働き方改革の記事2018.02.01
本気で両立支援してますか?
働くママをやる気にさせる根本からの働き方改革とは【育休後】
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2018.02.01 文章 / PARAFT編集部
女性の不信感を払しょくする努力を
いま多くの会社が働き方改革を掲げ、とくに女性活躍支援を標榜しています。けれども、働くママのなかには「本当にうちの会社が女性社員を活かしていけるのだろうか」と冷ややかな人もいます。山口さんから見て、いかがですか。
会社は、働く女性たちが信じられるようなかたちで働き方改革や女性活躍推進の方針を示していかないといけませんね。
女性たちの多くは、会社に入って10年ぐらいしてから出産しています。その10年間に、会社が女性たちに見せてきた対応から、不信感が積み重なっています。
あの人も辞めた、この人も辞めた、あの人はすごく頑張っているのにいつまでたっても昇進・昇格していない……。そういうのを見ているから、多くの場合、女性の活躍推進に関して会社は信頼を得られていません。
その不信感を払しょくするような動きを会社が示さないと、どんなに会社が働き方を改革するといっても、女性社員はなかなか信用することができないでしょうね。
これまでのところ、育児しながらキャリアアップを目指すには、尋常ならざる努力が必要でした。尋常ならざる努力に踏みこんでも報われるのなら、みんな頑張ろうと思いますが、踏みこんでも報われないのなら、そんな大変なことはしたくない。
だから出産した後、育児休業を長期間取って、短時間勤務も利用して、あとはずっと会社にぶらさがっていくだけだという、モチベーションの低い構図が存在してしまうのだと思いますね。
働くママたちにもっと活躍していってもらうためには、会社はどうすればいいのでしょうか。
会社は確かに変わろうとしているのですが、たかだか5年くらい前から始まった女性活躍推進ですから、まだ成果が出ていないところもたくさんあります。実力が伴わないのに昇進・昇格させるわけにはいきませんから、子どもがいる女性社員の昇進・昇格はそんなに急激には増やせません。
けれども、女性たちは将来ではなく、いまを見てしまうわけですね。そうは言ってもいま女性が活躍していないじゃないですか、というところを見てしまう。
だから会社としては、いまは女性の管理職などがそんなにいないかもしれないけれども、あなたたちが5年後にそういうところにいくだろうとか、それを会社はサポートしていますよとか、本気で見せていかなければいけません。頑張れば報われるという確信が持てないと、女性たちのモチベーションは上がっていきません。
会社の本気度は制度改革で示す
両立を支援する、女性の活躍を後押しする、働き方を変えていくという断固とした姿勢を、強いメッセージで示さないといけないわけですね。具体的にはどうすればいいのでしょうか。
いろいろな制度をつくったり、改革したりすることで示すことはできると思います。たとえば、会社内に保育施設を設けることで「うちの会社は子育て中の女性社員を応援していく」という姿勢を伝えることができます。
あるいは短時間勤務制度をすごく柔軟に使えるように改革する。短時間勤務は働く時間が通常よりも2時間(標準のケース)少ない制度ですけれども、単に1日6時間勤務というだけではなくて、時差勤務と組み合わせたり、勤務時間を15分刻みで増やしたり減らしたりできるように変えたり、1カ月単位で平均2時間少なければいいようにフレキシブル(フレックスタイム制度と呼ばれることも)にしたり、いろいろとやり様はあると思います。1回フルタイムに復帰しても、途中から短時間勤務に戻れるとか、柔軟に働ける制度をつくっていけるといいですね。
実際、育休から早く戻った人にはいくらかお金を出すような会社も出てきています。出産しても仕事を頑張ろうという人に有利な制度をあえて見せることで、言葉ではなく制度で会社からの期待を社員に伝えようとしている。そういう会社が増えてきています。
きちんと成果で評価すれば在宅勤務も機能する
在宅勤務制度を定着させようとしている会社も少なくないですね。
働き方改革というといろいろありますが、在宅勤務の導入には積極的に取り組んでほしいですね。
在宅勤務がうまくできている会社とできていない会社で何が違うかと言うと、できている会社は、目の前に部下がいてパソコンに向かって座っているという状況でなくても、仕事の管理ができているのです。
そういう評価のモノサシを持たない管理職は、目の前にいてくれないと、仕事をやっているかどうかわからないということになってしまうんですよね。ちゃんと成果で管理している会社なり上司だったら、どこで仕事をやっていようが、この人の成果はこれだから、これができているのだから問題ないなどと言えますよね。
外資系の会社は一般的に一人ひとりの仕事の範囲がはっきりしているし、社員を大人扱いしています。セルフコントロールするのも各人の仕事だと位置づけているのです。それで成果が出てこなければ、出ていないということで評価するわけです。
日本の会社はそこがうまくできない。だから在宅勤務してうまくいくのだろうかという不安ばかりが出てくるのです。そこを何とか乗り越え、トライアルを何度か重ねるなりして、問題点をクリアにし、それを解決することで定着させてほしいですね。
全社員に適用するところまでいかなくても、部分的に始めて、少しずつ広げていく。そして管理職自身も、在宅勤務の部下を管理できるという自信を持っていってほしいです。それによって男性も女性も、育児している人もしていない人も相当の人が救われると思いますね。
いまの働き方改革は、残業を減らすために早く帰れと号令をかけるだけになってしまっている気もします。そうではなくて、仕事の量を減らす。減らせないのだったらやり方を変えるというのが本来の改革ですよね。
いまの日本でそこに直面しているのは、短時間勤務の人たちです。時間が短いなかで前と同じ仕事をどうやって遂行するか、そこに直面しているわけです。その点で管理職がマネジメントの立場でいろいろ工夫したり、プロセスを変えたり、試みることが働き方改革ですよね。
短時間勤務の人のために働き方改革ができたら、すべての社員に対してそれを適用していってほしいですね。それによって、みんなが早く帰れるようになるでしょう。

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育児中の社員のために会社が働き方改革を進め、成果が得られたのなら、山口さんが言うとおり、ほかの社員のための働き方改革にもつながっていくことでしょう。育児中の社員向けの改革は、試金石としても非常に重要です。そこに本気で取り組んでいく姿勢を、会社と現場の社員が共有していきたいものです。
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