1万kmリモートの記事2017.06.09
労働者の権利守られるフランス
最長2年までもらえる?手厚いフランスの失業給付
keyword: 1万kmリモート フランス 失業率 失業手当 社会保障
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2017.06.09 文章 / 味志佳那子
フランスの失業手当【雇用復帰支援手当】
▼ 雇用主からの解雇
▼ 会社の倒産
▼ 労使合意による労働契約破棄
▼ 遠地で働く配偶者のため土地を移る等のやむを得ない辞職
▼ CDD(期限付き労働契約)の終了
これらに加えて、離職前の勤務時間数や日数の条件もあります。28ヶ月間に122日以上(もしくは610時間以上)働いた実績が必要です(50歳未満の場合)。CDDで働いた人も4ヶ月以上働いていれば失業給付の対象になります。
>> フランスの雇用形態CDD・CDIとは?
離職したあとの流れは日本ともよく似ていて、雇用局(Pôle emploi)に求職者として登録したあと、再就職活動の指針となる『個別就職計画(PPAE:Projet Personnalisé d'Accès à l' Emploi)』にしたがって就職活動を進めていきます。ハローワークと同様に職業訓練や面接のあっせん等もあるので、これらを無視すると失業給付はストップされます。
最長2年間ももらえる失業手当
① 前職の月額賃金÷30日×40.4%+11.34ユーロ
② 前職の月額賃金÷30日×57.4%
また受給期間は最長で2年(730日)。1年しかもらえない日本の失業保険と比べても、かなり手厚い制度内容です。そのため失業してからすぐに仕事を探そうとしない人もいて、1年経ってからやっと就職活動に本腰をいれ始めるケースも多いよう。
もし失業手当の受給期間が終わる時点でも再就職できず、その後の失業状態が長引く人には「連帯失業手当」が受けられる措置も。ちなみにこの連帯失業手当はそれ以前の手当と違い、“世帯収入”をもとに最低所得額として決められている金額との差額が支給される制度です。そして連帯失業手当の受給者が再就職をした場合には「雇用復帰特別手当(日本でいう再就職手当)」ももらえます。これだけ制度が用意されていると、失業もあまり怖くないかも……?
しかし、労働者にはうれしいこのセーフティネットが国の財政を圧迫しているのも事実。若年層を中心とする失業率改善と失業手当の財源確保に直面するフランスでは、先日大統領に就任したマクロン氏がマニフェストに失業率10%→ 7%への引き下げを挙げています。手厚い社会保障、今後どう変わっていくのでしょうか。

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WRITER
編集者・ライター
味志佳那子
「真面目に働く私たちの労働から、失業者の暮らしがまかなわれていると思うとなんとも言えない気持ちになるの」帽子屋の奥さんは移住まで考えていると話してくれました。てっきり日本と同じような仕組みだと思っていたら、もっともっと手厚かったフランスの失業手当。そんな制度が嬉しい一方で、仕事に専門性・即戦力であることを求められる厳しさも。日本と違う“働く問題”が見えてきたのでした。
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