リーン・インの記事
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2017.10.10
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リーン・インの記事2017.10.10
自分のバイアスに気づく
バイアスを消し去るための第一歩|リーン・イン
keyword: リーン・イン シェリル・サンドバーグ めくれバ テーマ キャリア
2017.10.10 文章 / 和田由紀恵
ジェンダー、女性活用、ウンザリしていませんか
とはいえ、「フェミニズムは苦手で」とか「“女性の活躍”には食傷気味で」「彼女のような恵まれた環境じゃないし」といった理由で、何となく本書を手にとらないでいる方も少なくないのでは、と私は勝手に推察しています。
子育て×女性にまつわるものを遠ざけたくなるのももっとも、と思うほどに、いまの世の中には“女性の活躍”“子育て”“キャリア”といった言葉が溢れていて、避けては通れない状況です。保育園待機児童問題は周期的にテレビを賑わせているし、“イクメン”やママタレントも増えました。こうした風潮は、女性が子育てしながら働き続けることを後押しする追い風となっており、私自身も十分にその恩恵を受けていることは間違いありません。にも関わらず、まったくの当事者、女性で子育て中の身であっても、いささか食傷するほどであるのも事実です。当事者でない方ならば、少々ウンザリしているのでは。
もう少しネガティブなことを書くと、華やかで燦然としたキャリアを築いた一方で、理解あるパートナーを得て子どもにも恵まれ、豊かに暮らしている著者の姿は、本書のところどころで垣間見え、我が身と引き比べてはため息をつくしかない記述もままあります。
正直なところ、当事者真っ只中(=キャリアを築く意欲と環境を持ち、結婚して子どもを持ちたいと考える女性)でなければ、読みづらいかもしれません。それでもぜひ、当事者でないすべての方に、この本を読んでほしいのです。
自分の内と外に確実にある、バイアスを認める
女性は一方の手にキャリアを、もう一方に子育てを載せて、両方の重さを量ってはバランスを崩してしまうような状態です。その理由は、著者によれば、ジェンダー・バイアスが存在するから。
女性は子どものことを最優先しなければならない。そんな無意識の刷り込みから、高い地位を手にした著者であっても、早く帰宅できないときの罪悪感は拭いきれません。学校の行事を忘れ、子どもの持ち物に気を配れなかったときは、「母親失格」という無言の非難を受けているような気分になります。男性が家庭のことをキチンとできなかったからと、罪悪感にかられ続けることがあるでしょうか。
もちろん、バイアスに影響される程度は人それぞれ。誰もが等しくバイアスに支配されているわけではなく、前述の例に合致しない方もいます。
でも、“ジェンダー・バイアスの存在を認めようとしない”あるいは“少しでも影響されているか考えることをしない”ことが、結果的にジェンダー・バイアスの支配から全く逃れられない状況を生んでいる事実を、著者は強く指摘しています。配慮する、という名の下に、結婚や出産への考えを聞くことすらためらう上司。そうした“配慮”が、本来あってしかるべき手助けを妨げ、状況をより困難で複雑なものにしているのです。
社会に存在するバイアスは、ジェンダーに関するものだけではありません。人種や出身、学歴など様々なバイアスが、少しずつ社会を歪め、生きづらくしています。
本書は、現在進行形で続く大きなバイアスである“ジェンダー・バイアス”を何とか消し去って、性別を問わず、より良い・自由な選択ができる社会をつくるために踏み出した、著者の「大きな一歩」の記録です。誤解や無用の羨望、果ては厳しい批判を招くことを恐れず、彼女は勇気をもって信じることを語りました。
その勇気を受け止めて、自分たちが持つ様々なバイアスから目をそらすことをしていないか、本書をめくって考えてみませんか。
『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』の書籍情報
著者: シェリル・サンドバーグ
初版発行:2013/6/25
出版社:日本経済新聞出版社
価格: 1,728円(税込)
サイズ: ハードカバー
頁数:301ページ
ジャンル:自己啓発
読了目安: 3時間
ISBN:978-4532318970
WRITER

編集者・ライター
和田由紀恵
気をつけていても、知らない間にバイアスは意識に染み込んでいくもの。悪意をもってバイアスを保持しようとしている人は、稀なのではないでしょうか。バイアスを持っていることが悪、というのではなく、一人ひとりがバイアスの存在を認めることで、生きやすい世の中になっていくことを願います。時代とともに、バイアスも移ろいます。いつか「ジェンダー・バイアスがあったんだって」と振り返られるようになりたいものです。
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