脳科学の記事2017.03.15
脳科学でコミュ障を解決?
脳トレで身につける|『脳科学が解き明かす 人を動かす伝え方』
keyword: 脳科学 加藤俊徳 伝え方 コミュニケーション 言葉
2017.03.15 文章 / 平原学
【体験談】言葉だけでは伝わらなかった、二つのパターン
出典:Pixabay
どちらのケースも、媒体や取材内容などの情報は言葉でしっかり伝えた筈ですが、本書を読んで振り返ると、どうやら別のところに問題があったことがわかります。
まず「何を言っているのか」と言われた前者のケースでは、「手短に用件を伝え」るつもりが、つい焦って早口になったことが問題でした。まくしたてるような話し方をすれば、いくら相手がこちらに耳を傾けてくれていても、脳が疲れて聴きたくなくなります。
また後者は、言葉だけで説明しようとして失敗したパターン。そのとき相手が求めた「取材の目的」とは、「こういった内容の企画を遂行するために必要です」という理屈の話ではなく、「他に取材に適した相手はいないのか。こちらが取材先でなければいけない必要性はあるのか」という、言葉にするのが難しい熱意の有無のようなものでした。この場合は取材を申し込むより前に、一度相手へ会いに行くなど行動が求められていたのです。
“大切なことがきちんと伝わるには、言葉以外のものを伝えることが不可欠です。”
本書はそう説きます。この「言葉以外のもの」を伝えるためにこそ、脳を鍛える必要があるのです。
脳は大まかに、8つに分かれる
出典:Pixabay
また後者の「相手が何を求めているのか」を見つけやすくするには、「理解系」「聴覚系」「視覚系」「記憶系」と複数の脳番地を活性化させる必要があります。
「8つもあるのに、それぞれ鍛えなきゃいけないのか……」とウンザリしてしまうかもしれません。しかし本書では、それぞれの脳番地は「組み合わせ」によって育成できると述べます。
“たとえば音楽を聴くとき、ただだまって音楽に聴き入るのではなく、歌を口ずさんだり、リズムに合わせて体を動かしたりすれば、聴覚系と運動系、両方の脳番地を同時に鍛えることが可能です。”
コミュニケーションが苦手、できているつもりができていなかったと言う方ほど、脳の活性化されていない箇所が多く残ります。逆に言えば、それはのびしろが多く、鍛え甲斐があるということ。ならば具体的に、どう鍛えていけばいいのか。次の見出しで、本書から一部を紹介していきましょう。
まるで『ベスト・キッド』?脳を鍛える日常のあれこれ
出典:Pixabay
・天気を予測しながら「空模様」を見る
・植物やペットの気持ちを察する
「そんなことが何の役に立つの?」と思った方も多いはずですが、ご安心ください。1984年の映画『ベスト・キッド』で、ワックスがけをしたりペンキを塗ったりという動作(2010年のリメイク版ではひたすらジャケットを着る、脱ぐ、かける)が格闘技の型になっていたというシーンがありますが、まさにそれ。例えば「空模様」を見るトレーニングは、意識的に空の模様を見て視覚系脳番地の働きを高めることによって、相手の気持ちや状態をつかむための鍛錬につながります。スマホで天気情報など軽く取得できてしまう現代、育成が阻害されている「観察し、判断する能力」を磨きましょう。
また、「説得力」を身につける脳トレには、以下のようなものが。
・歩いた歩数を「記録」する
・ヨガやダンスで「エネルギーの流れ」をよくする
・「書道」をする
「『エネルギー』なんて言われて、なんだか宗教じみてきた……」と警戒する必要はありません。すべて「脳科学」に基づいたトレーニング法。本書で目的を理解しつつ、取り組んでいきましょう。
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脳科学でコミュ障を解決?
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脳科学でコミュ障を解決?
WRITER
コラムニスト、ライター
平原学
小手先のコミュニケーションのテクニックを教えるのではなく、脳のトレーニングという根本的な解決策から説いた本書。鍛え方だけでなく、後半には実践編や技術編なども掲載されています。「人付き合いが苦手なのは、持って生まれた性格」と諦めている人も多いかもしれません。しかし少しでも改善できれば、人との会話はグッと楽になるはず。『ベスト・キッド』の主役になったつもりで、ぜひ取り組んでみては。