「ニッポン社会」入門の記事2018.10.30
外から見たニッポン
英国人記者が語る抱腹絶倒のニッポン!外国人はこう見ている!
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2018.10.30 文章 / 平田浩司
日本のプールがなんで面白いの?
イギリス人、コリン・ジョイスさんのリポートは、いきなり、こんなところから始まります。
??? なんでプールなの!?
日本人の私たちからすればかなり意外ですが、コリンさんいわく、日本のプールには、日本の縮図があるのだとか。
なんでこんなに整然と泳いでるの!?
なんで泳いでて、ぶつかったときに、あんなに平和的に頭を下げあって解決しているの!?
なんで子どもたちはちゃんと子ども用プールで泳いでるの!?
なんで若者たちはあんなにハードに泳いでるの!?
なんで一斉に休憩時間をとって、しかもみんなそれを守ってるの!?
……。
コリンさん、相当ショックだったようです。こんなふうにエキゾチック・ジャパンについて軽快な筆致で描き出しています。
彼は1970年イギリス生まれ。オックスフォ―ド大学で古代史と近代史を学んだ後、1992年に来日し、神戸で日本語を学びました。「ニューズウィーク日本版」記者を経て、イギリスの高級日刊紙「デイリー・テレグラフ」の東京特派員を長く務めました。
コリンさんの興味のほこ先は、日本人や日本社会のさまざまなところに及びます。
たとえば、俗語を紹介しています。
「勝負パンツ」。この言い回しを聞いて、感心しなかったイギリス人の友人はひとりもいない。大事なデートの前に着ける下着を指す言葉に関して、日本語ほど正直な言語はほかにあるだろうか?(本書より引用)
そこですか。そこに感動してるんですか。
読んでいて、思わずツッコミを入れたくなる個所がつぎつぎと出てきます。
いやあ、よく日本を歩き回っているなあ、よく情報収集してるなあ、と驚かされます。
日本のイメージはまだまだ正確でない?
イギリスのマスメディアがまだまだ日本について本気で読者に伝えていないこともじんわり伝わってきます。
コリンさんが勤務していた大手新聞社でさえ、ロンドン本社は東京の特派員にさしたる記事を求めているわけでなく、扱いがいつも小さかったようです。
なるほど、コリンさんは母国と日本のはざまで、結構、難しい立ち位置にいたんだと気づかされます。
本書が書かれたのは2006年で、その後、状況はかなり変わってきているのかもしれません。それに日本に駐在している外国人ビジネスパーソンがみんな、コリンさんと同じような目線を持っているとは限りません。それでも、日本で働く外国人の本音トークの一端にふれることができて、大変有益です。
本書は、いまだに読みつがれているロングセラーですが、その後、2016年に続編となる『新「ニッポン社会」入門―英国人、日本で再び発見する』(森田浩之訳、2016年)も出ています。
コリンさん以外にも、日本に滞在した外国人ビジネスパーソンの手記が少しずつ出てきています。
そんな書籍群から、外国の人たちの視点や考え方を吸収していくと、自分たち日本人の思わぬ特性に目を開かれる気がします。さて、あなたは日本のプールをどのように考現学しますか?
『「ニッポン社会」入門』の書籍情報
著者:コリン・ジョイス
初版発行:2006/12/7
出版社:NHK出版
価格:756円(税込)
サイズ:新書
頁数:222ページ
ジャンル:社会
読了目安:3時間
ISBN:978-4140882030
WRITER

編集者・ライター
平田浩司
日本に来た外国人が「ニホンハ、スゴイデスネ」と感嘆するシーンがよくテレビに出てきています。日本人の私たちは、思わずうれしくなってしまうわけですけど、これって、度が過ぎると、自己陶酔的なヘンな方向にいってしまいそうな気もします。難しいですよね。本書では日本のよくない点も含めてリポートしていますので、そうした点も読みどころかと思います。
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