます。
またこんなケースも。営業の人を介した顧客とのやりとりで、無理難題を押しつけられてしまい、「できません」と回答。それに対して営業の人から、「できないとはなんだ!」と責められるという結果に。
<理系脳>の技術者は、理詰めで可能か不可能かを述べてしまいがちです。一方で<文系脳>である営業の人は、現実的にできるか否かより、まずは「受注したい」という感情を優先します。受注するためには、できないことは一旦おいて、実現可能なことにだけ触れるという姿勢も必要になります。
詳細な情報と論理性を重んじる<理系脳>、己の興味と感情に正直な<文系脳>。双方の重要視しているものが異なるせいで、すれ違いは起きてしまうのです。
なぜ「伝わらない」のか。<理系脳>が陥りがちな会話のミス
出典:Pixabay
1.自分を知る
2.相手を知る
3.自分と相手との間にあるギャップを明確にする
4.伝える内容を洗い出し、整理する
5.必要に応じて、相手に寄り添う例え話を考える
6.相手にスッと入る話の流れを考える
<理系脳>の人は、この中でも特に1~3の行程を抜かしてしまうそう。例えば「仕事が終わったので帰っていいですか」と先輩に告げたとき、「ちょうどいい、手伝ってくれ」と言われ、辟易してしまった経験はありませんか。これは自分の中にある「帰りたい」意志も伝えず、相手から「手伝ってほしい」という返しがくるのも予想できずに発言してしまうことが問題です。
「伝わる」ための正しい手順によると、まず「帰りたい」という自分の意志を明確にしつつ、その上で相手の視点に立って考えることが必要。「帰っていいか尋ねたらどう返事がくるか」、「忙しそうだから、ひょっとしたら手伝うように言われるかもしれない」、「明日の午前中なら手伝える」など筋道を立て、「仕事が終わりました。今日は疲れが溜まっているので帰ります。明日の朝は何でも手伝えますよ」と発言すれば、帰りたい意志も伝わり、相手の期待にも応えられて、怒られることはありません。
また技術的な話をする際、専門用語を並べ立ててしまうのは、手順3の「自分と相手との間にあるギャップを明確に」できていないから。ちゃんと伝わるような言葉に言い換える必要があります。
例えば江戸時代の人にスカイツリーを説明するとき、「東京タワーより高い634mの電波塔」と言っても伝わるはずがありません。「大きな物見櫓で、江戸城何個分の高さを誇り、江戸中に一瞬でかわら版を届けられるもの」など、相手の知識に合った伝え方をする必要があります。こうした言い換えのスキルを日頃から練習し、磨いておくといいでしょう。
ただ「伝える」から、ちゃんと相手に「伝わる」へ。状況別の改善ポイント
出典:Pixabay
遅れがどれくらい周りに波及するのかなど、リーダーとして、状況を受け止めた上での判断が問われるところです。「その遅れがプロジェクトの進捗にどれくらい影響があるのか」と聞かれても答えられるよう、自分の聞いた話に、疑問点やあいまいな点を残してはいけません。報告するための目的とゴールを明確にするよう心がけましょう。
2つ目。システムトラブルが発生し、保守担当のあなたが、ユーザ側担当者から調査にかかる時間を尋ねられた場合です。「では一ヶ月で」と答え、もっと早くできないのか聞かれて「では二週間で」などと返してしまう。このようにその場しのぎで回答してしまっては、相手の怒りを増幅させるだけです。
慌てて調査を進め、また漏れが出て、問題が再発してしまっては元も子もありません。こんなときこそ<理系脳>お得意の、理詰めの回答が有効。時間がかかるなら、なぜそれだけかかるか明確にして回答することで、相手の信頼へつながります。
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理不尽な怒りを回避!
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理不尽な怒りを回避!
WRITER
コラムニスト、ライター
平原学
そもそも<理系脳>の人が相手を怒らせてしまうのは、相手をよく見ず、すべて自分の感覚だけで発言をしてしまうことにも原因があると言えるでしょう。今回は相手が<文系脳>のときの対策を述べていますが、まず相手をよく見て対策することは、相手が<理系脳>であるときも有効です。「伝わる」ための手順「2.相手を知る」は、どんなときも忘れてはならない策の一つだと心がけましょう。