働き方の記事2017.02.14
自分らしい幸せを選んで生きる
『ANYTIMES(エニタイムズ)』角田氏が描く未来像-前編
keyword: 働き方 生き方 ANYTIMES エニタイムズ 角田千佳
2017.02.14 文章 / 藤川理絵
地域コミュニティを再構築するインフラをつくりたい
出典:PARAFT編集部
角田:ご近所さん同士が「これちょっとお願いしたい」「これならお手伝いできるよ」というチケットをインターネット上で売買できるマッチングサービスです。家事清掃や子どもの送迎、歌やカメラなど得意なことを教えてほしいなど、いろんな”得意”を比較的手頃な価格で売り買いして頂いています。
--「ご近所さん」に焦点を当てているところがユニークですよね。サービス立ち上げに込めた想いを教えてください。
角田:3つのことについて社会的な課題を感じていて、同時に解決できる方法はないのだろうかと考えていました。ひとつ目は、超高齢化社会。ふたつ目は、地域コミュニティの希薄化。それから、多様な働き方に対するニーズの高まりです。
事業のヒントを得たのは、新卒で入社した野村証券でリテール営業をしていたときまで遡ります。「働いて社会の役にたちたい」と考えているアクティブシニアや主婦の方は数多くいらっしゃるのに、活躍できる場を見出しせないでいる。それに、地域のつながりが薄れたことで高齢者や単身・共働き世帯が孤立していることなど、日本社会が抱える課題を肌で感じたんです。
地域コミュニティに人と人のつながりを作り、新たなの活躍の場としての仕事や働き方を生むには、どうしたらいいのか考えるようになりました。
--理想の地域コミュニティとは?
角田:まず、核家族化が進む現代で、昔のように3世帯が一緒に暮らしたり、密に地域でつながって暮らすなど、”昔に戻そう”というのは違うかなと思いました。昔のような無償で助け合う強いつながりではなく、ちょっとした知り合い、知り合いの知り合いみたいな、”弱いつながり”がたくさんあるのが理想ですね。
”弱いつながり”なので、ボランティアではなく、財を介す事が必要になります。そうすることにより、「申し訳ない」という気持ちにならないという利点もあります。必要なときだけ、条件に合う人だけがマッチングできる。そんな地域コミュニティの再発見・再構築をイメージして、インフラになるようなサービスを立ち上げたいと考えました。
副業から適性を見つける新しい働き方を
出典:『ANYTIMES』
角田:いまは、いわゆるアーリーアダプターの方が多いです。例えば、東京23区にお住まいで、ITリテラシーが高く、Airbnbのようなシェアリング・エコノミーの仕組みをよく理解されていて新しいサービスを使いたいと思っている方たちですね。
サービスが広まるのには順序があるので、これから一般の市民の方、主婦の方、アクティブシニア、高齢の方へと順々に広まっていくと思いますが、家事代行で起業された60代の女性もいらっしゃって、その兆しは見え始めていますね。
--具体的にお聞かせください。
角田:はい、その方は主婦としての長年の経験を活かして、清掃のお仕事をされていたのですが、ひとりではまわらないほど発注が増えてしまって、会社にした方がいいんじゃないかということで起業されたそうです。
他にも起業ではありませんが、カラオケで歌を教えてくださいというチケットに、歌の教室を開くほどじゃないけどカラオケくらいなら教えられるとマッチングした例など、”副業やちょっとしたお小遣い稼ぎも兼ねた助け合い”が、実際に成立しています。
また、これは私自身のユーザーとしての体験ですが、視覚障がいの方の歩行のお手伝いというチケットをたまたま見つけて応募して、全くの未経験でしたがお手伝いさせて頂いたこともあるんですよ。
--自分にできることを売るだけじゃなくて、「こういうことしてもらえませんか」というご近所さんのリアルなニーズを見て、その中から自分にできることを探せる。新しいですね。
角田:そうなんです。ちょっとした日常のお手伝いって基本的には誰にでもできることです。それなのに、自分ができると思っていなかったり、やる機会がなかったことって、たくさんあるんですよね。
「これやってもらえませんか」という依頼をみて応募したこときっかけで、自分の志向を発見できたり、それをやることによって意外な自分のスキルに気づけたりできるのは、『ANYTIMES』ならではかもしれません。「副業やちょっとしたお小遣い稼ぎから適性を見つける」というのは新しい働き方だとも思います。
固定観念にとらわれて選択肢を狭めていないかを問う
出典:PARAFT編集部
角田:「固定観念にとらわれて選択肢を狭めていないか?」という気づきを得て、実際の行動につなげる機会として『ANYTIMES』をご利用頂けると嬉しいですね。実体験から得た気づきは、転職や独立を考えるときにも、「自分らしい選択」をするために役立つと思います。
いまの日本社会はまだまだ社会の枠や固定観念が強いですよね。「自分らしい選択」をしようとすると、批判されることもしばしばあります。多様な生き方からその選択肢を取ったというだけなのに、「道を逸れた」と周りが過剰反応しすぎていて、周りから言われるから本人もそう思ってしまい、そう言われるなら正しいとされる道に戻ろうとか思ってしまう。その結果、自分が何がしたいのか、何ができるのか、何が幸せなのか、考えずに生きるようになる。そういう方も非常に多いのではないでしょうか。
--知らずしらず固定観念にとらわれているがために、幸せから遠ざかっている、ということですよね。そこから解放されるためには、どうしたらよいでしょうか。
角田:個人的には、個人個人が幸せの尺度を豊富に持つことが重要だと思います。「幸せだな」と感じることを基準に、働き方なり生き方の選択肢を増やしていく事が出来ればと思います。そして、それをお互いに認め合える社会をつくっていくことも必要ですよね。
失われた20年でいま時代が大きく変わりつつあります。”幸せ”に生きるためにはそういったマインドチェンジは不可欠ではないでしょうか。
というのも、『ANYTIMES』は新たな雇用の創出を目的のひとつとしていますが、こういったシェアリング・エコノミーってお金を介さずサービスの交換でも成り立つものなので、今すぐじゃなくても究極はそこまでいくのかなと思っています。
これはつまり、これまで当たり前だった資本主義の在り方も変わりつつあるということです。こんな時代だからこそ、「固定観念にとらわれて選択肢を狭めていないか?」と自問自答し、少しずつでも動いていくことが、幸せに生きることにつながるのではないでしょうか。

![『ANYTIMES(エニタイムズ)』角田氏が描く未来像-前編:r000017002169 | PARAFT [パラフト]](/files/alias_m1/000017002169/iysuratb07xzac8f60106k06.jpg)
自分らしい幸せを選んで生きる
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自分らしい幸せを選んで生きる
WRITER
編集・ライター
藤川理絵
「長時間労働や出世至上主義に別れを告げて違う道を選択する」などと考えたりする余裕すらない……という人も少なくないかもしれませんが、そんな人こそ『ANYTIMES』を覗いてみて。あなたにできる、あなたが本当にやりたいことが、ご近所で見つかるかもしれません。後編『ビジネスは想定外が面白い』では、時代の最先端を駆け抜ける角田さんの、女性起業家・経営者としての素顔に迫ります。