非属の才能の記事2018.06.26
属さないで生きていく
「会社を辞めたい」と葛藤するあなたへ|非属の才能
keyword: 非属の才能 山田玲司 めくれバ! めくれバ! 1周年
2018.06.26 文章 / 片山美香子
”才能がない私”は会社を辞めることができない
と思っていた私。
湘南新宿ラインに乗り換えて、鎌倉まで海を見に行ったら楽しいだろうな。一瞬頭に浮かんだ鎌倉の海を必死でかき消して、通勤電車に乗る。あの暗い気持ちを今でも生々しく思い出せます。
会社を辞める。それは勇気のいる決断でした。
でも、なぜ会社を辞めることに対して、そんなに勇気が必要だったのでしょうか。
「才能とは“どこにも属せない感覚”のなかにこそある」(本文より引用)と主張するのは本書の著者である山田玲司氏。あらゆるジャンルのトップランナーを取材し続けた人です。
山田氏がオンリーワンな才能を持つ人たちを多く取材してわかったのは、才能とは「無条件に群れのルールに従うことのできない感覚」(本文より引用)のなかにあるということ。
学校や会社、世間や組織といった大きな存在から矯正されてしまうような部分。絶対にその人でなければいけないオリジナリティ。それを「非属の才能」として本書は全力で肯定していきます。
本書は10年以上も前の2007年に書かれた本ですが、今また売れているのは「組織と自分」のありかたが多くの人にとって切実な悩みとなっているからなのでしょう。
2007年の本を2018年の働き方ガイドとして読んでみる
といわれても、正直なところ、「私にはとてもムリなもの」として距離を置いていました。
情けないことを言いますが「組織に属する社員」という私のステータスがセーフティネットとして機能している以上、組織に属さないという選択をすることは「社会的な死を予感して怖い」というのが本音であります。
会社を辞めて転職に挑戦する、副業で稼ぐ、フリーランスとして生きていく方法。そんなの見当もつかない。だから「どこにも属さない自分」を想像すらできない。
「これが普通」「これが安定」「これが立派」。そんな”属す”ための教育を真に受けてきた私は、属さないで生きていける才能というものがよくわからないのです。
本書では「これが普通」という教育を受けてきた人のなかにある、非属の才能の見つけ方を教えてくれます。また、自分がいかに属す事に対して妄執していたのかがわかり、読み進めるごとに冷えて固まっていた気持ちが温かくほどけていきます。
新しい働き方があちらこちらで芽吹いている2018年。
2007年に書かれたこの本には転職や副業を成功させたり、フリーランスや起業家として活躍したりするためのノウハウは一切書かれていません。
でも、「大きな組織」と「個人」の関係を根本的に見直すための本質が詰まっています。それは「会社と私」の関係がこじれて行き詰まっている人にもきっと響くはず。
「ひとつの組織に縛られず、個の力で働こう!」という今の時代が放つメッセージ。
そんな新しい働き方がまぶしすぎて途方にくれそうなとき、読みたい本です。
『非属の才能』の書籍情報
著者: 山田玲司
初版発行: 2007/12/20
出版社: 光文社
価格: 756円(税込)
サイズ: 新書
頁数: 246ページ
ジャンル: 自己啓発・実用・人文・思想・哲学
読了目安: 3時間
ISBN:978-4334034290
WRITER

編集者・ライター
片山美香子
2018年の4月、本書はネットで全文公開されました。書店では「あなたではない人に届けたい」というポップとともに売られています。よりたくさんの人に読んでほしいという出版社と著者の意志が伝わってきました。深く深く悩んでしまって心身がフリーズするときは、視野がぎゅっと狭くなっているとき。本の力で目の前が開けて、体を動かしてみようかなという気になる。この本はそんな体験をもたらしてくれると信じています。
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