経費の記事2017.04.06
接待費に含まれないものとは?
覚えておかないと損をする!接待費のルール
2017.04.06 文章 / Ruaha 裕子
接待交際費は「含まれないもの」を覚えると分かりやすい
出典:photo AC
接待費とは「仕事に関わる接待や交際に関わる費用」のことです。接待交際費とか交際費と呼ぶこともあります。国税庁ホームページによると、
“交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出する費用をいいます。”
となっていて、非常におおざっぱに言えば「仕事上のお付き合いで支払った費用」ということになります。自由度が高い費用と思われていて、なんでもかんでも接待費につける人が増えたため、最近になって法律上のルールが厳しくなり、仕事の上の付き合いであっても除外される内容が出てきています。
▼ 接待交通費のコツは「含まれないもの」を覚える
「そんなややこしいものは覚えられないよ」という方のために、接待交際費はまず次のような「含まれないもの」を覚えると分かりやすいです。
【接待費・交際費に含まれないもの】
1.職場の社員のために開く運動会、レクリエーション、旅行の費用(福利厚生費になります)
2.役員、従業員及びその家族のために開催した食事会等「飲食」の費用(福利厚生費になります)
3.2以外の顧客との飲食で、参加者の人数で割り勘としたときの金額が5,000円未満の場合
▼ 接待交際費で注意する点
接待、という言葉から「リベート」もこれに含まれるのではと誤解されることもあるようです。リベート(袖の下、とか賄賂という場合も!)は、接待交際費ではありません。
仕事を有利に運んだり、便宜を図ってもらうために取引先に現金を渡す行為は「贈収賄」に当たります。立場や状況によっては犯罪を形成することになるケースもあります。十分注意しましょう。
▼ 仕事上の付き合いでの費用は?
上記以外の「仕事上の付き合い」で発生する費用は、領収証などの証憑(お金を払ったことの証拠になるもの)があれば、接待費、交際費等の科目で経費にすることができます。
また3に関しても、一定のルールを守ることで、接待費にできる場合があります。詳しい方法を次章で見ていきましょう。
接待交際費を経費にするための「お約束」を知ろう
出典:photo AC
細かい内容については業種によって多少の違いはありますが、標準的に多いのは以下のようなものです。
・取引先の季節の挨拶で行う贈答
・取引相手をもてなす目的の飲食
「接待を行った時点では取引がなかったが、接待後に新規顧客になった」ような場合も、「利益を出すために必要な支出」と認められ、接待費として算入できます。
▼ 接待費の注意点
ただし、接待費は水増しなどができないよう、領収証のルールが厳しい点に注意が必要です。接待費は「誰に対して行ったものか」を証明する必要があり、特に細かいのが「一人当たり5,000円以下の飲食費」に関する規定です。
会食、飲み会などの接待で、一人当たりの飲食費用が5,000円を切る場合は、証明が必要になります。
▼ 一人当たりの飲食費用が5,000円を切る場合に必要な証明
・飲食のあった年月日
・接待に参加した得意先・仕入先、その他事業に関係のある人などの「氏名」「会社名などの名称」及びその「関係」
・飲食等に参加した人数
・その費用の金額・飲食店などの名称とその所在地
具体的には、領収証の余白に相手方の名前と会社名、所属などをボールペンなどでメモしておけばOKです。
▼ 判断が難しい場合は確認をとる
事業規模の大きなところでは、一人当たり5,000円以下の接待費の経費漏れが、リベート等と誤認されて問題とされるケースがあります。小規模の事業所では、問題になるほどの大きな経費漏れになることは少ないと思われます。判断が難しい場合は、税務署、税理士相談等を利用して、確認をとるようにしましょう。
▼ 誤解されるのが「専従者との食事や喫茶」の費用
専従者に対して飲食を提供した場合は、福利厚生費に当たりますが、ここに取引先が加わると「接待」と判断され、一括して接待費として計上できます。専従者と二人で食事をしただけの場合は、「どんな状況で食事することになったのか」で経費性が変わります。
「結婚記念日だった」なら、通常の夫婦二人の食事で経費になりません。しかし、「仕事上の出張中の食事」であれば、出張費として経費が認められる場合があります。
こうした決まりは税制改革がされるたびに厳しくなっている印象があります。判断に迷うときは、あいまいなままにせず、タックスアンサーや税理士相談を利用して確認しましょう。
領収証が残せない接待交際費は経費にできないの?
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▼ 領収証の貰いにくい接待費・交際費
・取引相手本人やその家族の冠婚葬祭の慶弔費
・取引相手本人、その家族の出産祝、入学祝い等お祝い金
・取引相手本人、その家族のお見舞い金
・取引先の社屋、工場、自宅等の落成祝金
▼ 慶弔費や御祝い金、お見舞金などの場合
慶弔費や御祝い金、お見舞金などは領収証が出ることがないため、出費したことをどうやって証明するのかがネックになります。
まず、払ったことの証明は宛名と金額のついたのし袋を写真やコピーして残しておくことで証拠にします。葬儀や結婚式などに参加したことを証明するには、香典返しの御礼状や、結婚式の場合は、招待状と一緒に返信はがきを出す前に写真やコピーを撮って一緒に残しておくといいでしょう。
▼ 出産祝いやお見舞いの場合
出産祝いやお見舞いの場合は相手方から内祝いや快気祝い、お礼状などが届いた時は、それらも証憑に使えます。これらは、必ずお返しがあるとは限らないものなので、相手方へ渡した日付などを日記に書いておいたり、病院等へ直接出向いた時は病院駐車場の領収証と一緒にのし袋のコピーを保管しておくのもいい方法です。
お菓子など手土産を一緒に持って行った場合は、その領収証と一緒にセットで保管して、日付の証明としても良いでしょう。
▼ 現金書留を利用
送ったことを確実にしたい場合は、あえて現金書留で相手方の自宅へ郵送すれば、送った日付を証明しやすくなります。この場合は現金書留封筒の外に「出産祝金●●千円」等のような書き方をすると、証憑として使いやすいです。
もちろん、郵送の費用そのものも、通信費として経費計上することができます。
▼ 接待交際費以外の経費についても押さえておこう
接待交際費以外にも、経費に関することはたくさんあります。
他の記事も併せて読むことで、経費に関わることをしっかり押さえて利用しましょう。
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接待費に含まれないものとは?
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接待費に含まれないものとは?
WRITER
ライター
Ruaha 裕子
接待費は仕事上の交際で生じる費用のこと。交際費、接待交際費などの呼び名で利用されることもあります。主に発生するのは、取引先等との飲食や贈答です。証拠になる領収証が取れないものもあります。従業員や専従者、家族との飲食は含まれないものや科目が変わるものと状況で判断が変わることがあるので注意しましょう。接待を行ったときは、相手方の名前を必ず領収証にメモしておくと、経費漏れの予防になります。