未来の年表の記事2017.09.26
人口推計で見える日本の未来
これから少子高齢の日本で起きること|未来の年表
keyword: 未来の年表 河合雅司 めくれバ! いい書棚、いいオフィス 少子高齢化
2017.09.26 文章 / 平田浩司
2040年には自治体の半数が消滅!?
2020年:女性の半数が50歳超え
2024年:全国民の3人に1人が65歳以上
2027年:輸血用血液が不足
2033年:3戸に1戸が空き家に
2039年:火葬場が不足
2040年:自治体の半数が消滅
2042年:高齢者人口がピークを迎える
本書を紐解くと、このほかにも30項目ほど、「これから起きること」が一覧表示されています。たとえば、2019年には、ITを担う人材がピークを迎え、人手不足が顕在化し始めます。2030年には、ITを担う人材が最大79万人不足し、社会基盤に混乱が生じるそうです。
2035年には、男性の3人に1人、女性は5人に1人が生涯未婚という「未婚大国」になるとのこと。2059年には、5人に1人が80歳以上になるとのこと。
丹念にまとめ上げられたこれらの「予言」が本書の売り物ですので、これ以上は、ここに提示できません。ぜひ実際に手に取ってご覧いただきたいわけですが、ともかくも、ずらりと並べられたこの先のデータに唖然(あぜん)とし、「日本はこの先大変なことになる」という事実に直面させられます。
今年日本を出発した人工衛星が10年後にどこにいるかなど、物理的なことはある程度計算して見通すことができますが、人間社会でこの先にどんなことが起きるのかは、なかなか見通せるものではありません。人間には不確定要因が多すぎるのです。
けれども人口の動きだけは別です。たとえば今年20歳の人は10年後に確実に30歳になります。毎年どれくらいの人が死亡していくかは、これまでの統計データをもとに推計できますので、この結果、10年後に30歳になる人口は、おおよそとらえることができます。同じようにして計算され、明らかにされたのが、本書の「これから起きること」の数々です。
筆者の河合雅司さんは産経新聞論説委員で、大正大学客員教授として人口政策や社会保障政策の研究も続けています。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が発表している「日本の将来推計人口」(直近の改定は2017年)のデータをもとに、この先の日本でいったいどんなことが起きるのか、実に丹念に調べ、本書をまとめ上げました。労作だと思います。
事実を直視して、対応策を考えていこう
筆者は本書のなかで、「日本を救う10の処方箋」を提示しています。くわしくは実際に本書を手にしてご覧いただきたいのですが、とても興味深い処方箋の数々です。かなり大胆な対応策も打ち出しており、この先の日本ではここまで踏みこまなければいけないのだ、と教えられます。個々の処方箋について、個人的には著者と意見を異にするところも多いのですが、それにしても、価値あるたたき台だと思いました。あなたはこれを読んでどう思われるでしょうか。
筆者は文末で、「未来を担う君たちへ」と題し、中学・高校生や大学生に向けてメッセージを投げかけています。いまの10代の人たちにぜひ読んでもらいたいですね。いまの大人たちがどんな未来を押しつけようとしているのか、10代の人たちにディスカッションしてもらいたいと思います。
同時に、この「未来を担う君たちへ」を大人の読者にも読んでもらいたいと思いました。大人たちが「これから起きること」にしっかりと目を向け、次の世代のために本気で考え、何か行動を起こしていかなければいけない。そのように思います。未来について考えるとき、本書は欠くことのできない一冊だと感じております。
『未来の年表』の書籍情報
著者: 河合雅司
初版発行: 2017/6/14
出版社: 講談社
価格: 760円(税別)
サイズ: 17.2 x 10.6 cm
頁数:208ページ
ジャンル:社会問題
読了目安: 3時間
ISBN: 978-4062884310
WRITER

編集者・ライター
平田浩司
アジアを旅すると、日本の街中の風景とかなり違うので驚かされます。日本に比べて、歩いている人たちが若いですよね。逆に、いま日本にやって来る外国人観光客は、日本の街中を歩いてみて、どんなふうに感じるのでしょうか。この高齢社会をどうやりくりしていくのか、日本人の知恵が試されます。かなりキツイと思いますが、日本人の底力を発揮していかないといけませんね。
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