働き方の記事2018.05.15
沈みゆく日本で生き残る方法
日本でコスパ良く生きるための最適な方法とは|働き方 完全無双
keyword: 働き方 完全無双 ひろゆき めくれバ! 働き方
2018.05.15 文章 / 片山美香子
徹底した俯瞰のスタンス
本書はまず、「個人」と「社会」を切り離すことからはじまります。そして自分という人間個人が、国家や社会に組み込まれることのないよう淡々と現状を分析し、国や社会のシステムの抜け道を探していくのです。
どのトピックも徹底した俯瞰視点で展開されていきます。日本のシステムから一定の距離を置き続けてきた著者は、国家や社会、人間心理といったことを、アウトローの立場から冷静に眺めているのです。裁判ぶっ続けの生活を経ている著者ですが、社会的な死を迎えることなく生き延びているのは、こういったスタンスで全体を見渡しているからなのかもしれません。
近年流行りの、一億総活躍! 起業をしよう! 副業をしよう! セカンドキャリアを築こう! 生産性を高く! AIに使われる側の人間にはなってはいけない! といったエネルギッシュな働き方論。毎日の生活で精一杯になってしまう私は「どこまでがんばればいいのだろうか」と不安を覚えてしまうのも確かです。
100歳まで生きるということもあり得るのだから、そう気張らずに、最低限の快適な暮らしを確保できれば十分ではないかという人にとって、著者の持つ温度の低さは心地よく感じるかもしれません。
なかでも、「イヤなこと」をやるためのスキルが人生をラクにするというテーマの第二章は目が離せませんでした。
「『なんでもやります!』って言うな」のトピックから引用すると、こんな一文があります。
「なんでもやります!」という姿勢でいると、どんどん利用し尽くされてしまいます。企業にとって、こういった精神の人材ほど、オイシイものはありません。(本文より引用)
熱心に新人を教育するタイプの人であれば、新入社員には読ませたくないかもしれませんね。しかし、何年か働いたことのある人ならば大なり小なり納得できてしまう社会のリアルなダークサイドでしょう。
「なんでもやります!」型の社員はブラック企業の養分となる
そして、
やがて放っておいても遅くまで残業したり、休みの日を返上してまで遅れを取り戻そうとしてしまいます。それで生じた残業代を企業が支払わないことで、企業にとっては安くモノやサービスを提供することができてしまいます。(本文より引用)と続きます。
だから、どんなに叩かれてもブラック企業はブラック企業で働く人がいる限り生き残るのだと著者は指摘します。
う~ん。この感じ……。私にはものすごく身に覚えがあることです。
かつての自分がそうでした。「なんでもやります!」と言って終電まで働き、いつの間にか徹夜を覚え、会社の机で寝て起きて、週末にだけ帰宅する毎日……。(そうしているうちに会社近くの銭湯に詳しくなります)
残業代? 休日出勤手当? それっておいしいの? の世界に数年だけですが生きていたこともありました。
当時を振り返ると、若さに任せ、夢を追うのに必死な毎日。一方で、社会に出たての自分の「役に立たなさ」をよく理解していました。できないことを山盛りに渡されて、失敗しまくり、働くことに自信を失っていたのです。
そして、あまりにも無知でした。「日本のシステム」を知らなさすぎたのです。「サービス残業は違法である」という日本の表システムと、「やる気任せのがむしゃら社員は企業に利用される」という日本の裏システム。
そういうことがわかるようになったのも、(自宅のお風呂に入らない、ずさんな生活をしながら)何年も働いた経験からです。現在、ブラック企業のシステムに飲み込まれている人は、知っておくと有利に立ち回れることを、いま知らないだけという可能性があります。
決められたシステムやルールのなかで、負けないように生きる。そのためには、あらゆることを俯瞰し、自分の状況を知る。これだけでずいぶんと生きやすくなるのではないでしょうか。
自分の価値観に沿って、無理なく快適な生活ができればそれでOKという生き方は、他人のつくった勝手なルールにうかつに乗っかることがありません。誰とも戦うことのなく勝てる最強の生き方ができるのです。本書はそういった無双状態を目指す方法をたっぷり学べます。
ネット界のダークヒーロー・ひろゆき氏に学ぶ働き方論は「一生懸命やっているのに、なんだかわからないけれどグッタリしている人」がちょっと冷静になれる一冊です。
『働き方 完全無双』の書籍情報
著者: ひろゆき
初版発行: 2018/4/25
出版社: 大和書房
価格:1,444円(税込)
サイズ: 単行本
頁数: 239ページ
ジャンル:自己啓発・ビジネス
読了目安: 2.5時間
ISBN:978-4479796442
WRITER

編集者・ライター
片山美香子
著者はがむしゃらにがんばる人の存在を否定しません。また全員が一律で休む方向となる現状の働き方改革には否定的です。そして「新しいことをする人」「優秀な人」の足をひっぱるなと釘を刺します。そういう人が何かイノベーションを起こして新しい雇用が生まれたら自分もそのイスに座れてお得かもしれません。だったらそういう人を応援したほうがよくないですかと説きます。案外そういった「ちゃっかり便乗しよう」の空気が、チャレンジャーを積極的に応援する土壌となるのかもしれないと妙に納得してしまいた。
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