副業の記事2019.12.16
副業解禁はいつから?なぜ?
得意や夢を副業に。副業解禁でキャリアもつくれる時代へ
2019.12.16 文章 / 我謝 かおり
副業解禁はいつから?副業解禁の背景とは
出典:Pixabay
2018年1月、厚生労働省は企業や会社員が副業や兼業をする上での注意点をまとめた『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を発表しました。その中で、これまで原則副業を禁止していたモデル就業規則(常時10人以上の従業員を使用している使用者が労働基準監督に届け出なければならない就業規則のモデルとして厚生労働省が作成・解説しているもの)も副業を認める内容に改定され、公に副業が認められました。
中小企業庁が2016年に実施した「平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業」によると、2016年当時で副業を認めていない企業は85.3%。
法律で副業が禁止されていないにもかかわらず、これだけの企業が就業規則で副業を認めていなかったのです。そのため副業は大っぴらにではなく、こっそりやるイメージがありました。
2018年以前は副業を認めない会社を従業員が訴えた事例もあります。また、企業に勤めながらこっそり副業している事例はたくさんありました。例えば、会社員をしながら副業で小説を書いていた作家もたくさんいます。2017年に『蜜蜂と遠雷』で本屋大賞と直木賞を取った恩田陸さんもその一人です。
しかし、2018年1月に国が副業に関するガイドラインを出したことで、副業が公に認められた格好となりました。
ガイドラインの策定を受け、一部の企業が副業の解禁に乗り出しています。
副業が解禁されたばかりの現在は副業が一般に認知される過渡期といっていいでしょう。
▼ なぜ、いま副業が解禁されたのか?
副業が解禁された背景にあるのは、少子高齢化による働き手の不足。労働力を確保するため、国は子育てや介護と仕事の両立などを目指すいわゆる「働き方改革」を推進しています。
2017年3月、安倍晋三内閣総理大臣が議長を務める「働き方改革実現会議」で「働き方改革実行計画」が策定されました。その中で、同一労働同一賃金や外国人労働者の受け入れ、そして柔軟な働き方ができるよう環境整備を進めていくことになりました。柔軟な働き方の一環として、副業を認める兼業・副業に関するガイドラインが策定されたのです。
副業が解禁されることで、個人の起業の増加やキャリア構築が容易になることなどが期待されています。
副業解禁、企業の現状は?副業のメリット・デメリットとは
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2016年2月、ロート製薬株式会社では、社外や部署を超えて働く「社外チャレンジワーク制度」「社内ダブルジョブ制度」が制定され、話題を集めました。
入社3年目以上の社員を対象に、社外での勤務時間外の副業を認めた「社外チャレンジワーク制度」には2016年当時、60人以上の社員が応募しました。製薬会社ということもあり、薬剤師の免許を持ちながらも薬剤師として働いたことがなく、現場を知りたいという社員が週末にドラッグストアなどで働く事例もありました。ロート製薬株式会社は、社外で働くことが社員の成長につながり、社会に貢献できる人材が育つと副業を後押ししています。
働き方改革以前から副業を認めている企業もあります。グループウェアの開発などを行うサイボウズ株式会社は2012年から副業を許可しており、2017年1月にはサイボウズで副(複)業で働く社員を募集し、話題になりました。
大企業では、ソフトバンク株式会社が2017年11月から、本業に差し支えがなく、社員のスキルアップにつながる副業を許可しています。
しかし、副業はまだ“本当に解禁された”とは言えない状況です。2019年9月、人材紹介サービス大手のエン・ジャパンが、従業員数300名未満の企業を対象に「副業・兼業」についてアンケート調査を行ったところ、副業を容認している企業の割合は25%。75%の企業が副業を認めていないのが現状です。
とはいえ、副業を禁止している企業の約4割は副業・兼業を容認することを検討していくと答えているため、副業一般化への追い風は吹いていると考えられます。
副業を許可している企業では、副業は人材の確保、社員のスキルアップにつながるという声があります。
そのような中で、副業が浸透しないのはなぜでしょうか。
企業の本音としては、本業をおろそかにされること、情報や人材の流出などの不安があります。
▼ 副業のメリット・デメリット
・副業のデメリット
個人にとっての副業をするデメリットとしては、長時間労働で健康を害することや、副業中にけがをした際に労災が適用されない場合があることなどがあげられます。
また、副業を含めた仕事だけでなく、家族と過ごしたり、レジャーを楽しんだりしてプライベートを楽しみたいという意見もあります。
・副業をするメリット
企業にとっては、副業を許可することで優秀な人材を確保することができる、社外で働くことで社員の視野や人脈が広がり、スキルアップが期待できるといった点があります。これは個人にとっても、大きなメリットとなります。
副業を始めよう。キャリアは自分でつくる
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就職してしまえば一生安泰という時代は、終わっています。これからは個人が自分のキャリアを考え、自分でキャリアをつくり人生設計をすることが重要です。
キャリアをつくっていくために、副業は役に立ちます。本業で生計を立てつつ、自分の得意なこと、やってみたいことを副業としてチャレンジするのはどうでしょうか。
得意なことが思いつかない場合は、本業で培ったノウハウやスキルがほかの分野で生かせないかを考えてみるのも一つの方法です。
副業を解禁しているロート製薬の社員には、製薬会社での経験を生かし地元に貢献したいと地ビールの会社を立ち上げた人がいます。また、京都府の情報通信会社株式会社フューチャースピリッツに勤める男性は、同社に勤めながら、実家の家業を副業で支援。「副業を通じて経営者の目線を意識できるようになった」と言います。これらは本業のスキルが他の業種で活用できた事例でしょう。
本業以外にも得意なことがある、やってみたいことがある場合も副業で始めてみてはどうでしょうか。
サイボウズには本業の傍ら飲食店を経営する人、大学を卒業するまで続けていたスポーツという特技を生かしてスポーツ系YouTuberをやっている社員もいます。
いきなり起業する、お店を開くというのはハードルが高いかもしれません。しかし副業として週末にアルバイトをしてみる、家族や知人の仕事を手伝ってみるといった小さなステップから始めてみるのも一つの方法です。
本業のスキルを磨きつつ、そのスキルを他の分野で生かしてみる、得意なこと、やってみたいことをまずは副業として始めてみる。まずは始めてみることが大切です。

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副業解禁はいつから?なぜ?
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副業解禁はいつから?なぜ?
WRITER
ライター
我謝 かおり
夢をまずは小さくかなえてみませんか? 「レーサーじゃなく、タクシードライバーでも人の役には立てる」。母親業と会社員の両立に行き詰まった私が、キャリアカウンセラーからもらったアドバイスです。地方紙の新聞記者の経験があった私は「ライティング」を自分のキャリアにしようと思い、クラウドソーシングに登録し、ライターを始めました。「人よりちょっと得意は仕事になる」。あなたも夢に一歩踏み出してみませんか。