イケダハヤトさんの記事2017.05.08
イケハヤの仕事論
それでも東京で消耗しちゃうの?【イケダハヤト】
keyword: イケダハヤトさん 地方移住 限界集落 高知 子育て
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2017.05.08 文章 / PARAFT編集部
東京では子どもを育てられない
僕が最初に入った大企業は、大きな赤字を出して沈みゆく船だったんです。それですぐ脱出してベンチャー企業に移りました。ウェブマーケティング系のコンサルタントをする会社でしたけど、今振り返ると、生産性が必ずしも高くなかった。ビジネスモデルがそうなっちゃっている。そうなると、もうけを出すために長時間労働しなくてはならず、みんな毎日夜遅くまで働いていました。夜12時くらいまで働いていたら体が壊れていきますよ。うつ病で倒れていく人もいました。いくらベンチャーでも、それはよろしくないだろうと思いましたね。
いろいろと思うところがあって会社を辞め、独立したんです。ただ、当時はコンサルの仕事を中心にしていたのでお客さんのところに行かないと仕事にならない。そのうちに子どもが生まれることがわかった。僕はなるべく子どもと一緒にいたかったんです。それでもっと生産性が高い仕事ってなんだろうと思ったときに、もともとやっていたメディアの仕事はいいなと思いました。ブログに注力して一日8時間とか、がっつり書きまくって収益を得るようになりました。
ブロガーとしてはうまくいって無事、子どもも生まれた。そのときにぶち当たったのが東京だと待機児童問題でした。保育園に入れようと思ったけど、遠くて評判の良くない保育園にしか入れられない。2人目も欲しいと思っているのに、こんな東京にいていいのかと当然ながら思うわけですよね。
3万円台で広い庭と広い畑付きの一軒家
その前の年くらいから結構、若い人たちが一足先に地方に移り住むようになっていたんですね。地方移住が東日本大震災以降に増えていて、そういう生き方があるんだと頭の中にはインプットされていました。それで出張に行くついでに話を聞いてみて、その中で人が少ないのと、非常にフィーリングが合ったことから高知県を選んだのです。
僕が最初に移住した高知市は30万人くらいの大きい都市で、その前にいた東京郊外の都市よりも便利でした。住み心地がよくて、ご飯はおいしいし、自然もすぐそこにあるし、これはこれでいいんだけど、こういうことをしに来たんではないよね、ということを夫婦2人で思っていたので、もっと田舎のほうに行くことにしました。今住んでいるところは人口3000人くらいのところで、まあ限界集落ですよ。今はそんなところで子育てしている感じですね。
イケハヤさんは高知県本山町の町営住宅に家族4人で住んでいるそうです。どんな住宅なんですか?
僕が住んでいるのはちょっと珍しい物件で、町がなぜか町営住宅を山の上につくっているんです。ものすごく山奥に町営住宅を建ててしまって、最初は誰も入っていなかった。僕らが入ったのは建ってから3年目で、10棟あるうちの2棟しか入っていなかった。2015年ぐらいの話です。だあれもいない物件に家族で住んでいて、やばい孤独だ!なんてことを思っていたんですけど、今は人気物件になり、この1年で満室になりました。移住者がすごく増えているんです。町がいろいろ移住者向けの物件を用意してくださっていて、移住しやすいんですよね。
今住んでいる家は年払いで40万円。まあ月3万5千円ぐらいになりますね。3万円台で一軒家です。42平方メートルくらいで、家族で住むにはちょっと小さめですが、広い庭と広い畑がついているんですよ。
まず収益性が高い仕事を見つけること
普通の会社にいると毎日夜10時過ぎ、12時過ぎまで働いて、下手をすると土日出勤もあって、仕事以外は何も出来なくなる。その仕事で多少は成長できるんでしょうけど、会社から言われたことばっかりやっていても主導権は握れず、新しい何かを始めるチャンスはないわけなんですよね。
だからそういう長時間労働から抜け出すことが、とてもとても重要ですよね。オフィスから離れ、自分の時間を確保する。そして自分のやりたいことにしっかり向き合う。それができないと、いつまでたっても消耗していく状態から抜け出せませんよ。
そういう意味で大切なのは、収益性が高い仕事を見つけることです。収益性がいいと、長時間労働をしないですむわけなんです。逆に悪いと、もうからないから長時間働くしかない。電通の過労死問題なんかも、そういうビジネスモデルの問題が根本にあるわけなんですよね。
地方移住すれば消耗する日々から抜け出せるのかというと、そういうわけではないようです。
地方に行くかどうかというよりも、むしろ収益性の高い仕事をやっているかどうかの問題なんですよね。消耗してしまう働き方というのは結局、収益性が低すぎるのです。いくらやっても、もうからない仕事だったら、働き方を変えようがないし、変えたところで消耗するまでなんです。そろそろビジネスモデル自体を見直して、もっと効率よくお金を稼ぐ方向に目を向けないといけない。そうしないと、これからもっと厳しくなるのは明らかですよ。

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編集部チーム
PARAFT編集部
Skypeを通じてパソコン画面に登場してくれたイケハヤさんは、しびれる低音ボイスで、今の日本の会社がなぜこんなに働いている人を消耗させているのか、本質を突いて迫力がありました。新しい働き方や生き方を自ら開拓するイケハヤさんからのメッセージを、パラフト編集部としてはいろいろ機会をとらえてご紹介していきたいと思っております。
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