COBOLエンジニアの記事2021.05.04
COBOLエンジニアの将来性
今後の活躍は可能か、これから習得すべきかを考える
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- ①言語としてのCOBOLの特徴と将来性
- 汎用機でよく使われる。事務処理を効率よく進められる言語
- 金融業界や保険業界、官公庁でよく使われている
- 大規模プロジェクトでの採用率は緩やかに低下。但ししばらくは活用され続ける ②COBOLエンジニアの将来性を考える
- 高齢のエンジニアも少なくない。COBOLエンジニアはますます貴重に
- 新規導入の案件はあまり期待できず、長期的な将来性も高くない
- 他の言語のスキルもあると、市場価値は上昇する ③COBOLでのフリーランスエンジニアが視野に入る3つのタイプ
- すでにCOBOLエンジニアとして、豊富な実績がある方
- 最新技術を追わなくてもよく、高い収入にこだわらない方
- 中高年など、年齢の高い方
2021.05.04 文章 / PARAFT編集部
言語としてのCOBOLの特徴と将来性
本記事ではまずCOBOLの特徴を述べた後、将来性について解説していきます。
【本項の内容】
▼汎用機でよく使われる。事務処理を効率よく進められる言語
COBOLは、さまざまな特長を持つ言語です。ここでは3つのポイントを取り上げ、解説していきましょう。
正確性や信頼性が高い言語
COBOLは、60年以上の歴史を持つプログラミング言語です。事務処理に特化しており、バッチ処理を速く行なえる特徴を持っています。
加えて10進演算を、何度でも正確に行なえることも強みの1つ。他のプログラミング言語では、計算を何万回も繰り返すと計算結果が不正確になる場合があります。しかしCOBOLでは、このような事態は起こりません。厳密な精度が要求される処理でも、安心して使用可能です。
もちろん多くの不具合が解決されており、安定していることも見逃せないポイントに挙げられます。
学びやすく、処理速度も高い
COBOLには、以下の特徴もあります。
- 初心者でも学びやすい
- 人によるコードのブレが小さく、ソースの可読性も高い
- Javaなどオブジェクト指向言語と比べて、処理速度が高い
- XMLやアジャイル開発にも対応
上記のどれか1つ以上を長所として持つ言語は多いですが、すべてを兼ね備える言語はなかなかありません。COBOLは一人前になるまでの学習コストが低く、スピーディーに動作するプログラミングが可能。可読性が高いため保守もしやすいという、3つのメリットを兼ね備えた言語です。
事務処理によく使われる。一方でWebアプリケーションにはあまり活用されていない
ここまで挙げた特徴を活かし、COBOLは事務処理の効率化を目的によく活用されています。一方で、現在の開発の主流となっているWebアプリケーションの開発にはあまり活用されていません。それはWebアプリケーション開発に向く言語が多数現れており、良質なシステムを効率よく開発できるためです。
このような状況下では、あえてCOBOLにこだわる必要もありません。時代の最先端をゆくシステムに関われないことで「古い言語」と思われてしまうことは、人気がなくなりエンジニアが減る原因の1つに挙げられます。
▼金融業界や保険業界、官公庁でよく使われている
COBOLは、業界を問わず広く使われている言語ではありません。よく用いられている業界には、以下の3つが挙げられます。
- 金融業界(金融機関、証券会社など)
- 保険業界
- 官公庁
いずれも、業務において重要な事務処理を多く抱える業界です。上記に挙げたシステムで豊富な経験を持つ方や、これから携わりたい方にとって、COBOLは主な選択肢の1つとなるでしょう。一方でどれにもあてはまらない方の場合は、COBOLを学ぶ優先度は高くないといえそうです。
▼大規模プロジェクトでの採用率は緩やかに低下。但ししばらくは活用され続ける
Webアプリケーションが開発の主流となるにつれて、COBOLが使われる割合は低下し続けています。これはコーディングしやすい言語が続々と登場し、開発に使われる主な言語も交代しているためです。一方で、開発プロジェクトでの採用率が劇的に低下しているわけでもありません。
情報処理推進機構は「ソフトウェア開発データ白書」のなかで、システム開発で使われている言語の割合を公表しています。COBOLが占める割合は以下のとおり、緩やかに低下していることは押さえておきたいポイントです。
2014年 | 15.3% |
---|---|
2016年 | 15.1% |
2018年 | 13.3% |
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一方でCOBOLが多く使われている金融・保険・官公庁システムは、システムのリプレースや新しい言語への置き換えを慎重に行なう傾向があります。このため、COBOLはしばらく活用され続けると見込まれます。少なくとも「1年前まではそこそこ案件数があったのに、今はぱったりと仕事がなくなった」という事態になる可能性は、低いでしょう。
COBOLエンジニアの将来性を考える
ここでは3つの視点から、COBOLエンジニアの将来性を考えていきます。
【本項の内容】
▼高齢のエンジニアも少なくない。COBOLエンジニアはますます貴重に
COBOLは60年以上の歴史を持つため、高齢のエンジニアも少なくありません。実際に開発現場では、定年退職などに伴う人員の減少が課題となっています。一方で若手からは避けられる傾向にあるなど、なかなか必要人数を充足しにくいことも実情です。
日経x TECHが2019年3月に実施した調査結果によると、回答者のうち約50%の方が「COBOLエンジニアの確保が難しい」ことを挙げています。若手でなくても応募があればまだよいものの、なかには人員の確保が難しいためCOBOLからの移行を断念したプロジェクトも現れるほど。憂慮すべき事態といえるでしょう。
開発案件が緩やかな減少傾向にあっても、エンジニアの数がそれ以上に減少すれば、相対的なエンジニアの価値は上がります。数年単位のスパンで見れば、COBOLエンジニアはますます確保しにくくなるでしょう。
この点でCOBOLエンジニアの価値は、しばらくアップし続けると考えられます。特に若手のCOBOLエンジニアは、貴重な存在となるでしょう。
▼新規導入の案件はあまり期待できず、長期的な将来性も高くない
一方でCOBOLを活用してこれから新規にシステムを組む案件は、残念ながらあまり期待できません。さきに解説した日経x TECHの調査結果において、「新規開発案件が少ない」という回答をした方は全体の31%に達しています。
案件数そのものも徐々に下降傾向にあることをみると、COBOLのニーズが縮小し続けていることがうかがえます。またレバテックが2018~2019年度に行なった「【2020年7月発表】プログラミング言語別求人案件ランキング」によると、求人全体においてCOBOLはすでに少数派となっています。
このため長期的な視点で見ると、COBOLエンジニアの将来性は明るいといえません。新卒でCOBOLエンジニアになった場合は将来キャリアチェンジを迫られる可能性を織り込んだ上で、スキルアップに励む必要があります。
▼他の言語のスキルもあると、市場価値は上昇する
COBOLで組まれたシステムを運用する組織のなかには多数派ではないものの、Javaをはじめとした他の言語に移植するケースが一定数発生しています。もしJavaやC言語、C++といった、移植後の言語に関するスキルも持っていると、プロジェクトで重宝されることでしょう。
いずれも簡単に習得できる言語ではありませんが、スキルをお持ちの場合は積極的なアピールが有効です。ご自身の市場価値が上がる効果も期待できます。
COBOLでのフリーランスエンジニアが視野に入る3つのタイプ
そのなかで以下に挙げる3つのどれかに当てはまる方は、フリーランスエンジニアへの道も視野に入ります。それぞれの理由と見通しについて、詳しく解説していきましょう。
【本項の内容】
▼すでにCOBOLエンジニアとして、豊富な実績がある方
ITエンジニアは技術の変化に対応し、新しい言語を学び続けなければならない。多くのシステム開発者は、このように考えていることでしょう。原則としては正しい考えですが、COBOLエンジニアのキャリアという面で考えると、必ずしも正しい考えとはいえません。なぜならキャリアチェンジを行なうことで、以下のリスクが生じるためです。
- 新しい言語や技術を学び直す手間がかかる
- すでに習得している方や若手に追い越され、仕事を失うリスクがある
COBOLを使った開発プロジェクトは、新しいエンジニアの獲得に苦労しています。すでにCOBOLエンジニアの実績を豊富に持っているならば、わざわざそのスキルを捨てる必要はありません。
苦労してリスクを負い新しい言語をマスターする代わりに、COBOLのスキルを活かしてフリーランスになることも有力な選択肢です。これまで積み重ねたスキルを活かせることは、社会にとっても大きなメリットになります。
▼最新技術を追わなくてもよく、高い収入にこだわらない方
意外に思われるかもしれませんが、COBOLはXMLやアジャイル開発など、近年よく使われる技術にも対応しています。このような点も含め、言語としての改善は継続されているわけです。
一方でリリースから60年以上も使われている言語ですから、たいていの不備は解決されています。安定した技術であること、人によりコードの内容にばらつきが出にくいといった特徴もあるため、平均単価は月50~60万円程度。年間1,000万円以上稼ぐ方もいるものの、平均で600~720万円という額は高いといえません。
このため最新技術を追うことや、高い収入にこだわりがない方に向いています。COBOLは使われる業種に偏りがあるため、この点にこだわりがないことも重要なポイントです。
▼中高年など、年齢の高い方
あなたが中年以上の場合、経験を積んだ方でも若手が優先され、案件に入りにくい方は少なくありません。しかしCOBOLであれば、他の言語よりはチャンスがあると考えられます。
さきに紹介した日経x TECHの調査結果には、「自分よりも年齢が上の人しか来ない」「プロジェクトメンバーが高齢化しがち」といったコメントも寄せられています。これは裏返すと、年齢に関係なく能力のある方なら採用せざるを得ない現実を示すもの。IT企業にとっては厳しい現実ですが、エンジニアの側から見ると悪い話ではありません。
また中年以上のエンジニアの場合、現役でバリバリ働ける期間はそう長くありません。COBOLの案件はすぐになくなるどころか、目先の数年はむしろ案件に入りやすくなる可能性さえあります。「COBOLエンジニアを続けたまま、定年などでリタイアできる」可能性も、決して低くはありません。
一方で若手がCOBOLを選ぶことには、慎重な検討が必要です。もちろん「COBOLが好き」という理由であれば、COBOLエンジニアを目指すことも1つの選択肢になります。しかし将来の見通しはあまり明るくないため、いま職場で貴重な存在になれることだけを理由に選ぶことはお勧めできません。今は効率的かつ書きやすい言語が多く登場していますから、さまざまな言語を比較検討した上で選ぶとよいでしょう。

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COBOLエンジニアの将来性
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編集部チーム
PARAFT編集部
COBOLの案件や採用比率が減少し続けていることは事実ですが、すぐに開発現場で使われなくなるわけではありません。COBOL技術者の減少が見込まれていることもあり、少なくとも向こう数年間は案件に入りやすい状況が続くと見込まれます。すでにCOBOLの実績がある方ならば、フリーランスで活躍することも十分に可能です。 IT系の職種としてフリーランスになる人は、PROsheetなどの専門のエージェントを活用することで、フリーランスとしてのスタートアップをサポートしてもらうことができます。今回解説をした税金面だけではなく、案件の獲得方法やご稼働後のサポートを受けることができます。特にIT系の職種の案件が多くなっており、活用することで得られるメリットはたくさんあるので、まずは下記URLから登録面談にてお気軽にご相談ください。 PROsheetの会員登録ページへ飛びます