有給消化の記事2017.06.15
有給の計画的取得もスキルのうち
退職するまでに有給休暇を消化できないとどうなる?
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2017.06.15 文章 / Ruaha 裕子
有休消化をしないで退職するのはもったいない?
出典:photo AC
▼ 有休休暇とは?
そもそも有給休暇は労働基準法が定める労働者(雇われて働いている人)の権利で、この制度は働く人が個人の生活を仕事によって必要以上に脅かされることなく、健康を守りながら働けるよう作られているものです。
▼ 有給休暇のルール
労働基準法上のルールでは、
「有給休暇は働きはじめてから6か月後に初めて発生(もらえるようになる)して、そこから2年後に消失する」
と決められています。つまり勤務期間が6カ月未満であれば原則として有給休暇は発生しません。また、働きはじめて2年半後までを使わないでいると、最初に付与された分は時効を迎え自動的に消失してしまいます。
▼ 有給休暇の決まり事
有給休暇は基本的には期間内にどんどん休暇を取って消化してくださいねということになっています。労働者が休みを活用しやすくする目的で、有給休暇取得についても次のような決まり事もあります。
・会社が「この日に有給休暇をとれ」と命令することはできない
・「有給休暇をとりたい」と言われたら、会社は原則的に与えなければいけない。ただし仕事との兼ね合いで「取るタイミング(時季と言います)」を変えてもらえるよう依頼できる(詳しく後述します)
・有給休暇を申請したことを理由に、給与や勤務の待遇を悪くすることは認められない
▼ 有給休暇のNG
有給休暇取得を上司が認めないと却下することは「有給取得妨害」と言われる立派な違法行為に当たります。また、有給休暇を与えない代わりに、金銭を払って有給休暇を買い取ることも禁止されています。
▼ 退職間際に有給休暇を使い残していることが発覚したら?
これは結構問題になります。なぜなら会社が有給休暇を与えないことは上記の理由で違法になってしまうから。会社側としてはなるべく有給休暇を全部使ってから辞めてくださいというしかありません。実際にはどのような処置がとられるかを見ていきましょう。
間際にまとめてとる!使い残しをなるべく解消させて退職する
出典:photo AC
▼ 有給休暇の会社側の権利
そこで法律上のルールでは有給休暇の時季変更権というものを会社側に与えることで、
「そのタイミングで休まれるとちょっと困るので、時期をずらしてもらえないか」
と、労働者に申し入れる権利も同時に与えています。
これはあくまでもお願いであって、“命令”ではありません。有給休暇をいつ取りたいかを決定する権限があるのは労働者側で、雇用する会社側にその権限はなく「この日に有給休暇をとれ」と命令することはできない仕組みとなっています。
▼ 退職間際の有給の変更は有効?
では、退職間際の場合でもこの「お願い!別の日に休んで!」は有効なのでしょうか?
結論から言うとNO。なぜなら時季変更権は退職間際になるともう変更の余地がありません。退職を目前にして有給休暇取得を申し入れられた場合は、会社側が時期の変更を申し入れることは事実上不可能です。
▼ 退職間際に有休をまとめてとる
先ほどお伝えしたように有給休暇は2年で消失しますが、人によっては最長で1か月程度貯まる場合も。実質1か月間は仕事をしないまま給料をもらい続けることができることになります。転職や転居を予定している場合で事業所側との調整ができるのであれば、まとめて取ることは労働者側にとってはメリットが大きいでしょう。
▼ 有休をまとめてとるなら、事前に話し合いをしよう
会社は労働者が有給休暇消化中である以上、出勤していなくても給与を払い続けなければなりません。もちろん社会保険などの負担もあり会社側に負担をかけることは否めません。退職前にまとめて取得する方法は合法的ではあっても、それまで築いてきた会社との信頼関係を壊さないよう事前の話し合いによって決めることが必須だといえるでしょう。
有給休暇中にできないこと? 買い取りは?
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退職間際に有給休暇をまとめて消化できることは退職する本人にとって嬉しいことですが、実は意外なデメリットがあります。
・有給期間中の行動が制限される(所在をはっきりさせて、連絡は着くようにしておかなくてはならない)
・会社によっては“副業NG!”で、求職活動も制限される場合がある
・有給期間を終えるまでは、転職先に入社できない
いくら退職が決まっているとはいっても、基本は退職日までは勤務先の会社と労使関係を結んでいることをお忘れなく。
▼ 退職時に使い残した有給休暇の買い取りはできる?
会社が有給休暇を与える代わりにお金を払って休ませないというのは、有給休暇の本来の主旨に反するとして法律で禁止されています。そのため退職する社員の方から「有給休暇が余っているから買い取ってくれ」と頼んだところで、応じてくれる会社は多くないでしょう。
稀に買い取りはできるという主張もありますが、これはあまりおすすめできないグレーゾーン。法律に則った方法で処理するのであれば、有給休暇を消化する時点まで手続き上は退職を伸ばして、使いきってから退職するのがベストです。
▼ 退職を考え始めたら、有給休暇の消化も考慮しよう
これらの条件を合わせて考えると、退職を考え始めた段階から有給休暇は上手に消化して減らしておく工夫が必要です。有給休暇の消化も転職活動計画の一環として考慮してみてくださいね。
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WRITER
ライター
Ruaha 裕子
退職、転職を間近にすると、生活がとても慌ただしくなるものです。有給休暇はそんな時こそ上手に活用したいもの。退職を決めたら半年くらい前から計画的に、有給消化プランを作ってなるべく使いきって辞められる方法を相談できるのが望ましいでしょう。どうしても使い残してしまった時には、使いきるまで退職の日付を伸ばす方法が合法的な手続き。不都合が生じないような有給消化方法を利用できるよう、会社ともしっかり話し合っておくといいでしょう。