法人化の記事2020.12.28
法人化するタイミングはいつ?
フリーランスエンジニアの法人化のメリットや手順を解説します!
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2020.12.28 文章 / PARAFT編集部
フリーランスが法人化するメリット・デメリット
フリーランスが法人化するメリット
フリーランスが法人化するメリットとして挙げられるのが、下記の3つです。
- 社会的信用が高くなる
- 決算期の選択や社会保険の加入が可能になる
- 節税効果が高くなる
それぞれ、個人事業主やフリーランスでは難しく、法人化することで得られるメリットなので具体的にみていきましょう。
社会的信用が高くなる
1つ目のメリットは、「社会的信用が高くなる」という点です。
個人事業主から法人化し、社会的信用が高くなることで以下のようなことが起こります。
- クレジットカードや銀行融資の申請が通りやすくなる
- 法人でなければ契約ができないクライアントとの契約が可能になる
- 人材の募集をかけた時に集まりやすくなる
上記のように、個人事業主やフリーランスでは難しいことでも、法人化することで活動がしやすくなる可能性が高くなるでしょう。
決算期の選択や社会保険の加入が可能になる
2つ目のメリットは、「決算期の選択や社会保険の加入が可能になる」という点です。
個人事業主では、フリーランスの場合の決算期は12月で確定申告や納税も2月〜3月の間に対応しなければいけません。
その中で、「年末や新年度前の繁忙期のタイミングで対応しきれない」と感じた方もいるのではないでしょうか。
しかし、法人化することで、繁忙期のタイミングは避けて決算期を設定することができるため、余裕を持って対応することも可能になります。
また、法人化することで厚生年金保険や健康保険などの社会保険に加入することができるようになるのも大きなメリットになるでしょう。
節税効果が高くなる
3つ目のメリットは、「節税効果が高くなる」という点で、おそらく法人化しようと考える方の多くが節税効果があるというメリットを耳にしたことがあるでしょう。
具体的には、下記のような節税効果が期待できます。
- 2年間の消費税の支払いの免除
- 給与(役員報酬)・退職金を経費にすることが可能
- 所得税から法人税に代わり最高税率が低くなる
○2年間の消費税の支払いの免除
課税売上高が1,000万円を超えると消費税を払う必要が出てきます。
しかし、法人化することで資本金が1,000万円未満であれば、法人設立から2年間は消費税の納税が免除される仕組みになっているため、節税することが可能です。
○給与(役員報酬)・退職金を経費にすることが可能
フリーランスとして活動をしている中で、給与は経費の対象外になっており、利益分をそのまま自身の所得として計上しなければいけません。
しかし、法人化することで、給与(役員報酬)以外にも退職金も経費換算することができます。
そのため、法人化した際に決めた報酬を給与として経費に計上できるとともに、余分な資金は事業投資に回すなど、資金繰りの幅を広げることも可能です。
○所得税から法人税に代わり最高税率が低くなる
法人化することで税金の支払いが所得税から法人税に代わります。
所得税の場合、所得税率の最高が45%にまで上がるのに対して、法人税率の最高は23.2%になります。
そのため、フリーランスとしての年収が700万円以上で今後も増加の見込みがある方は、所得金額が900万円を超える前に法人化することで、約10%程度の節税効果を見込むことが可能です。
【所得税率 一覧表】
参照:国税庁「No.2260 所得税の税率(平成27年分以降)」
【法人税率 一覧表】
参照:国税庁「No.5759 法人税の税率」
※1)2021年3月31日までに開始する事業年度までは15%の優遇措置が適用
参照元:朝日税理士法人「税制改正大綱の概略と改正スケジュール」
フリーランスが法人化するデメリット
フリーランスが法人化する場合、メリット以外にもデメリットも存在します。
そのため、本項では、フリーランスが法人化する際のデメリットについて解説していきます。
デメリットとして上げられるのが下記の3点です。
- 登記や設立までに時間がかかる
- 設立や維持のためのコストがかかる
- 会社経営のために必要な知識が増える
デメリットは正確に把握することで、自分の中でメリットとデメリットどちらの方が優先度が高いか判断できるようになるため参考にしてみてください。
登記や設立までに時間がかかる
法人化するためには、様々な準備や申請の手順を踏んでいく必要があり、何度も修正がある場合、設立まで1ヶ月程度かかってしまう可能性もあります。
特に、案件と法人化を同時並行で対応をしていると、修正対応や検討事項があっても案件の対応もしなければいけないこともあるため、余計時間がかかってしまう可能性もあることは想定しておきましょう。
なので、登記や設立をする場合には、ある程度時間が確保できるように、案件対応の間にまとまった時間を確保しておくことをオススメします。
設立や維持のためのコストがかかる
法人の設立や維持のためにもコストが必要になります。
具体的には下記のようなコストが必要です。
【法人化に必要な費用一覧】
○設立のための登録免許税:150,000円 |
また、上記以外にも書類作成を司法書士に依頼するのであれば、5万円〜10万円かかるため、ある程度の準備金を用意する必要があります。
また、社会保険料は従業員の費用は従業員と法人で半分ずつ負担するため、社員が増えることで社会保険料も維持コストとして上がっていくことも注意しておきましょう。
会社経営のために必要な知識が増える
法人化する際には、会社の環境構築や適切な経営判断をするために、会計・税務・労務などの知識を養っていく必要があります。
特に、法人化したばかりのスタートアップ企業では、外部に委託するための費用もかかるため、自身で対応する可能性もあるため、学習コストが必要ということは覚えておくと良いでしょう。
また、外部委託で対応する場合でも、毎回専門家に確認する時間もかかってしまいます。
そのため、スピード感を持った経営判断を行うためにも、ある程度の知識を身につけることは必須と考えておいた方が良いでしょう。
フリーランスエンジニアが法人化するタイミング
フリーランスエンジニアが、法人化する適切なタイミングは、大きく2つに別れます。
【法人化するタイミング】
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法人化を行う適切なタイミングを知ることで、節税効果を高めることができるため、具体的に説明していきましょう。
売上高が1,000万円を超えてから2年後のタイミング
法人化のタイミングとして、売上高が1,000万円を超えたてから2年後が一つの目安になります。
消費税は、売上高が1,000万円を超えた年の2年後から納税義務が発生しますが、法人化を行うことで法人設立から2年間は消費税の免税が適応されます。
その免税を利用して、売上高が1,000万円を超えてから3年目のタイミングで法人化した場合は4年間の消費税の支払い義務を延長することが可能です。
そのため「売上高が1,000万円を超えたてから2年後」がオススメのタイミングの一つになるでしょう。
【消費税 納税義務期間 例】
参照元:国税庁「消費税のしくみ」
◇解説 |
課税所得が900万円になるタイミング
もう一つのタイミングが、「課税所得が900万円になるタイミング」です。
課税所得とは、売上から経費などを除いた金額から基礎控除や配偶者控除などの各種所得控除の合計を引いた金額のことを指します。
課税所得では、695万円超〜900万円以下で税率が23%・900万円超〜1,800万円以下で33%かかってしまいます。
しかし、課税所得が900万円を超えるタイミングで法人化することで、法人税の23.2%以上に税率が上がることはありません。
そのため、「課税所得が900万円になるタイミング」を目処に法人化すると節税することができるでしょう。
また、法人税に関しては、2021年3月31日までに開始する事業年度までは15%の優遇措置が適用されるため、課税所得が330万円超からであれば節税効果が期待できます。
フリーランスエンジニアが法人化するタイミング
フリーランスエンジニアが法人化をするための手順
【法人化するための手順】
法人化までの手順を知ることで、具体的なスケジュールをイメージできるようになるため、参考にしてみてください。
1.会社の基本事項の決定と必要備品の用意
はじめに、会社の基本事項を決定していきます。
基本事項として上げられるのが下記の6つです。
○商号:登記するための会社名 |
これから、会社を経営していく際の登記や定款の作成のために必要になってくる情報なので、しっかりと検討していきましょう。
また、申請にあたり事前に用意しておくべき備品として「会社用の実印(会社代表印)」が必要になるため、あらかじめ作成しておくとスムーズに申請を進めることができます。
2.定款の作成と定款承認
次に、定款の作成と定款承認を行った後に、資本金の支払いを行います。
定款を作成するために必要な情報は下記の通りです。
○商号 |
また、定款を作成したら、「定款承認」を行いましょう。
定款承認は、会社の本店所在地を管轄する法務局の所属している「公証役場」にて対応してもらえます。
3.資本金の振り込みを行う
定款承認が完了したら、資本金の振り込みを行います。
資本金を振り込む段階では、法人口座は設立されていないため、下記のような流れで行うと良いでしょう。
1.発起人の口座に自分名義で振込(振込の証明が必要なため) |
4.法務局への会社設立登記申請
振り込みが完了したら法務局への登記申請を行います。
登記の際には、収入印紙が必要になるので忘れずに用意するようにしましょう。
また、会社設立登記申請に必要な書類は下記の一覧をご参考ください。
○登記申請書 |
また、法人作成後には必ず「印鑑カードの交付」を受けるようにしましょう。
印鑑カードは法務局で「印鑑カード交付申請書」を提出することで取得が可能です。
5.銀行口座やクレジットカードの作成
登記が完了したら、法人用の銀行口座やクレジットカードの作成を行います。
クレジットカードは会社専用で作成することで、資金管理や経費精算を効率化することにつながるため、個人とは別々に作成すると良いでしょう。
また、法人用の銀行口座を作成した後には、資本金緒金額を個人名義から法人名義へと移行す必要があるため忘れないように気をつけてください。
6.税務署への届出/申請・各事務所への社会保険の手続き
最後に、税務署への届出や申請と各事務所への社会保険の手続きを行いましょう。
税務署で届出/申請を行うものは下記の通りです。
【税務署 届出/申請書類一覧】
○法人設立届 |
※2)必要に応じて提出を行う(窓口で要確認)
また、都道府県税事務所や市町村役所にも税務署で届出/申請を行った書類の提出が必要なケースもあるので、適時税務署などで確認を取ると良いでしょう。
その他に社会保険の手続きは以下の場所で行います。
【社会保険手続き】
○年金事務所;厚生年金・健康保険 |
※3)従業員がいない場合には対応不要
まとめ
以上、フリーランスエンジニアが法人化をするメリットやデメリット、適切なタイミングや具体的な手順・注意点などを解説してきました。
フリーランスエンジニアで活躍している場合、売上拡大や節税で法人化が必要にあるケースも多いでしょう。
そのため、本記事の内容を参考に法人化までの具体的なイメージをつかんでもらえれば幸いです。

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