図解鬼速PDCAの記事2018.08.21
書籍化したPDCAの精華
まずは成功体験から始めよう。懇切丁寧なPDCA解説
keyword: 図解鬼速PDCA フレームワーク めくれバ 仕事への情熱を沸き立たせる ツール
2018.08.21 文章 / 和田由紀恵
刷り込まれたPDCAの呪文と邂逅再び
※注:本書はあえてADJUSTとしている。一般的にはACT、ACTIONとされることが多い。
新入社員の当時、会社ではPDCAを繰り返し教えられた。研修中に記入する日報には、PDCAを具体的に記入する欄が用意されていたし、現場に配属されると、PDCAがちゃんとできているか上司からたびたびチェックを受けた。
研修でも現場でも、PDCAは呪文のように唱えられていたが、PDCAをきちんと回せている人は実際のところほんのわずかだった(ように見えた)。正直なところ、上司だってPDCAが出来ているかというと、極めて怪しかったと思う。
「仕事がよくできるあの先輩は、PDCAをちゃんと回しているんだろうなあ……。」とぼんやり思いつつ、目の前の「緊急×重要」なタスク(というか、すでに燃えかけているタスク)に追われていた日々。「緊急×重要」のゾーンを炎上させないようにするのが精一杯だった私は「仕事をPDCAに落とし込んで効率を図る余裕すらない」というのを言い訳に、PDCAを徐々に忘れていった。
ところが数年前に前著『鬼速PDCA』を読んで、PDCAとの邂逅を果たした。「PDCAを回せば、素晴らしく仕事が捗るかも!」。 俄然やる気になり、書いてあるメソッドを実行してみようと張り切った。私のアウトプットは劇的に改善するに違いないと、期待は膨らんだ。
残念ながら私の期待は、ダイエットを始めたときと同じ心理だったよう。もちろん『鬼速PDCA』でPDCAスキルを獲得し、劇的な効果を上げた方は多いはずだ。でも私は、PLANはともかくDOで引っかかる心の弱いタイプ。DOが出来ない言い訳を、自分に対して100個だって並べてしまう。メソッドのポイントを確認するために本文に戻るのも、なかなかに面倒で、恥ずかしながら早々に挫折してしまった。PDCAを思い出し、多少は意識するという効果は残ったが、鬼速PDCAの実践には程遠い結果となった。
それが今回の『図解鬼速PDCA』は、前著よりもさらにパワーアップしているとか。私ほどの低いレベルでも大丈夫だろうか、とは思いつつも、再びPDCAと向き合うことにした。
進化したPDCA解説の決定版
ビジネスツールなので当然だが、前著は実務を中心にPDCAを解説しており、PDCAというのは小難しいテーマを当てはめるものだという先入観があった。ところが本著は、何ならダイエットをはじめプライベートにだって応用できると解説。なるほど、確かにそうだ。そうであれば、私だってPDCAを回したことがあったような気もする。それがPDCAだとは意識せずに。
何よりも著者が言う“PDCAは前進するためのフレームワーク”という言葉に力づけられた。小さなタスクでも良い。まずはPDCAをとにかく回してみて、その成功体験を味わうのが大事だそうだ。
無理せず少しずつやってみればいいんだ。いきなり大きなタスクを何とかしようとするのではなく、小さなタスクでPDCAに慣れてみて、そこから少しずつ範囲を広げていく。ダイエットだって、いきなり10キロ減を目指さずに、まずは甘い飲み物をやめてみるとか、小さなことから取り組む方が堅実なのは体験済みだ。
さて、個人的に引っかかってしまうDO。本著はかなり丁寧に、陥りがちなトラップを回避する手段を解説している。まずDOはTODOへと落とし込む必要があるのだそう。例えば「図書館へ行く」というDOを、「今週中に図書館へ行く」というTODOにしてしまえば、より実行に移しやすくなる。さらには実行に移せないパターンを3つ解説しており、いずれも心当たりのあるものばかりだ。
こうしたノウハウは前著にも解説されていたと思うが、よりわかりやすく、立ち戻って確認したいときも便利な作りとなっている。
そのうえ、前著にはあまり記述のなかったPDCAを継続するためのノウハウも追加された。その内容はぜひ本著を手に取って確認していただきたい。とにかく私は、もう一度PDCAに取り組んでみようと強く思えたのだった。
本著はビジネススキル、ノウハウをまとめた実用書ではあるが、一貫して著者の勢いのあるポジティブな姿勢が伝わってくる。読んでいるうちに、その熱がこちらにも伝染してくるのも、大きな魅力だろう。これほどまでに情熱を傾けて、PDCAを進化させる著者は、“何よりもPDCAを少しでも実行することで自分が前進していく感覚を得ること、それが自信につながる”と語る。読むうちに火がついた仕事への情熱を、きっと持続させられる。そんな知恵と力が、この本には詰まっている。
『図解鬼速PDCA』の書籍情報
著者: 冨田 和成
初版発行: 2018/6/29
出版社: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
価格: 1382円(税込)
サイズ: 単行本
頁数: 144ページ
ジャンル:ビジネス実用
読了目安: 2時間
ISBN:978-4295402015
WRITER

編集者・ライター
和田由紀恵
薄くて持ち運びもしやすいので、携帯したり、オフィスで閲覧するのにも向く本書。そのあたりも考慮して、丁寧に作られているのがわかる。何よりPDCAを説く書籍なだけあって、読者からのレビューを踏まえて進化させているのが、まさにPDCAの結晶とも言える。もしかして今後もバージョンアップするのかも、と楽しみにしつつ、まずは実行あるのみだ。なお読者が実践してみた報告が、Web上に多く見られるのも前著の特長。鬼速PDCA仲間が見つかるかもしれないと、たびたび検索してみている。
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