キャリアの記事2016.11.22
自分らしいキャリアの選び方とは
シリコンバレーに学ぶ!失敗を恐れない次世代の生き方・働き方
keyword: キャリア 生き方 働き方 中野 修二 シリコンバレー
2016.11.22 文章 / 藤川理絵
それって本心? 勇気を出して「自分が何をしたいか」を明確にしよう
出典:PARAFT編集部
中野:今を大切に生きていて、自分の価値観に従ってやりたいことをやろうとしている人が、僕が20代だったときよりも増えている気がします。一方で、有名大学への入学と、大企業への就職というレールに乗りながらも、やりがいを感じられず「このままでいいのか」と悩み始める人も少なくない。しばらく働くと「できること」は増えていきます。選択肢が増えると選ぶ基準となる「何がしたいか」というWILLが必要になってきますが、曖昧だと自分でキャリアを選べないですよね。
ーー自分らしい選択のために、何からすれば良いのでしょうか?
中野:中高生をシリコンバレーに連れて行き将来のキャリアを考える、このプログラムをやってて痛感するのは、自分の本心を言えない学生が大勢いること。彼らの話をよく聞くと将来やりたいことはある。けれど、親の期待や周りの反応を気にして、本心を隠して期待値に合わせた発言をする。それが癖になっているのです。いまの20代や30代にもそういう人は多いかもしれませんね。
僕らはこのプログラムを通じ、「それって本心? そういう将来で本当にワクワクする? 僕の人生じゃないから、あなたがそれでいいならいいんだけどさ。」と疑問を投げかけるんですね。いま背負っている期待やそれに応えるべく積み上げたものを手放すことで、自分の本心を掴めると思うので。
ーーご自身にもそんな経験が?
中野:僕は理工学部で化学、大学院で分子生物学を学んだのち、一般的な進路である研究職ではなくリクルートに入社しました。「いろんな背景や能力を持つ人がいる環境で働く」という価値観を優先した選択でした。リクルートを辞めたときも、「今の仕事に自分はワクワクしていない」という本心を隠したくなかった。起業後のビジネスモデルや事業戦略は曖昧でしたが、「キャリア教育に関することで起業したい」というWILLは明確だったので、とりあえず辞めて。
そうやって一歩踏み出すと、ビジョンがどんどん明確になりました。チャレンジと失敗を繰り返す中で成長感もあるし、新たな課題も見えて来た。自分の価値観で動く大切さを実感しています。
本心からやりたいことに向き合うからこそ、諦めずコツコツ頑張れる
出典:PARAFT編集部
中野:もちろん、無鉄砲になれということではなくて。(笑)これまでの経験やスキルに縛られて、その延長線上でしかキャリアを考えられないと、本心と激しくかい離することもある。時にはいったん断ち切ることも必要かなと。
こうなりたいっていう像があるのに飛び出せないときは、「自分の本心に従って生きている人と触れ合う」のが一番です。ロールモデルと触れ合うことで、「自分もそういう風に生きていいんだ」という納得感を得られます。だから僕らの教育プログラムはシリコンバレーで行っているんです。
ーーなぜ、シリコンバレー?
中野:多様性のある社会で、失敗を恐れずチャレンジし続ける人がたくさんいるからです。国籍も背景も全く違う人たちが集まっていて「人とは違う」ことが前提なので、誰もが自分の価値観で行動しています。「こうあるべき」という妥当解も無いので、人目を気にせず自由にチャレンジできます。失敗も「Good try!」と賞賛し次のチャレンジにつなげる文化はとても魅力的です。
一方、日本は長い歴史の中で培われた社会通念や文化があり、もともとの前提を共有しやすい社会。協調性において日本人は世界トップクラスですよ。そこに、自分のやりたいことに向き合い、失敗から学んでチャレンジするマインドが備わると最強だと思うんです。
日本国内にもフリーランスや起業家の人など、ロールモデルとなる「自分の本心を実践している人」はたくさんいます。友人のつてを辿って話を聞いたり、その人のつながりから自分が興味のある分野でチャレンジしている人を紹介してもらったりすると良いと思います。
ーー本心からやりたいことを実現するための秘訣は?
中野:価値観や自分のやりたいことが見つかった人は、たいていの場合いろいろ足りていないことに気づいて、それを埋めようと努力しています。僕もですが、知識やスキル、資金も経験も、何もかもが足りない。でも、本音でやりたいことに向き合うからこそ、努力して積み上げるフェーズに入れる。最初は凹むんですが、若いから当然だと割り切って、何からどう積み上げていくかを冷静に考えコツコツ実践することが"秘訣"だと思います。
”心のワクワク感”と”思考のキレ” バランス良く両立できていることが大切
出典:PARAFT編集部
中野:まずは、少しでも興味があることを「実際にやってみる」ことではないでしょうか。いまは情報が溢れているので、やったことがないのに分かった気になっていることも多いと思います。体験に基づく”実感”が無いまま判断してしまうことで、無意識に自分の本心に蓋をしていないか、注意が必要です。
実際にやってみると、「楽しい」「つまらない」「もっと面白くなりそう」など、感情が湧きますよね。その感情こそが、本心に近づく第一歩です。
また、感じたことを書き留めたり人に話したりすることも大切です。そうすることで、「感情」が「考え」に変わっていきます。「何に対してどんな感情を持ったのか」「なぜ、そう思ったのか」を問い続け、考え続けることで、自分の中で芯となる考えが見えてくると思います。
ーー心と頭、両方が大切だということですね。
中野:現代は情報も溢れているし、仕事に追われていると特に、思考が働きまくった状態で日々を過ごしがちです。でも、”心のワクワク感”と”思考のキレ”がバランス良く両立できていることが大切だと思うんです。
「本当は何をしたいのか」を感じながら、「そのためにはどうすべきか」を考える。右脳と左脳の行き来があってこそ、自分が何をしたいかという”自分軸”で、自分らしいキャリア選択をできるのではないでしょうか。
また、いろいろな体験やトライ&エラーを重ねていくと、感じることも考えも変わっていきます。そもそもキャリアとは「轍」という意味。日本でキャリアというと、経歴やスキルだと捉えがちですが、本来は「歩んで来た道そのもの」を指す言葉です。自身の本心や変化に正直になって、挑戦して失敗したとしても「ワクワクすること」で稼ぐことができれば、「良いキャリアだ」とひとまず自負してもよいのではないでしょうか。

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WRITER
編集・ライター
藤川理絵
大学や大学院で学んだことと現職との関連性が高くないことについて尋ねると、学んだことも生きているとの回答が。「運動エネルギー=質量×速度の二乗×1/2」という公式を思い出し、「物事にはスピード感を持って取り組んだ方がエネルギーが高いのだから、思いついたら速くトライしよう」とヒントを得ることもあるそうです。一度身につけた専門性を手放して新たなフィールドにシフトしても、それは価値を失うのではなく、別の形で活かされるんだなあと実感できるエピソードでした。