人を動かすの記事2017.10.10
人を動かす三原則とは
ネット時代に光る自己啓発の古典|人を動かす
keyword: 人を動かす D・カーネギー めくれば 外国人作家が誘う本の世界 自己啓発
2017.10.10 文章 / 平田浩司
目からウロコ!ビジネスのヒントがいっぱい!
インターネットビジネスで成功した人が書いた参考書などで「D・カーネギーはおすすめ!」というくだりを何度か読んだことがあります。なぜ、おすすめなのか一読してよくわかりました。この本を読んだら、どうしたらビジネスでたくさんの人に注目してもらえるか、お客さんをいっぱい獲得するにはどう攻めたらいいのか、基本的な考え方がパッと見えてきます。かなり「目からウロコ」でした。もちろん凡人の私などは一読しただけで習得できるわけがなく、本当に理解するにはこれから折に触れて何度も読み返していく必要があるでしょう。なるほど、こういうのが座右の書なのだろうと実感しました。
本書は、まず純粋に読み物として面白いです。
ページを開くと、いきなり、ニューヨークに実在した極悪人「二丁ピストルのクローレー」と、150人の警官隊の攻防劇が出てきます。クローレーの立てこもったアパートの屋根に警官隊が穴をあけ、催涙ガスをぶちこみます。あぶり出しにかかるシーンがリアルで引きこまれます。
カーネギーによると、この極悪人ですら、自分のことをほんとうのワルとは思っていなかったようです。極悪人なりに、自分のした行為に正当な理由をつけていました。自分は善良な市民なのに周りがひどいことをしてくるという、被害妄想の世界を持っていました。
ましてや、本当に善良な人たちには、みな自分が正しいと信じている世界があります。それなのにあなたが何か批判をして、変えさせようとしたら、相手はおのずと防衛本能がはたらき、動こうとしなくなるようです。
無理に動かそうとするのではなく、相手の世界をきちんと認めて、相手の武装をほどくところから始めないと、あつれきが生じてしまいます。
80年も前に書かれた本なのに、本書は古典にありがちな饒舌で退屈なところはなく、現代のメディアのようにスピード感があります。次々に面白いエピソードが出てきて読者を引っ張っていきます。
カーネギーによると、あるデトロイトの学校では、女性教師が授業中に逃げた実験用のネズミを、目の不自由な少年に見つけてくれるように頼みました。少年は頼りなげでしたが、すばらしく鋭敏な耳を天から与えられていました。女性教師はそのことに気づいていて少年をほめ、少年を頼りにしました。こうして認めてもらえた少年は生まれ変わったのだそうです。
彼の名はスティービー・ワンダー。のちに世界的な音楽家になった人です。だれでも重要な存在としてきちんと認められると、やる気になります。カーネギーいわく、このように「重要感を持たせる」ことが、人を動かすためにはとても大切なのだそうです。
苦労人だからわかる人情の機微
そのなかでも、とくに人を動かす三原則は、現代のネットビジネスなどを進めていく上で参考になると感じました。実際に頭でわかっても、なかなか習得するところまでいきませんが、胸に刻んでおきたいと思いました。
著者のD・カーネギーは、ミズーリ州の農家に生まれ、大学を卒業後、教師やセールスマン、食肉会社員、行商人、トラックのセールスマンなどを経て、成人教育などのデール・カーネギー研究所の所長として欧米で職業教育をおこないました。
実は、カーネギーと聞いて、私は、カーネギー・ホールを建てた鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの一族かと思っていたのですが、そうではなく、いろんな仕事を転々とした苦労人だったようです。だからこそ、人の心の機微をよく理解して、本書のような世紀を超えて読み継がれる名著を著すことができたのでしょう。
苦労人カーネギーの言葉の数々は、単にビジネスに役立つだけではありません。家庭で子どもが自発的に動いてくれるようにするためにはどうしたらいいのか、いろいろなヒントを与えてくれるのです。そういう意味でも一読をおすすめしたいです。
『人を動かす』の書籍情報
著者:デール・カーネギー
初版発行:2016/1/26(文庫版)※初版は1937年
出版社:創元社
価格:702円(税込)
サイズ:文庫
頁数:320ページ
ジャンル:自己啓発・リーダーシップ
読了目安:8時間
ISBN:978-4422100982
WRITER

編集者・ライター
平田浩司
本書を読んで、さすが名著と感じましたが、実はその一方で、個人的には最後まで馴染めない一面もありました。アメリカの自己啓発書に全般的に感じることなのですが、日本人からすると、どうも損得の計算がいき過ぎている感じがぬぐえません。カーネギーは「相手に対して誠実に」と強調しているので、本人は計算ずくではないのだとは思います。それでも「無私の精神」とか「損得抜きに」というカルチャーを培ってきた日本人が完全に習得できるものなのか、考えてしまう部分がありました。その点も含めて、本書を座右に置いて思案していきたいと思っています。
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