リモートワークの記事2017.10.23
どこまで説明しておくべき?
リモートワークには家族の理解が必要!タイプ別の対処法をご紹介
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2017.10.23 文章 / Ruaha 裕子
どこまで説明しておくべき?リモートワークを家族に説明するときの注意点
独身リモートワーカーなら親兄弟の、パートナーや子どもがいる人なら家族生活全般と仕事のバランスの取り方が問題となります。えてして家族の反対が問題となる時は「説明不足」が隠れているケースが目立ちます。
代表的なものには「守秘義務」が挙げられます。
もともと仕事をするうえでは、業務を通じて知った情報などを漏らさない「守秘義務」が課されています。弁護士や医師など、特定の職業の場合は法律にもこの守秘義務が定められています。
リモートワークで仕事をする時も、それは同じ。業務上の機密情報を漏らすことのないよう細心の注意を払う必要があります。自宅を職場とするなら、たとえ同居する家族(両親、兄弟、配偶者、子ども、祖父母など。おじおば、いとこ、甥姪なども含みます)であっても、業務上知った情報を漏らしてはいけません。
また業務委託契約を結んで働く場合には、「秘密保持契約」を別途締結することもあります。一般的に違反した場合には罰則があるので、ワーカーは厳密に契約を守ろうと思うあまり「何も話せない/話さない」となりやすいのです。
こうした状況をよく知らない家族は、次のように感じるようになります。
・「家の中で何をやっているのかさっぱり分からない」と不安に思う
・「仕事を始めてから態度がよそよそしくなった」と、愛情の減少と誤解する
それまで良好だった家族関係が、リモートワークを始めたことでギクシャクしてしまうのです。不安や誤解が積もり積もって解消されなかった場合、怒りや反発を招いて不用意なもめ事に発展する懸念も。
この例から、あなたの家族は、あなたのリモートワークについての「情報の孤立」に似た状態にあるということがわかります。ちょうどリモートワークの「働きやすさ」でご紹介したように、積極的に自分から情報発信を行わない限り、家族間でもリモートワークでは情報の共有がどんどん難しくなっていく恐れがあります。
ここでも難しいのが、“家族関係は経済や契約だけで結ばれている関係ではない“ということ。家族の間では、お互いが心身の健康状態を推し量り、心配や配慮をするのは互いに愛情があることの表れです。あなたが「扶養する側」ならば、養う家族に対する説明義務も生じ、未成年の家族には愛情を注いで養育する義務もあります。
一方、家族間の関わりはそれ以外の関係と違って、密接で相互に助け合う機会が多いため、お互いに甘えや依存が起こりやすい一面もあります。
これらを踏まえて、あなたからどのような説明をするべきなのか? これはワーカーであるあなたの「家族の中の立ち位置」でも変わってきます。
次章では【親・兄弟と同居する人の場合】【子どもを持つパパ・ママの場合】の例を具体的に見ていきましょう。
親と同居するリモートワーカーは「心配させない」「負担に感じさせない」がポイント
特に親の扶養に入る人の場合には、家事や家計の分担でもめ事が起こりやすいですし、自分が“仕事場”とする自宅は家族も暮らす空間であることを意識しないと、お互いに居心地が悪くなってしまいます。
今回はよくあるネガティブな反応を例に、どんなふうに説明し理解してもらうとよいかを考えてみましょう。
①「IT関連の仕事はなんとなく信用ならない」
在宅で仕事をする人を身近に知っている場合をのぞき、多くの人にとって“仕事=会社に行くもの”という印象が根強くあるのは事実です。そのため、会社に行かないまま仕事をしたり、パソコンひとつで仕事が完結したりするワークスタイルについて、ICTへの苦手意識から受け入れられないこともよくあります。
しかし、批判は「子に関心を持たずにいられない親心の裏返し」ともいえます。家族なのに、人生の一大選択にあたり相談もなく決められてしまったと知れば、寂しさを感じることもあるでしょう。わが子が一日中パソコンを覗いているのが本当に仕事だからなのか、判断できず心配なのです。
もし可能であれば、守秘義務上の問題がない範囲でスケジュールを伝えたり、ミーティングのようすを見てもらったりすると、本当に仕事をしているんだと実感してもらえるでしょう。また、自分が携わった仕事の成果物を見せながら説明することも効果的です。
②「フリーランスなんて不安定すぎる」
リモートワークをいち早く導入してきた職種には、フリーランスの働き方が定着しているICT系の仕事、設計、編集業などがあります。企業に在籍して技術を身につけ、仕事の成り立ちが理解できたあとに独立するケースが一般的ですが、近年では副業を禁止しない会社も増え、アフター5や休日に人脈を築いたり小規模の案件を受けたりして、十分な準備期間を経て起業できる環境が整ってきました。
しかし、サラリーマンが王道だった親世代から見て、フリーランスになることは博打のようなものです。先の見通しが立たない、安定収入が得られない、社会保障が手薄なイメージが強い上、経済・家事等を親に依存する生活だと「そんなことで一人前の社会人と言えるのか?」と批判を招く原因になってしまいます。
親世代に自分の働き方を理解してもらうためには、収入や社会保険などの状況について、こまめに伝えるようにしましょう。また当月だけでなく中長期的なスケジュールも共有し、繁忙期などを分かる範囲で予告しておくと、計画的に仕事を進めていることが伝わり、安心してもらえます。
③「家にいるくせに何もしない」
親と同一世帯で生計も同一にする人は、いつまでも“子ども”のような気持ちでいませんか? 家にいる時間が長いわりに家事は親まかせ、水光熱費の負担もほどほどに、収入を自分のためだけに使っている……なんていうのはNGです。
日中の冷暖房費や深夜作業が続く時の電気代など、家計に影響が出そうなら、前もって「使った分は自分で払う」態度を打ち出すことも大切です。
④「私のせいで不便をかけていて申し訳ない」
家族の看護・介護のためにリモートワークを選んだ人は、これまでご紹介した3つとは少し違う角度からの「家族への説明」が必要です。
何より大切なのは「負担になったと思わせない工夫」です。会社へ出社するスタイルではなく、リモートワークをすることになったことを説明する時には、介護される側に「“私のせいで”家で働かなければならなくなってしまった」と思わせない配慮と工夫が必要になります。
パパ・ママは「子ども目線」を第一に、パートナーとの「絆」をしっかりキープ
子育てはとかく手が取られるもので、子どもが小さいうちは家事負担も大きくなります。オフィスへ出社して働いていれば、帰宅後は家のことだけに専念できますが、リモートワークではそうはいきません。仕事と家庭の線引きが曖昧になりやすいため、よりいっそう丁寧に説明し、家族に理解を求めることに心を砕く必要がありそうです。
特に気をつけたいのが子どもに対する説明のしかたです。ポイントは、子どもの理解力に合わせた伝え方をすること。
子どもの理解力には、次のような特徴があります。
・年齢に応じて段階的に発達していく
・見て分かることにとらわれやすい
・「いい/わるい」の二極化された極端な思考になりやすい
・原因や理由を丁寧に説明をしないと納得できない
・子どもの友人間でも理解不足から正確な情報が伝わりにくく、異質なものは「イジメ」に遭いやすい
これらを踏まえたうえで、親の就労状況について伝えていくといいでしょう。
・家でパソコンを使って「会社の仕事」をしている
・ずっと家にいるけれど「家事をしている時間」と「働いている時間」がある
・家の中には「仕事のために使うスペース」がある
幼児期~小学校低学年くらいまでは、出勤せず“家で仕事をしている”状況は理解しづらいようで、「友達を連れてきて遊びたい」という子どもを「締め切り前だから」「急な打ち合わせがあって」と言ってなだめる場面にも出くわすと思います。
また仕事部屋を持つ人は秘密保持義務に関わる条件についても「仕事部屋には気軽に入室してはいけない」とかみ砕いて伝え、好奇心にまかせて出入りできないような予防策も採っておく必要がありそうです。
小学校高学年以降になると、徐々に親の状況を理解する力がついてくるので、それほど厳しく言い聞かせなくてもよくなります。
リモートワークをしているのが両親の一方だけの場合や一人親家庭の場合、子どもは目に見える状況に偏った理解から、在宅で働く親だけが苦労しているイメージを持たれる恐れがあります。働く親が仕事に意欲や喜び、プライドを持って働いていること、家族間の助け合いで仕事が続けられている感謝も伝えるようにすることも大切です。
自宅を中心基地にするリモートワーカーは、子どもの病気や、同居以外の家族との関わり、配偶者の勤務先や学校トラブルなどの“仕事以外の生活“でピンチに陥って家族だけで乗り切らなければならない状況になる場面が必ずあります。「雨降って地固まる」にできるかは、普段から家族の絆をしっかり固めているか?にかかっています。

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WRITER
ライター
Ruaha 裕子
人間だれしも承認欲求があり“認めてもらえる”のは嬉しいもの。最も身近にいる家族からなら、なおさらです。「人生初アルバイトで、はじめての疲れや緊張から帰宅して「お疲れ様」と親から言われた途端、充実感や、嬉しさがこみ上げた」「職場で失敗して落ち込んでいる時、家族から『そんなに落ち込むことはない、失敗は誰にでもあるものだ。』と励ましてもらった」なんて経験ありませんか? 仕事が厳しい局面にある時ほど、支えてくれる存在は大きな力を発揮するもの。いざ、という時は家族ほど頼りになる存在もありません。最初から「どうせ分かってくれない」と諦めないで、機会を見つけるたび、「こんなことをやってるんだよ」と伝えるようにしてみましょう。
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