エッセンシャル思考の記事2017.11.28
自分を見失う焦り解消法
人生をコントロールする|エッセンシャル思考
keyword: エッセンシャル思考 グレッグ・マキューン めくれバ 読む羅針盤 成果
2017.11.28 文章 / 和田由紀恵
人生をコントロールするための武器
「このまま過ごしていては、いつか後悔するかもしれない。後悔だけは絶対にしたくない」
そんな焦燥にとらわれたわたしが、例によって書店をさまよっていて出会ったのが本書『エッセンシャル思考』でした。
この本が提唱する「エッセンシャル思考」とは、「より少なく、しかしより良く」を目指す生き方です。真に重要なことを見出し、そこに限りある時間や力を注ぎ込むことで、大きな成果を上げようという考え方なのです。
発行から3年が経って、社会は少しずつ、でも確実に「エッセンシャル思考」に近づいているように思えます。「ミニマリスト」が注目を集め、モノを極力持たない生活に心地よさを感じる人が増えました。これまでの経済拡大的な「多ければ多いほど良い」思考が完全に転換し、「少量で、でも良いものを慈しむ」思考への分水嶺を越えたように感じます。
一方で表層的な現象にとらわれることなく、真に重要なのは何かを追求する、モノゴトの本質を見極める動きはまだ多くないのが、実感するところ。表に現れたわかりやすい現象の一つを、ことさらに取り上げ、煽り立てている状況が続いているように感じます。
そんな今だからこそ、本質をつかみ、忙しい日常を立ち止まって取捨選択ができる力は、生き方を自分でコントロールするための武器になるはず。そのために必要な技術を、わかりやすく丁寧に伝えてくれるのが、本書なのです。
ジャーナリストの目を得て、人生を編集する
モノゴトの本質を見極めるのが、「洞察の技術」であるジャーナリストの目なのだそう。ジャーナリストが世の中の大局をつかむ力を持っていることに着目し、彼らが実際にやっている方法が紹介されています。私たちが接する情報はどんどん増え、その中身の精査も自分自身でしなくてはならない今、こうした「洞察の技術」はぜひ身につけたいものです。
そうして集めた情報から、不要な要素や余分な要素を容赦なく削って、作品の本質を取り出すのが「編集の技術」なのだそう。私たちがふだんから何気なく目にするさまざまなコンテンツも、編集の手を経て世に出ているもの。作り手が良いと思って盛り込んだ要素が、その作品に本当に必要なものかどうかを厳しく見極める編集の原則は、コンテンツのみならず、人生にも応用できると著者は言います。人生も積極的に編集することで、不本意な決断を回避できるというのです。
なぜこれほどまでに、著者は「エッセンシャル」を追求しようとしているのでしょうか。
“人生はあまりに短い。それは悲しむよりも、むしろ喜ぶべきことに思える。短い人生だからこそ、勇気を出して冒険できる。間違いを恐れずにすむ。かぎられた時間の使い方を、よりいっそう厳密に選ぼうと思える。―中略―エッセンシャル思考を生きることは、後悔なく生きることだ。本当に大切なことを見極め、そこに最大限の時間とエネルギーを注げば、後悔の入り込む余地はなくなる。自分の選択を心から誇りに思える。”(本文より引用)
膨大な選択肢、周囲からの依頼、誘惑……。本当に大事なモノが見えなくなる局面は決して少なくないはず。人生も終盤に差しかかったときに後悔しないで済むために、「エッセンシャル思考」は一つの方法を示してくれています。
『エッセンシャル思考』の書籍情報
著者: グレッグ・マキューン (訳)高橋璃子
初版発行: 2012/8/1
出版社: 文藝春秋
価格: 1,890円(税込)
サイズ: 単行本
頁数: 429ページ
ジャンル:ビジネス・経済
読了目安: 4時間
ISBN:978-4163755007
WRITER

編集者・ライター
和田由紀恵
出版当時から注目を集めていた本書。発行されてから数年経っても、未だに売れ続けている良書です。裏を返せば、それだけ大量の情報、他人からのたくさんのアクセスが氾濫している今、漠然とした不安を抱えている人が多いということなのかもしれません。
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