1万kmリモートの記事2017.05.30
非居住者の税金はこう扱う
海外滞在する社員は所得税の課税対象になるならない?
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2017.05.30 文章 / 味志佳那子
所得税の課税対象かは居住者・非居住者で見極める
まずは国税庁の電話相談窓口に問い合わせをしてみると「1ヶ月でしたら非居住者になりませんから、手続きは何も変わりません。これまで通り給与の支払いと年末調整をしてくださいね。」とひと言。今回の私のケースの答えは早速出てしまいましたが、“非居住者” であるかどうかがカギになるという所得税について、もう少し調べてみます。
国税庁のWebサイトによると、所得税法では役員や社員が海外支店等に1年以上の予定で転勤する場合には非居住者、1年未満であれば居住者として扱われるとのこと。住所がある場所=居所(生活拠点)をどこにおいているかをポイントに判断され、先ほど相談窓口の人が教えてくれたように、非居住者か居住者かによって課税範囲が異なります。
▼ 居住者:日本国内・国外どちらで得た所得もすべて課税対象
▼ 非居住者:国内源泉所得(日本国内で得た所得)のみ課税対象
まずはこの区分を覚えておきましょう。
役員かそれ以外かで異なる、国内源泉所得の扱い
しかし、非居住者とひと口に言っても、一般社員か役員かによっても所得税の課税方法に違いがあります。
非居住者の一般社員は、前述の通り給与所得以外の収入がなければ所得税は非課税になりますが、非居住者の役員の場合は「海外勤務に対する報酬であっても、内国法人の役員として受ける報酬には、国内源泉所得に該当する(国税庁Webページより)」ため、20.42%の税率で源泉徴収が必要です。
さらに日本法人から役員として所得を受取る場合、日本側へ支払う所得税の他に実際に働いている国側にも税金を納める必要がありますが、二重課税になることを防ぐために、各国間で結ばれている条約があります。それが「租税条約」です。外国側で申告することによって、外国税額の控除を受けられるようになっています。租税条約は日本国内法よりも優先されるものなので、出国前に一度渡航先との租税条約について調べておくと良さそうです。
1年の途中で出国する人がやっておくべきこと
▼ 出国前に年末調整
本来その年の年末調整の対象になるのは、1月〜12月に得た所得。そのため、海外赴任などで1年の途中で非居住者へ切替わることになった場合は、企業側が出国前までに年末調整を済ませる必要があります。対象になるのは、出国前までに支払いが確定している所得で、社会保険料や生命保険料などの控除は、出国日(居住者だった期間)までに支払われたものだけに限られます。
→ 詳しくは国税庁Webページ『海外に転勤した人の源泉徴収』も合わせてご覧ください
もし今後仕事で海外へ行くことが決まったら、
・滞在期間は1年以上か→ 居住者か非居住者か
・一般社員か役員か→ 国内源泉所得が課税対象になるか
・出国のタイミングが1年の途中か→ 出国前の年末調整が必要か
所得税の取扱についてはこの3点をポイントに、それぞれの手続きを進めていきましょう。

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非居住者の税金はこう扱う
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非居住者の税金はこう扱う
WRITER
編集者・ライター
味志佳那子
給与の支払い元企業がどの国にあっても、働く個人の居住地が優先されるという税金のルールには驚きました。このほか住民税や社会保険にもそれぞれの手続きがあり、ややこしいことだらけですが、ひとつひとつクリアしていきましょう!
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