後輩女性の記事2018.02.01
使う側・使われる側に溝
育休とったけど…悩める後輩たちと接し見えてきたこと【育休後】
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2018.02.01 文章 / PARAFT編集部
子どもができても辞めなくなった女性たち
正規・非正規を合わせても半分以上の人が仕事を辞めなくなったというのが非常に大きいですね。正規で働く人に絞ると、もっと辞めなくなっており、だいたい育休をとるようになっています。
そして、男性のほうにも変化が現れています。ネットを見れば、育休をとった男性がブログなどを書いています。男性の育休取得もずいぶん身近になってきました。
男性の場合、育休を取得していなくても、配偶者出産休暇などのいわゆる「隠れ育休」をとってる人がずいぶんいます。そういう意味では、子どもが生まれて休むということは、もはや珍しいことではありません。そこは以前との大きな違いだと思います。
変わらない現実に直面、不満があふれ出す
長時間労働に価値があるという考え方は、日本ではまだ根強いですね。長時間働く人が会社にとって価値のある人で評価されるという部分があります。「それはおかしい」と言われ始めているけれども、会社のなかで評価の指標が変わっているかというと、まだそうなっていない。
たとえば男性が育休をとったり、子どもの世話のために早く帰ったりすると、女性以上にたたかれる。もうキャリアは考えていないのだねと言われたりしますよね。もちろん女性も同じで、時短をとっていると、やる気がないとみなされることがまだまだある。時短だから評価が下がるのもしょうがないよねという、そういう空気がまだまだありますよね。そこは変わっていません。そこが変わらないといけませんよね。
夫婦単位でみると、女性が育休をとって、パートナーも昔に比べたら子どもの世話をよくしているし、抱っこひもで抱っこしたり、おむつをかえたりしているんですけど、いざ女性が職場復帰することになったとき、女性がパートナーに相談せず、自分が時短をとることを選択します。パートナーが今までとあまり働き方を変えなくてもいいように、そういうことを話し合いもせずに決めている。
子育てや家事は自分のほうが多めに担当し、そのせいで仕事が今まで通りにできなくなっても、それはしょうがない、というふうに女性が引き受ける。本当に心の底から納得していない人でも、そういう行動をとってしまうのです。それが女性を苦しめていますね。
もちろん、なかにはそういうやり方が自分にちょうど合っているという人もいるのですが、私が会う人はどちらかというと、高学歴で、大企業に勤めていて、子どもが生まれるまでずっと男性と同じくらいにがんばっていた人が多い。その人たちは内心、以前と比べて働けなくなったことに対して、もやもやしている。自分はそれだけじゃだめなのではないかと感じているんです。
本当はもっと働きたい。家庭よりも職場で自分を表現したい。そんな人たちが多いのです。その人たちは、自分だけが時短で、夫は今まで通りエンドレスで働いてくるという状況に対して、非常に不満があるんです。それだけ悩んだり、自分を責めたりしているんだけど、会社に行けば、「あなたは時短だよね」ということでやりがいのある仕事を与えられない。評価も下がる。そういう状況のなかで苦しんていますね。
使う側と使われる側の深い溝を埋めたい
私自身の時代には、結局、多くの女性は辞めていったのです。けれども10年たって、女性は辞めずにずっと働き続けるのが当たり前という感覚になってきました。働き続けようとする女性たちをケアするシステムができていれば両立していけるわけですけど、まだそこができていないので、彼女たちは先が見えない状況でした。育休などの制度があるから子どもができてからも復帰したのだけど、これからどうしたらいいかわからないと悩んでいました。
そういう状態の人たちがもやもやしていて、それを見た若い人たちが、あんなふうになるんだったら、出産は無理なのかなあ、私はじゃあ子どもを持たずにがんばろう、もしくは、子どもが欲しいから転職しようなどという感じでしたね。
私は管理職もやり、部長職も務めたので、会社側の考えもわかります。確かに、早く帰る人はちょっと使いづらい面もある。けれども、本人たちの気持ちもわかります。彼女たちは能力が下がっているわけでもないのに扱いがあまりにもひどいのです。使う側と使われる側の両方をわかっているので、その間をつながなくてはいけない。どうやってつなげるかというと、やはり意識のギャップが大きすぎるわけです。使う側と使われる側に深い溝のようなものがあります。そこを埋められるのは両方の経験をした人だから、自分がやらなければいけないと思ったのです。

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かつて自分がとても苦労したから、後輩にはすこしでも苦労が減るようにアドバイスをしたいーー。働く女性のなかには、そのように後輩女性への温かいまなざしを持った人が少なくありません。そうした先輩女性たちに敬意を表し、後輩の女性たちにはぜひ、先輩たちの声を大切にしていってほしいと感じます。
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