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「手段の目的化」に飲み込まれない働き方は、なぜ重要なのか?:r000017003020 | PARAFT [パラフト]

出典:PARAFT

働き方の記事

「手段の目的化」に飲み込まれない働き方は、なぜ重要なのか?:r000017003020 | PARAFT [パラフト]

2017.07.10

働き方の記事2017.07.10

手段の目的化からの脱出

「手段の目的化」に飲み込まれない働き方は、なぜ重要なのか?

keyword: 働き方 黒田真行 手段 目的化 業務

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日頃、仕事に熱心に取り組んでいればいるほど、陥りがちな罠があります。それは、目的を達成しようと始めた手段が、いつの間にか目的にすり替わっているという罠です。今回は、ミドル層の転職支援・ルーセントドアーズ代表黒田さんに、若手のうちに意識しておきたい「手段の目的化」とその備えについてお話いただきました。

2017.07.10 文章 / 黒田真行

コストを下げる目的が、収益を損なっていくという悪循環

「手段の目的化」という言葉を知らない人はあまりいないと思います。たとえ聞いたことがなくても文字を見れば意味がわかる単純な概念です。
『食べるための魚を採る(目的)ために、釣り道具を作っていた(手段)はずの漁師が、いつの間にか、より高性能で美しい釣竿を作ることに熱中してしまい、工房にこもりっきりで肝心の漁をしなくなってしまう』、というような主客転倒に近い現象を指しています。
一見、笑い話のようですが、恐ろしいことに、会社や仕事の日常の中に「手段の目的化」の強力な磁場は絶え間なく発生していて、私たちを飲み込もうとします。

たとえば「業務の生産性を高めて収益を上げよう」という目的で、無駄を省きコストを削減するようなプロジェクトがいったん始まると、専門の部署ができたり、そのためのKPI指標を評価基準として背負う人が出てきたりすると、ある程度コスト削減ができた後でも、「コスト削減すること」自体が存在目的となった人が出現して、本来、手を付けてはいけない製品やサービスの本体価値まで削ってしまい、事業価値が毀損してしまい、結果的に収益が台無しになる、というケースです。特に「手段のための部署や専任担当」が“ここまでできたら解散しよう”というゴール設定なしに生まれてしまうと、それ自体が目的化し、暴走が止まらなくなる傾向があるようです。

なぜ、こんなバカげたことが起こってしまうのでしょうか?

▼ 「いったんやり始めたら、経験値が貯まって上達してきた。せっかく習熟したやり方を変えたくない」というサンクコストが邪魔をするケース
▼ 目標のための手段として、ゴール設定を小分けにすることで、努力が報われる快感が発生するので、その快感を手放したくなくなるというケース
▼ 目標のための手段を、仮の目標としているうちに、本来の目標を忘れてしまうケース

もしかすると上記のような人間心理が「手段の目的化」を生む元凶になっているのかもしれません。

「なぜそれをやるのか?」を自問し続けるしかない

「手段の目的化」は知らず知らずのうちに、人の思考回路を犯していくので、回避するためには、日々仕事をしていることに対して、常に「なぜ?」を問い続けるしかありません。日々ルーティンになって考えずにやってしまっていることを取り出し、その業務の目的や意味をもとの地点に立ち戻って見直せるようにしておくことが不可欠です。
『「なぜ?」を5回繰り返せ』というトヨタ自動車の有名な方法論がありますが、これももともとは「手段の目的化」や「大企業病」を回避するための教訓だと思います。

また、前任者から仕事を引き継いだりして教えてもらうと、仕事ごとに事細かに決まったルールや方法があり、その意味や背景の説明はそこそこに、まずはタスクとして手順を徹底的に教えられるということがよくあります。
ただ、人事異動や退職に伴う担当変更などで、そういう引継ぎが何度か起こると、誰もその仕事が生まれた時の背景を知らず、ただひたすら決められたルールと手順を守ってやっていくというケースもありがちです。

新任マネジャー「なぜ、誰もチェックしていないこのデータを毎週作成しているのか?」
担当者「毎週作成するように引き継がれたからです」
新任マネジャー「そのデータは誰の何の役に立っているのか?」
担当者「それは私にはわかりません。引き継いだ人に聞いてください」

というような状況です。
ここでマネジャーから業務を見直すように指示が出ればまだいいのですが、マネジャーが指示せずにそのままやり過ごしてしまうと、また数年、まったく意味のないルーティン業務に時間と手間をかけ続けるというようなことが起こります。もしかするとそういう無意味なルーティンを積み上げていくと、巨額の無駄な人件費が使われてしまっているという大企業があるかもしれません。
また、そんな業務に時間を使ってしまっている個人個人にとっても、キャリアの無駄遣いになってしまう恐れもあります。

どんな素晴らしいテクニックであっても、「How」が「Why」を上回る重みを持つことはないので、どんな仕事であっても「なぜそれをやるのか?」に注意を払い続けてほしいと思います。

目的と手段。戦略と戦術。全体と部分。

いま自分が目的だと思っているものも、さらに大きな目的の下に入ると手段に変化します。巨大な概念のマトリョーシカの中で、自分がどのレベルに目線を置いているかによって、何が目的で、何が手段かは、相対的に決まる性質を持っています。
問題は自分が見ている目的を客観的にとらえて、全体像を把握しながら動けているかどうかということです。

あるときまでは目的だと思っていたものを、一定レベルまでクリアできたら、自分の意思で次の目的へとシフトアップするとか、より大きな最終目的を常に意識して、現在の小目的に取り組むパワーバランスや期限を意識するなど、キャリアアップしていくためには目的と手段を入れ替えていくことが求められます。

目的に対する手段。
戦略に対する戦術。
全体における部分。

「手段の目的化」と同じようなリスクは、上記のコトバの区分でもしばしば起こります。
短期業績や、目の前の緊急度の高い業務に目を奪われすぎると、「手段」「戦術」「部分最適」の視野狭窄に陥り、長期視点や目的・意味を見失いがちになります。

ぜひ次の問を常に頭に置いて、明快に答えられるようにすることで「手段の目的化」に備えてください。

【質問】
いまあなたが追いかけている目的の上に、
もう一つ大きな目的を置くとしたらそれはなんですか?
そしてそれは何を実現するためのものですか?

WRITER

ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役

黒田真行

ルーセントドアーズ株式会社・代表取締役。求人非公開企業の経営者12, 000人に「経験・スキル」を人工知能を活用して直接打診することで、転職サイトでは見つからない出会いを広げる転職支援サービスを運営。

 ▶ 職歴打診型の転職支援サービス「Career Release40

<略歴>1965年 兵庫県出身。1989年株式会社リクルート入社。 2006年~2013年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。 2013年 リクルートドクターズキャリア取締役・リクルートエージェント企画責任者などを歴任。
近著:『転職に向いている人 転職してはいけない人』(日本経済新聞出版社)

[他の連載]
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手段の目的化からの脱出

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