20代の記事2017.05.08
20代で身に付けたい3つの力
時期を逃したら後悔する?20代のうちに学んでおきたい能力とは
keyword: 20代 黒田真行 若手 社会人3年目 ビジネススキル
2017.05.08 文章 / 黒田真行
「社会人の初期」にしか鍛えられないことがある
出典:Pixabay
特に社会人3年目以内の若手ビジネスパーソンにとっては、
●その時期にしか学べないこと、
●その時期に学んでおかないと後悔しがちなこと
がいくつかあると思っています。
私は今、社会人経験で言えば10年以上のベテラン人材やリーダー、マネジャーなどの管理職の転職のご相談を受けることが多いのですが、ときどき下記のような声を聞くことがあります。
「20代の時に、もっとはげしく勉強しておくべきだった。少なくとも本を読んでおかなかった自分にクレームをつけたい」(37歳・webサービス会社・営業マネジャー)
「新入社員のときの上司はとても優しかった。その時は気楽でいいと思っていたが、なんであの頃に鍛えてくれなかったのかと今では後悔しています。人を恨んでも仕方ないんですけど」(33歳・広告代理店・営業)
「入社直後、仕事をなめてかかっていた自分の鼻を、思い切りへし折ってくれた先輩がいた。その時は反発したのですが、今となっては、あの人がいなければ今の自分はなかったと心から感謝しています」(42歳・住宅・人事課長)
社会経験を積んで、自分自身を相対化できる世代になってから、20代という年代でしか得られない“学習効果”に気が付く人が多いようです。この重要な時期を自分にとってプラスになるような使い方をして、後になって「20代に●●しなかったことを後悔している」ではなく、「20代に●●しておいてよかった」と思えるようにしておいていただきたいと思います。
ビジネスの世界で生き抜いていくために、できれば20代で学んでおきたい能力とは何か?
大きく分類して3つあります。
これからの仕事人生は想像以上に長く、紆余曲折があるかもしれない
出典:Pixabay
「人に好かれる能力」と言ってもいいのかもしれませんが、八方美人的に愛相を振りまき、人に好かれること自体が目的になると本末転倒なので、あえて(不必要に)人に嫌われない能力としました。ビジネスの世界では、人と人の信頼関係のあるつながり(“人脈”という言葉はここでは使いません)は、非常に重要なウエイトを占めています。
自分にとって重要ではない事柄で関係性が毀損されたり、ちょっとした誤解で信頼を失うこと自体が、のちのち大きなロスになりかねません。逆に、フラットな関係で会ったとしてもふとしたきっかけで助け、助けられたりすることや、思わぬところで仕事上の接点ができたりすることもしばしばあります。
20代の方にとって、これからの仕事人生は想像以上に長く、紆余曲折があるかもしれないものです。
ここで最も大切な基本行動は、多様な生き方や価値観を理解しようとする習慣です。
だれかれ構わず、テクニカルに、人に好かれようとする必要はまったくありませんが、不用意に敵を作らないこと、できれば多様な価値観を知り、受け入れて、良好な人間関係を積み上げておくことは、とても重要な見えない財産になるはずです。
地道にやり抜くこと、そして「叱られ上手」になること
出典:Pixabay
「あきらめない力」「やり抜く力」「GRIT」というキーワードが最近注目されていますが、その前提になる基本的な能力が「なにごとも手を抜かずに取り組む能力」だと考えています。一見すると、「生産性を高める」「要領よく働く」ということと相反するように見えるかもしれませんが、ビジネスの世界で、個人が長く、強く、信頼されながら働き続けるためには、不可欠な能力です。実際には、能力というよりも習慣といったほうが近いかもしれません。
派手な業務ではないが、地道に続けることでスキルが積みあがる仕事や、短期的には無駄に見えることでも、長い目で見ると、結果的に生産性を高めているという仕事上の習慣はささいなところにたくさんあります。
医療や建築技術、自動車や家電など、机上のデータや過去の成功パターンの分析もとても重要で有用ですが、顧客やユーザーと長年接点を持ち、ひとつひとつに向き合った経験から生まれた新しいサービス企画やイノベーションは、地道な改善活動の総和であることが多いのも事実です。
生産性を上げると言いながら、手を抜くこと、全力で取り組まないことに慣れてしまうと、いざというときに本来のパワーが出力できないリスクが高まるので注意していただきたいと思います。
【その3】「叱られ上手」という能力
誰かにアドバイスをもらえる機会が多いということは、若さの最大の特権かもしれません。
叱られ上手、というよりは、アドバイスもらい上手、とか、アドバイス長者といったほうがいいのかもしれませんが、「叱られ上手」というのも立派な能力だと思います。
とはいえ、なんでもかんでも先輩の言うことを聞け、とか、年長者のアドバイスを満額全身で受け止めろ、というつもりはありません。
【その1】のところで触れた「多様な生き方や価値観を理解しようとする習慣」を先輩方に対して発揮し、ビジネスの経験値が高い(ただし、成功・失敗の時代背景や状況は異なる)過去のノウハウ資産を十分に引き継ぐこと(ただし、自分なりの判断基準で取捨選択すること)ができると、これほどありがたいことはありません。
先輩たちの成功や失敗を、今の時代に変換して、うまく自分のものに取り込むことで、もしかすると自分の成長速度を倍速に高めることができるかもしれないのです。「先輩の説教の銃撃を受ける被害者」として上司世代を呪う若手の声もたくさんあります。確かにウザいだけのパワハラ上司もいるので、わが身の不運を恨めしく思う気持ちもわかります。ただ、人選を間違えずに、自らのためになる情報を吸収しに行くことで「無料でノウハウをもらえる役得者」になり、知らず知らずのうちに大きな財産を手にできる可能性があることもぜひ忘れずにいてください。

![時期を逃したら後悔する?20代のうちに学んでおきたい能力とは:r000017002858 | PARAFT [パラフト]](/files/alias_m1/000017002858/j2706rpx0k1pac8f6060faax.jpg)
20代で身に付けたい3つの力
この記事が気に入ったらいいね!しよう
PARAFTの最新記事をお届けします。
┳CAREER CHANGE┻
20代で身に付けたい3つの力
WRITER
ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役
黒田真行
ルーセントドアーズ株式会社・代表取締役。求人非公開企業の経営者12, 000人に「経験・スキル」を人工知能を活用して直接打診することで、転職サイトでは見つからない出会いを広げる転職支援サービスを運営。
▶ 職歴打診型の転職支援サービス「Career Release40」
<略歴>1965年 兵庫県出身。1989年株式会社リクルート入社。 2006年~2013年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。 2013年 リクルートドクターズキャリア取締役・リクルートエージェント企画責任者などを歴任。近著:『転職に向いている人 転職してはいけない人』(日本経済新聞出版社)
[他の連載] 次 >> 新入社員諸君、2059年の定年退職までどう働...
前 >> 希望部署に配属されなかった新社会人の皆さ... #1>> 元リクナビNEXT編集長が語る「これからのキ...