レイ・フロンティアの記事2018.03.13
長野・小布施からフルリモート
地方で暮らしながら東京の会社で働く
keyword: レイ・フロンティア フルリモート 移住 エンジニア 小布施
2018.03.13 文章 / PARAFT編集部
長野県小布施町へ移住した理由とは
目指す小布施町は、特産の栗をはじめ、りんごやぶどうなどの果樹栽培が盛んな自然豊かな町。西には千曲川が悠然と流れ、彼方には北信五岳を臨めます。葛飾北斎や小林一茶といったかつての墨客文人たちが逗留し、豊かな文化を育んだ、魅力的な観光地でもあります。
東京からは北陸新幹線に乗ること、およそ1時間半。長野駅で長野電鉄に乗り換えて、単線に40分ほど揺られると、小布施駅に到着します。乗り換えの時間も含めると、片道3時間の道のり。ギリギリ日帰りで東京と往復できる距離でした。
訪れた当日は積雪こそないものの、寒々とした景色が広がっていました。それでも春を間近に控えて、りんご畑には剪定作業に追われる農家の方の姿が。瓦屋根の趣のある町並みが続く、小布施町の中心部にある喫茶店で、野島さんにお話を伺いました。
――もともとは東京にお住まいだったとか。東京から小布施へ引っ越した経緯をお聞かせ下さい。
野島:5年ほど前は都内に住んでいて、半導体の自動設計アプリのエンジニアをしていました。その頃は、職場へ当たり前のように出勤する毎日を送っていました。そんな中、東日本大震災が起きたんです。震災当日、都内に勤務していたサラリーマンのほとんどが“震災難民”となって、自宅に帰れなくなりましたよね。私もそんな一人でした。
当時は結婚していたけれど、子どもはまだいなかったんです。それでも、一番大切な家族の元に帰れないという不安を感じた、あの日の衝撃は忘れられませんでした。次第に、東京で暮らし続けることに疑問を感じるようになったんです。自分の子どもには、自然豊かな環境で育ってほしいという気持ちもあって。これから子どもを生み育てる上で、ここでずっと暮らしていて本当に良いのだろうかと。
――いずれは子育てされることを考えて、小布施への移住を決断されたんですね。
野島:そうです。ただ、はじめから小布施に引っ越したのではなく、まずは東京から長野市へ引っ越しました。妻の実家が長野市にあるんですが、子育てをするには妻の実家の近くが何かと安心だと考えたんです。
――長野市へ引っ越すにあたって、仕事はどうなさったんですか。
野島:東京で勤めていた会社は退職しました。長野市のSIerへ転職したんです。長野の会社では、ビッグデータの研究開発の仕事をしていました。
――そうなんですね。そこから、なぜ小布施に移住されたんでしょうか。
野島:長野に来て、2人の子どもに恵まれました。そこで、マイホームを建てることにしたんです。家を建てるための土地を探すうちに、小布施の土地を見つけて。私は栃木の出身なんですが、子どもの頃に見た原風景に、小布施がそっくりだったんです。遥かに山並みを臨めて、空気も水もおいしい。長野市と比べても、自然が身近で果物畑がそこここにある。一方で、町並みが美しく、長野市にも近い。この土地なら子育てに最適だと、小布施への引っ越しを決めたんです。
実際に住み始めたら、本当に暮らしやすいですよ。人で混みあうこともなく、静かで、ご近所は顔見知りばかり。安心して子どもを外で遊ばせられます。車でちょっと行ったところに温泉もあって、ふらっと行って、家族で浸かってくることもできます。積雪の少ない土地ではありますが、雪が積もれば公園でソリ遊びをすることもありますね。
都内よりも、春は少し遅めにやってきます。4月中旬から桜が咲き始めて、ゴールデンウィークの頃にりんごと桃が一面に咲きます。すごくきれいなんですよ。自宅の庭で家庭菜園もやっているんです。もう少ししたら土づくりをして、野菜の苗を植えます。去年はさつまいもを作って、子どもたちと芋掘りをしました。そろそろ今年の園芸計画を立てようと思っています。
小布施は、子どもをのびのびと、自然に囲まれた中で育てられる環境なんです。この土地で子育てができて、本当によかったと思いますね。
レイ・フロンティアとの出会い、フルリモートで働くということ
野島:そうなんです。小布施に越した後も、しばらくは長野市の会社に勤めていましたから、毎朝、電車で通勤しました。通勤電車は、かなり混むんです。都内の通勤ラッシュとまではいきませんが、座れないし、立っている人同士が触れ合うくらい。1時間に2、3本しか電車がないので、退勤するにも時間を見計らう必要がある。そのうち、この通勤時間を何とか削減できないかと考え始めました。
それにエンジニアである以上、最先端の技術を扱っている環境に身を置いておきたい、という思いが次第に強くなっていたんです。人工知能や機械学習といった、いま注目されている分野は、進歩がものすごく早い。日進月歩の技術を、東京の環境でキャッチアップできたらいいなあと。
だったら、フルリモートで東京の会社で働けないかと思い至ったんです。そこで在宅勤務をキーワードに、エンジニアの仕事を探していて見つけたのが、PARAFTに載っていたレイ・フロンティアの記事でした。
読んでみて、なんだかおもしろそうなことをやっているなあって感じました。自分が東京でやっていた半導体の自動設計アプリの経験、長野でのビッグデータを扱っていた経験は、レイ・フロンティアがやろうとしているサービスに活かせられるんじゃないかと思ったんです。
――なるほど。それでレイ・フロンティアへ応募されたんですね。
野島:そうです。当初は「通ったらいいなあ」くらいの思いだったんですが、選考の面談で田村さん(CEO)や大柿さん(CTO)からいろいろと話を聞くうちに、「ここで働きたい」と強く思うようになりました。自分のキャリアを深められるという期待もありますが、何よりもレイ・フロンティアが実現したいサービス・技術への思いに深く共鳴しました。無事に採用の通知をもらったときは、本当に嬉しかったですね。
――野島さんの、レイ・フロンティアが実現したいことへの共鳴とそれに結びつくご経歴が、採用という結果に繋がったんでしょうね。入社当初からフルリモートでスタートされたんでしょうか。
野島:ええ、最初からフルリモートで勤務しています。
――最初からフルリモートで働くことに、不安は感じませんでしたか。
野島:それまで勤めていた会社では、リモートワークをしたことがなかったんです。周囲にリモートで働く方もいませんでした。でも、意外と会社にすっと溶け込めたんです。
レイ・フロンティアでは、フルリモートの社員もコミュニケーション・ギャップが生じないよう、社員全員が意識してコミュニケーションをとっています。業務上のコミュニケーションはSlackを使っているんですが、オフィスで一緒に働く社員の間でも、Slackでの会話が基本。ですから、オフィスにいても、フルリモートしていても、コミュニケーションが質・量ともに差がないんです。
――かなり徹底されているんですね!
野島:さすがに、オフィスにいる社員はランチに何を食べたか、とかまでは知らないですけど(笑)。そうしたコミュニケーションへの姿勢は、何かルールがあるわけではなく、自然発生的にそうなっています。
それにみんな、リアクションが早いんです。何かSlackへ書いたら、すぐリアクションが返ってくるので、こっちも「早く返さなきゃ」という気になります。そうした「誰かがすぐにリアクションしてくれるし、するものだ」という社風が、コミュニケーションの好循環を招いているのかもしれないですね。
――Slackで見える形でのコミュニケーションを前提とするのが、レイ・フロンティアでは普通なんですね。それはリモートする側も安心ですね。
野島:そうですね。実際に、今では過半数の社員がリモートをしています。フルリモートも、私はむしろ近い方で、秋田や広島から仕事をしている社員もいます。そうした遠方の社員とも、オフィスと変わりなくやり取りをしていますよ。
あとは、週に一度、社員全員で"朝会”を実施しています。オフィスとフルリモートの社員全員がビデオ通話で繋がって、お互いの顔を見ながら、それぞれの仕事の進捗報告をします。遠慮せず、ストレートに発信する。不安や疑問はすぐに伝える。それがレイ・フロンティアの良いところだと思うし、リモートをする上では必要なことなんだと思います。意見交換が盛り上がって、音声がオンラインでかぶっても、みんな気にしない(笑)。
――野島さんご自身も、リモートする上で気をつけていることはあるんでしょうか。
野島:とにかく他の社員とコミュニケーションをしっかりとることを意識しています。全員と、最低でも日に1回は何らかのコミュニケーションをとっていますね。直属の上司とはもっと密にコミュニケーションをとっていて、自分が不安に思うこと・疑問に感じたことは、些細なことでも相談するようにしています。
とは言え、入社してから1年間は、秋葉原のオフィスへ毎月1回は出社していました。オンラインで密にコミュニケーションをとっていても、仕事を進める上では、やっぱり実際に会って相談したいという場面が出てくるんですね。ただ、自宅とオフィスを往復するのに、時間も体力もかなり奪われるので、必要があれば行く、ということに最近ではしていますが(笑)。
――リモートで働く上では、本人も周囲もとことんコミュニケーションすることが大切なんですね!
野島:そうですね。コミュニケーションを文字で行う分、会話と違って後に残ります。誤解が生じるリスクも大きいです。そこも含めて、誤解のないように文字でしっかり伝えられるかどうかは、リモートで働く上では必要なスキルだと思いますね。
――他に、リモートで働くにあたって大事だと思うことはありますか。
野島:「失敗した人を責めない。失敗した原因を責める」ということでしょうか。
仕事をする上で、どうしても上手くいかないこと、失敗するときはあると思うんです。実際、私も何度か失敗しています。リモートで働いていると、オフィスの空気がつかめないので、失敗した自分をみんながどう思っているのかわからない。リモートである以上、仕事も自分の裁量に任されているわけですから、失敗した自分自身をとにかく責めて落ち込みます。オフィスで働いているときに失敗するのとは比較にならないほどの恐怖に襲われるんです。
そんなとき、上司は「なぜ失敗したのか、みんなで事象を共有して失敗した原因を考えよう」というスタンスで接してくれました。失敗は誰にでもあるものだし、その原因をしっかり考えることで繰り返さないようにしようという、その建設的なスタンスを会社全体が示してくれることで、自分はリモートでも続けていけるんだ、と立ち直れました。
こうしたスタンスを、リモートする人も周囲も持っていることは、リモートで働く上では本当に大事だと思いますね。
その土地を家族で理解することが、移住を成功させる
野島:単純に田舎暮らしに憧れて、というだけで移住するのはリスクが大きいと思います。住んでいる人や、環境など、自分と家族がここで暮らしていけるという自信がないと難しいでしょうね。私は栃木の出身、妻は長野の出身ですから、東京から移り住んでも「元の環境に戻った」というだけの感覚なんですが、生活環境はガラリと変わりますよね。
普段の買い物をするスーパーも、町に一つしかない幼稚園も、自宅から離れたところにあるので、車で行くのが基本です。自治会も都会に比べると密な関わりになります。バーベキュー大会や年末の忘年会といったイベントを12世帯ほどで催しています。普段でも掃除当番や交通安全の見守りなど、交代でやっていますね。長野市で暮らしていたときよりも、ご近所付き合いは濃くなりました。東京に住んでいた頃は、”ご近所付き合い”そのものがありませんでしたね。栃木では小布施のような繋がりが当たり前だったので、「ないの?」って物足りなく思っていましたけど。
土地柄とか、どんな人が住んでいる地域なのかも、不動産屋さんに聞いたり、実際に足を運んだりして、かなり検討しました。小布施は長野市の通勤圏でもあるので、会社勤めの方もけっこう住んでいます。新しい家が建っている場所を選んだので、地域に溶け込みやすかったですね。お子さんがいる家庭も周りに多いんです。うちの子も幼稚園のお友達と遊んでいますし。家族みんなが小布施に馴染むのに、ほとんど苦労しなかったですね。
地方に住むなら、何かしらその土地に縁がないと難しいのではないでしょうか。小布施はそんなに雪は多くありませんが、それでも積もることはあります。雪かきだってしないといけない。電車も雪で動かなくなることがあります。夏は涼しくて冷房がいらない代わりに、冬は暖房が欠かせません。東京にいた頃から、妻の実家がある長野には何度も帰省していたので、私たちには土地勘がありました。だからこそ、家族みんなが小布施で暮らすことに満足しているんだと思います。
――なるほど。土地をよく理解することが移住を成功させるポイントなんですね。
フルリモートで働くいま、野島さんはずっとご自宅にいらっしゃるんですよね。仕事をする日はどんな風に過ごされているんでしょうか。
野島:特に集中力が高まる午前中を有効活用したいので、朝7時半から仕事に取りかかるようにしています。長野に通勤していた頃と、生活のリズムはあまり変わっていないんです。通勤時間がなくなった分、午前中に使える時間が増えたのは嬉しいですね。昼食も自宅でとっています。長野に通勤していた頃は妻にお弁当を作ってもらっていたので、弁当容器がお皿に変わったくらいかな(笑)。仕事を終えるのは長野の頃より早くて、18時までには大体終わっています。通勤していた頃はもっと遅くて、夕食を囲めないこともありました。
――お父さんがずっと家にいるなんて、ご家族はみんな喜んでいるのでは?
野島:さあ……。どうでしょう(笑)。子どもは喜んでいるんじゃないかと思います。上の子は幼稚園に通っていますが、下の子はまだ小さいので、仕事をしていると覗きに来ることもあります。自宅の中に仕事用のデスクを置いて、モニターも設置した、仕事専用のスペースを設けているんですが、その隣が子ども部屋なんですよね。ビデオ通話をしていると、通話相手に「子どもの声がするね」って言われることもあります。
妻は私とずっと一緒にいたら疲れるのか(笑)、近くの子どもセンターや長野の実家に子どもを連れて出かけることが多いんです。もともと妻は仕事をしたいという気持ちがあって、土曜日の午前中だけ、パートタイムで働いています。下の子が幼稚園に上がったら、働く時間を少しずつ増やしていく予定です。
――お子さんが大きくなっていけば、野島さんが自宅で働いていると奥様も働きやすいでしょうね。今後、ご自身ではどんなふうに働いていこうと考えていますか。
野島:小布施で暮らしながら、機械学習のエンジニアとして技術を磨いていきたいと思っています。そのためにも、東京で最先端の技術を持つレイ・フロンティアで働けているのはありがたいですね。一緒に働いている社員は皆、新しい知識をどんどん吸収する、とても優秀なエンジニアです。そんな彼らと働くことで、学ぶことは大きいです。
東京を離れたことで、技術の勉強会などに参加する機会は失われてしまいました。でも、最近ではオンラインでも十分にキャッチアップできるようになっています。時代に遅れをとることなく、エンジニアとして最先端を走り続けていきたいですね。

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編集部チーム
PARAFT編集部
自然豊かな小布施でご家族との時間を大切にしながら、エンジニアの仕事に邁進する野島さん。地方への憧れに留まらず、縁を活かして周到な準備をされた野島さんのケースには、学ぶことが多いと感じました。そんな野島さんが、思い描くキャリアを手にできているのは、”リモート”という働き方があったからこそ。地方に暮らす方々が、もっとさまざまなキャリアの選択肢を持てるように、レイ・フロンティア株式会社のような"リモート文化”を持つ会社が、もっと日本に増えていくことをPARAFTは心から願っています。
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