オプティミストはなぜ成功するかの記事
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2017.10.10
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オプティミストはなぜ成功するかの記事2017.10.10
楽観主義は正直ムリな人に
脱・悲観主義vs楽観主義|オプティミストはなぜ成功するか
keyword: オプティミストはなぜ成功するか マーティン・セリグマン めくれバ 外国人作家が誘う本の世界 ポジティブ心理学
2017.10.10 文章 / 岡野 美紀子
「楽観主義」の本をペシミストが斜に構えて読んでみた
もちろん物事をあまりに悲観的にとらえれば、気苦労が多くなって疲れるし、どうしても暗くなるし、仕事にも私生活にも良くない影響がある、とは多くの人が知るところ。そんなの、ペシミストだって百も承知です。
ですが、何か失敗やトラブル、気がかりなことが発生したときに、最悪のケースに備えてあれこれ考えなければ落ち着かない性質の人は存在します。わたしのように。
「その考え方じゃダメダメ。楽観的になれば全部うまくいくよ」という趣旨の提案は、いろんな自己啓発本に書いてあるでしょう。けれども、ペシミストは「そんな本読むの、暑苦しい」「無理やり前向きに変わるとか、ごまかしっぽくて信じられない」と思ってしまうのです。
しかも、わたしの場合、「なぜ成功する人は○○をするのか」「成功する人は○○をしている」「成功したければ○○しなさい」的な自己啓発本のタイトルに、つい反発を覚えてしまうというオマケ付き。
「和食の朝ごはんを食べる子どもは成績がいい」の背景にある「朝食にきちんとした和食が出てくるような家庭環境」という要素を無視した、因果関係と相関関係をごちゃまぜにしている本なのでは…と疑ってしまいます。
にもかかわらず、今回ご紹介する本が『オプティミストはなぜ成功するか』。個人的に敬遠しちゃう書名パターン、トップ3のやつです。
けれども、この本は一般的な自己啓発本とは一線を画します。わたしのようなペシミストが斜に構えて読んでもOK。話は理論的かつ平静に進められ、「楽観主義でいこう!」の単純な結論には落ち着きません。
「柔軟な楽観主義」を使いこなすペシミストが最強なのかも
本書では、セリグマン氏の代表的な理論「学習性無力感(何をしてもストレスを回避できない環境に置かれると、そこから逃れる努力すら行わなくなる)」のきっかけとなった犬の実験をはじめとして、心理学・精神医学の研究が解説されています。
セリグマン氏とほかの研究者の間でどんな議論が交わされてきたのか、会話文主体のエッセイ風に書かれているので、この分野になじみのない人にもわかりやすいでしょう。
序盤に「楽観度/悲観度」を測るテストが掲載されているのも興味深いところ。48の質問に答え、回答の傾向からいくつかの指標で分析されるのですが、わたしは見事に「やや悲観的」「非常に悲観的」という結果でした。
「…うん、でしょうね」とやや悲観的な気持ちになりながらも最後まで読み進めたのは、著者の姿勢が決して「楽観主義バンザイ」ではないから。セリグマン氏は、次のような点を繰り返し指摘します。
「悲観主義は、私たちがしばしば必要とする現実主義を支えているのではないだろうか? 人生には楽観主義では正しく対処できない場面がよくある」
「成功している企業にはオプティミストもペシミストも必要だ」
「人生をうまく生きるためには時には悲観主義が必要かもしれない。柔軟な楽観主義を思うままに使いこなす最高経営責任者のような能力が要求されるのではないか」
(以上、本文より引用)
本書の最後、第3部は“ペシミストからオプティミストへと変身する方法”の実践に当てられています。
この変身は、どんな状況にも効く万能の必殺技を身に付けるものではなく、一方で、楽観主義の良さを完全に否定するものでもありません。楽観主義の仕組みと長所・短所を知って使いこなそうという、いわば”ごく普通のバランス感覚”にのっとった「柔軟な楽観主義」です。
それはペシミストにもオプティミストにも、何かの拍子にどちらかに偏ってしまうという人にも、学びの多い提案なのではないかと思います。
『オプティミストはなぜ成功するか[新装版]』の書籍情報
著者: マーティン・セリグマン
初版発行: 2013/1/19
出版社: パンローリング
価格: 1,404円(税込)
サイズ: ペーパーバック
頁数:381ページ
ジャンル: 自己啓発
読了目安: 4時間
ISBN: 9784775941102
WRITER

編集者・ライター
岡野 美紀子
自己啓発本にありがちなタイトルが嫌いだという人は、けっこういると思います。断定的な物言いに本能的なガードが働いてしまうのでしょうか。 個人的な感覚かもですが、楽観主義やプラス思考をテーマにした本にも、同じような「問答無用の押しの強さ」が感じられてちょっと苦手でした。そんなわたしが本書『なぜオプティミストは成功するか』を手に取ったのは、「だが、あえて読む!」という謎の克己心から。実際に読んでみれば、熱っぽすぎない理論的な構成の良書でした。わたしと同じようなタイプの方も抵抗なく読めるんじゃないかなと思います!
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