読書の記事2017.02.15
寒い冬こそ読書で頭を熱くしよう
約4割の人が「趣味は読書」と回答しているけれどその実態は?
2017.02.15 文章 / 千歳敬雄
1か月に1冊も本を読まない人は何%か?
【質問】あなたが1ヶ月に読む本は?
「読まない」47.5%
「1〜2冊」34.5%。
「3冊以上」18%。
約半数が「読まない」という衝撃の結果。
参考までに日本人の識字率を確認しておきましょう。近頃は識字率の調査が無いので古いデータになりますが、戦後間もない1948年に実施された「日本人の読み書き能力調査」で非識字率に該当する割合が2.1%とあります。逆算すると識字率は98%になります。70年前に98%の識字率があったと推定される訳ですから、大抵の人は「字は読めるけれど、本は読まなくなっている」という事になります。
では何故、読書出来ないのでしょうか? (複数回答)
「忙しくて時間が無い」51.3%
これは何となく想像どおり。読書に限らず「やった方が良いのは分かっているけれどやってない時の理由」のNo.1ですので。さて、前回の調査結果と差が大きいのは
「情報機器で時間が取られる」26.3%
という項目です。これは嫌な感じです。情報機器で情報収集していれば良いのですが、それ以外の用途に時間が取られてしまっているのかも。SNSやゲーム、音楽が悪い訳ではないですが、時間が無い要因はそのあたりなのかな、と。
上手に本を読むための工夫を伝授します
▼ 私の本選びのパターン
① テーマを決める
興味がある、必要に迫られた、などきっかけはいろいろありますが、まずはテーマです。知りたい事がどの分野なのか分からない場合は素直に書店や図書館で司書さんに相談。
② その中からピンとくるやつを探す
個人的には好みのリアル書店で見て回るのが幸せです。もちろん、ECは便利なので、後述する横の読書をする場合はアマゾンのレコメンデーション機能がお利口さんで面白い作品を紹介してくれるのでついで買いしています。
③ そのテーマにどの程度深入りしたいのか決める
一冊でお腹いっぱいの場合と、気になって色々知りたくなる場合など興味分野は人それぞれです。この先、その分野とどのくらい腰の入ったお付き合いをするのかを何となく決めておきましょう。でないと、似たような書籍を買い続けたりする事になり、お金と時間を無駄にしてしまいます。私はこの時に「縦の読書と横の読書」というマトリクスを脳内に描いて本棚整理しています。
▼ その本を買うかどうかの判断基準
① 目次をたどる
本で得られることの目安を持つためです。
② 書評を読む
書評やレビューは確認してから判断する。
③ 参考文献を確認する
どうしても迷う場合や高額な書籍の場合は参考文献などをチェックして、著者の情報量や感度を確認する。
その上で、
・タイトルや著者がふと気になったレベルなら①で確認
・テーマそのものに関心がある場合は①と②は必須
・専門家の世界を垣間見たりしたいなら③まで
【番外編】ほかに装丁を見る というのがあります。これは出版社の本気度も確認出来るので時には有効ですが、「装丁買い」して失敗する事も当然あります。
あなたが残り人生で読める本は何冊くらいあるのか?
現在30歳の人の平均余命57.5年と月の平均が2冊という前提で計算すると、今30歳のあなたが残りの人生で読める本はおよそ1380冊です。これを多いと感じるか、少ないと感じるか。
一年で76,000点くらいの書籍が出ているので、今後もこのペースが続いたと仮定した単純計算だと、あなたが平均余命を終えるまでに世の中に出てくる本のわずか0.032%にしかなりません。読んだ本というのはその人の人格に必ず何かしら影響すると思うのですが、私たちが生きている間に接する事が出来る書籍は本当にわずかな範囲でしかありません。だからこそ本選びは大切ですし、本に限らず映画や舞台など美術・芸術も含めて、「他人が発したものに触れる」習慣を今のうちに身につけておきましょう。40歳を過ぎる頃には持ってる引き出しの数に差が出ているはずですから。
【参考文献】
・平成25年度 「国語に関する世論調査」(文化庁)
・「国際教育協力論集」第15巻第1号(2012) 、 広島大学教育開発国際協力研究センター、識字能力・識字率の歴史的推移――日本の経験 (斉藤泰雄、国立教育政策研究所)
・「日本人の読み書き能力調査」(1948)の再検証 / 角知行

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寒い冬こそ読書で頭を熱くしよう
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寒い冬こそ読書で頭を熱くしよう
WRITER
マーケター
千歳敬雄
最後に「それでも読書苦手だなぁ」という人向けに、短編やエッセイなど読みやすいものも含めてご紹介しておきます。 ▼「 小泉今日子の書評」小泉今日子 (中央公論新社) 本が苦手でも手に取りたくなる本が一冊は見つかるはず。 ▼「嘘つきアーニャの真っ赤な真実 」米原万理 (角川文庫) 複雑な民族と歴史が交差するプラハで共に学んだ4人の少女の30年後を巡る旅を通じて生きていく現実を知る。 ▼「大人のための残酷童話」倉橋由美子 (新潮文庫) おなじみのギリシア神話やグリム童話の世界も一皮むけば人間の業がむき出しになる現実的なお話ばかり。毒のある文書で楽しむ創作童話。