イクボスの記事2018.02.01
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keyword: イクボス 育休明け 戦力化 両立支援 評価
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2018.02.01 文章 / PARAFT編集部
働くママを遠ざけず、頼りにしよう
部下に子育て中の社員がいる管理職は、どんなことを心がけたらいいでしょうか。
現場の管理職の方たちのなかには、両立支援を少し誤解していて、要するに子育て支援をすればいいのだろうと思っている方もいらっしゃいます。育児休業や短時間勤務の制度を、子育て支援の制度だと思っているわけです。
だから育児休業をとりたいと言ってきた部下には、とにかく言い値でとらせなければいけないと思っている人が多いです。
もちろん言い値で取らせてくれるほうが本人たちからすればありがたいわけですけど、たとえばこういう管理職がいてもいいと思います。
「うちの部署は人が足りなくてさ、あなたが育休を1年ちょうど取るとかなり厳しいんだけど、短くできる可能性はないかな」。
そういうことは言ってもいいと思います。
それから育児休業中でも月80時間までは働けるという制度があって、法律で決まっているので、そういうものを使って月に何時間か、「あなたが担当している仕事に対する質問に答えてほしい」とか、「何か困ったことがあったら聞いてもいいか」とか、頼りにしていいと思います。
小さい会社だったら週に1回とか、月に何回とか、「子どもを連れてきてもいいから、ちょっと仕事を見てくれないか」というのもいいと思います。
本人が働けるように支援するのが大切
「育児が大変だろうから仕事はやらなくていいよ」というのではなく、「育児とうまく両立させながら、期待通りの仕事をしてほしい」という姿勢で向き合えばいいのですね。
その仕事がちゃんと遂行されているかどうか、管理職は責任を負っています。だから、短い勤務時間かもしれませんが、「あなたはこのクラスの人なので、ここまでやってほしい」と伝えて、仕事をやってもらわなければいけません。
ただ、もしかしたらその部下は「前はできたけど、いまは時短だからできません」と言うかもしれません。そのときに、いまの多くの管理職は、じゃあいいやと引いてしまう。あるいは、そもそも仕事をお願いしようともしていないですね。
あの人は子育て中だから、たぶん無理だと思うから、させない。その仕事をほかの人にやらせる。すると、代わりに仕事を頼まれた人は「えーっ」となる。なんで自分たちにしわ寄せがくるんですか、という感じになってしまう。それではダメなのです。
本人が「その仕事は自分には無理」と言ってきたときに、それではどこが無理なのか、どうすれば無理でなくなるのか、ちゃんと話し合うのが上司の仕事です。
たとえば、「夜の時間にかかってしまうので無理」ということだったら、「それじゃあ、そこは誰かにやってもらって、ここの部分だけやってほしい」とすり合わせる必要があります。
夕方から始まる会議に出られないのなら、その会議の時間を繰り上げるとか、会議なしでもできるようにするとか、ほかの人が代理で出ても大丈夫にするとか、そういうふうに、本人ができるように工夫していくのが両立支援であり、働き方改革なのです。
短時間勤務の人とどこまでならできるか、ゴリゴリとした話をするのは、たいてい面倒くさいわけですよ。時間もかかるし、ほかの社員にも影響が出る。だから、そういう話をしないで、当たり障りのない仕事をさせておく。それでは本人はやる気を失っていくのです。
「とりあえずOK」の評価が足りていない
自分のボスから腫れ物にさわるような対応をされると、「戦力として見られていない」という思いが本人たちの間で強くなっていくのですね。そこはむしろ仕事でしっかり活躍してくれるように、あてにする態度が望ましいわけなのですね。
そうなんです。もしかしたら短時間勤務の女性たちが何となくやる気がないように見えるかもしれません。それは、上司であるあなたがきちんと仕事を与えていないから。ちゃんと期待していないから、ということなのです。それがわかっていない方が多いです。
そもそも日本では管理職が部下に「あなたに期待しているからさ」などと、あまり言わないですよね。すごくいい成績を上げた人には「本当に頑張ったね」と伝えます。すごくパフォーマンスが悪い人に対しても「どうしてこれができないの」と話しかけます。けれども、普通の人にはあまり言わないです。「あなたはそれでいいよ」「自分は特に問題を感じていない」ということを何も言わないですよね。
女性も、子どもが生まれる前はそれでもいいのです。けれども、子どもが生まれて職場に復帰し、短時間勤務で働いたり、残業がゼロで帰るようになったりしたときに、自分は前より働けていない、これはまずいんじゃないかと悶々とするわけですよ。
管理職が「いまはそれでいい」「よくできていると思うよ」という評価を示してあげたら、相当ホッとするわけですが、それがないので、女性は「これでいいのだろうか、これでいいのだろうか」と、ずっと考えています。いいかどうか分からないから、「周りの人に迷惑をかけている」などと必要以上の罪悪感を抱いてしまうのです。
これまでの管理職はそういうきめ細やかな声がけが苦手で、十分にできていないところが多いでしょうね。
日本の職場の多くは、そもそもジョブ・ディスクリプション(職務記述書=具体的な職務内容を詳しく書いた文書)もないですよね。ジョブ・ディスクリプションがあれば本人もそれを見て、与えられた仕事を達成できているかどうか判断ができます。けれども、それがないから、自分ができているのかどうかわからないわけです。
周りの人が時間外も働いているのに自分は早く帰っている。それだけで非常に申し訳なさを感じてしまう。そのために気持ちが落ちているわけですよね。
管理職の方も気の毒で、短時間勤務の人たちの評価の仕方がはっきりしていない会社も多いんですよ。そうなると、どう評価していいのか、よく分からない。
効率が悪いけど長時間働いている人と、効率がいいのだけど短時間の人と比べたときに、長時間働いている人を評価してしまいがちです。
管理職の人には、短時間勤務の人のパフォーマンスをよく見て、きちんと活躍できるように声をかけていってほしいですね。たとえば、自分が先に帰った後のことをうまく引き継げていない女性がいるかもしれないです。それはちゃんと伝えないといけない。ちゃんとできていたら、「あなたの引継ぎのマニュアルがよく書けているとみんな言っていたよ」などとしっかり言ってあげてほしいですね。

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男性管理職のなかには、山口さんが指摘するように、部下への声かけが下手な人がかなりいるかもしれませんね。声かけ不足が積もり積もれば、コミュニケーションを相当に悪くしてしまいそうです。気をつけたいものです。
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