著作権法の記事2017.04.13
知らないうちに著作権違反?
副業ワーカーも要注意!知るべきWebと著作権の関係
2017.04.13 文章 / Ruaha 裕子
そもそも「著作」ってなに?
出典:freepik
著作とは、一般的には「本に書かれたもの」のことを意味する言葉で、著作権法上の意味はもうちょっと広く「著作物を創作する行為」を指します。本に限らず、ネーミングやキャッチコピー、戯曲小説に代表される文芸作品、絵画やマンガ等、マークやロゴ、図表、ウェブサイトの構成等のデザイン、ドラマ等の映像作品、楽曲など著作権法上で保護される対象の「著作」は非常に広範囲です。
著作権法は、こうした作品=著作を著作権者だけが自由に利用することで得る利益を守るための法律です。インターネットが全世界中で広まって、閲覧できる端末が多種多様になってきた現代では、著作権法で守られる著作の範囲も広がり続ける傾向にあります。
インターネット環境がさほど発展していなかった時代は、著作のやり取りには紙、レコード、テープなどの物理媒体が利用されていたため、違法な取引をすることには大掛かりな資材も費用もかかりました。このため著作権の保護は比較的簡単で、著作が違法に大量コピーされて流出することは少なかったのです。偽ブランドや、海外で違法コピーされて頒布される海賊版商品等が代表的な著作権違反でした。
ところが、インターネット環境が一般化して、誰でも自由にコンテンツにアクセスでき、デジタルデータのコピーが非常に簡単になったうえ、クラウド上のドライブに大容量データを誰もが無料で出し入れできるようになると、以前には見られなかった著作権法に触れる問題が次々と登場してきました。
デジタルデータのコピーや第三者へ配ること(頒布)は、法律上のきまりが曖昧な期間が長く続いていたことや、海外サーバーを利用した場合だと、日本国内の法律である著作権法だけでは対応できないことなどもあって、人気の高い日本の漫画や雑誌類、音楽類
お馴染みのコミックスや音楽ファイル、動画ファイルの「違法コピー」「違法ダウンロード」が広まると、著作者(作者)も、作者から著作権を取得して出版している版元も、商品が売れず大変な損害を受けることになります。
知らずに違反していませんか?
出典:ぱくたそ
「納品完了後にクライアントが「著作権譲渡になったから、作品データは全て破棄してください。」と言ってる。「私の作品なのに、データ破棄ってどういうことですか!?」と苦情を言ったら、「あなたの作品ですけど、あなたは著作権者じゃありません。」と返信された。これっておかしくない!?」なんて相談をたまに見かけます。
クラウドソーシングでは成果物を納品すると同時に、条件として「著作権譲渡」があらかじめ決められている場合が少なくありません。これは「納品が終わったら作品の著作権は、クライアントのものになります」ということです。自分で書いたりデザインしたものであっても、著作権を譲渡してしまった後は、その著作に関する権利はクライアントのもとなり、「自分の作品であっても、自分のものではない」という状態になります。
一切の権利がなくなっているのですから、著作権譲渡後の著作がどこでどのように扱われても、原則的には苦情を申し入れたりもできませんし、自分の著作であることを主張することも難しくなります。(例外は次章で詳しく述べます)
著作権を譲渡した後、同じ著作を「自分のもの」として第三者へ提供したりすると、著作権法違反に当たる恐れがあります。新しく仕事を頼みたいクライアントへ過去の作業として見てもらう程度までは許される範囲ですが、相手がファイルを維持している状況だと、グレーです。受け取った相手やあなたが「自分のもの」として公開したりすると著作権法にひっかかる可能性が出てきます。
著作権を持っている人=著作者(作者)とは限りません。著作者(作者)自身が著作権を維持している場合は、著作(作品)を利用したい人が著作者に対して使用許諾料を払うなどの方法によって、著作権の一部を使わせてもらう方法をとっています。著作権は作品の財産としての価値を保護する目的の権利なのが良くわかりますね。
自分で自分の著作を相手に、著作権法違反にならないように取り扱いには注意が必要です。
著作権と著作者人格権の違い
出典:freepik
著作者人格権は法律上著作者自身だけが権利を持ち(一身属性)「著作物に関する人格的利益の保護を目的とする権利」です。著作権の場合は、著作者が死亡時の相続対象財産と決められていますが、著作者人格権は著者が亡くなると同時に権利も消失すると解されています。(例外あり)
著作者人格権で保護されるのは「著作権者」ではなく、「著作者」というところが最大の違いです。著作権は著作の「財産としての権利」を守るものなのに対して、著作者人格権は「人格的保護」が目的となっています。
著作者人格権の分かりやすい例は「小説やマンがのキャラクターの人格の保護」です。作品中の設定、キャラクターの持つ性格などは、著作者以外の人が勝手に変更してしまうと、作品そのものの持つ方向性や、イメージが変わってしまいます。
小説の文章や絵柄の色合いなどの変更は、作品そのものに影響を及ぼす心配のない範囲なら、著作者人格権は侵害されていないと判断されます。しかしキャラクターそのものを勝手に改変してしまうと、作品世界自体が著者の作ったものと全く変わってしまうことになります。これは作品を破壊する行為と見なされ、著作者人格権に抵触する恐れがありと判断されます。
著作者人格権は、作品に描かれたキャラクターたちが実存していたら当然に守られているはずの権利を保護することで、作品の改変を防いでいるのです。
著作者人格権は譲渡ができない権利ですから、第三者へ著作権譲渡した作品であっても、その作品世界を勝手に改変された時は、著作者人格権に基づいて本来の状態へ戻す請求を行うことができます。国内法では著作者死去後の保護は明記されていませんが、国際法(ベルヌ条約)では、著作者死去後でも侵害があれば名誉回復が認められる例もあります。
原則論から言うと、二次創作マンガや小説などは著作者人格権的にはグレーな行為ということになります。業界として厳しく取り締まらないだけで、著作者から強い抗議が起こった場合は大騒ぎに発展する可能性も考えられることは押さえておくべきでしょう。個人で楽しむレベルなら問題はありません。

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知らないうちに著作権違反?
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知らないうちに著作権違反?
WRITER
ライター
Ruaha 裕子
著作権と著作者人格権は、名前が似ているけれど別物の権利です。著作権は著作物(作品)の財産としての権利を守るためのもの、著作者人格権は、作品そのものの内容や作品世界を守るもの、と解されます。 クラウドソーシングなどでは、著作権譲渡の仕事が多く見受けられるます。納品後の成果物データの取り扱いには注意が必要です。 著作権侵害は損害賠償請求の対象となる場合があります。取り扱いには十分な注意を忘れずに!